村の子供の為に
数日後、私は休みを貰っていた。
ソエルとルカも一緒に。
マローネさんが休みの間に作業場の
道具を使わせて貰いたかったからだ。
まず私はソエルとルカを連れて
村長宅の隣にあるセリアさん宅へ来ていた。
「お邪魔します、セリアさん。」
「「おじゃまします。」」
真似をして挨拶をする二人。
「いらっしゃい。ミノリさん。
ルカ君とソエルちゃんもいらっしゃい。
どうぞ座って。」
そういい促してくれる。
椅子に座るとセリアさんが話し始める。
「何かお願いがあるそうですけど…」
「はい。実は冬の間に子供達で
文字を覚えながら遊べるものを、
作ろうかと思いまして。」
それを聞いた瞬間、
興味を引かれたように身を乗り出した。
「詳しく聞かせて貰えるかしら?」
と目がキラキラして聞いてくる。
「えっと…
小さくて薄い板に表に動物の絵をかいて
裏には文字を書いたものを作りたいんですよ。」
「それでどうやって遊ぶの?」
「一人が動物の名前を呼んで
残りの子がそれを選んで取る。
それだけですね。
それを交互にしていって、
絵から文字と変えながら続けるんです。
そうするだけで文字が覚えられるのではないかと。」
「面白いわね、それ…」
「ええ、そうですね。
簡単だけど遊びながら文字を覚えられるので
冬の家籠りの手伝いの合間の息抜きに良いかなと。」
「そうね。良い考えだと思うわ。
動物の文字を教えればいいのね?」
「そうです。お手間を取らせてしまいますが、
よろしくお願いします。」
そう頭を下げると
ルカとソエルも真似をしていた。
「ちょっと、他人行儀は止めてよ。
同じ村の家族じゃないの。
それにルカ君とソエルちゃんのお願いなら
おねえさんも喜んでお手伝いするわよ。」
と私達に向かってウインクしていた。
私は戸惑ったけど、子供は平然と笑顔でこたえている。
私の方が子供みたいだな…
そう思いながら会話を続ける。
「…ありがとうございます。
それでまずは犬、猫、牛、豚、鶏。
村にいる動物から始めようかと思っているので、
文字を書いていただけますか?」
「お安い御用よ。
ちょっと待っていてね。」
そういい部屋へ向かっていった。
戻ってきたセリアさんの手には、
羽ペンと羊皮紙が…
それを見て慌てて声をかける。
「あ、セリアさん。羊皮紙は必要ないです。
私が書いて貰う為に板を何枚か持ってきているので
それに書いていただければ。」
「遠慮することないのよ?
貴方がやろうとしている事は
村の発展にもつながりそうだもの。」
「いえそこは板で大丈夫です。
文字を彫り終えたらその板は割れても
薪に使えますから。」
そういい薄板を数枚テーブルの上に置いた。
「ああ、そういう事ね。
それならそうしましょうか。」
そう言って羊皮紙をテーブルの端へ置き、
「今は犬、猫、牛、豚、鶏で良いのね?」
「はい。それでお願いします。
また今度時間あるときに他の動物の
文字も書いていただけると助かります。」
「わかったわ。
ちょっとまってね。」
そう言いさらさらと文字を書いてくれる。
「ありがとうございます。助かりました。」
「良いのよ。村の為になりそうだもの。
それにルカくんやソエルちゃんと会える機会にもなるし
私の方もうれしいからね。」
そういい二人に笑顔を見せると
二人も笑顔で返していた。
村にいる動物の文字が書かれた板を受け取って家へと戻る。
「ミノリおにいちゃん。これで作れる?」
とセリアさん宅では静かに待っていた、
ルカが声をかけてくる。
「うん、そうだね。
これで作れる。
作業場に戻ったら
ルカとソエルの出番だぞ?」
「わかった!」
「まかせてー!」
二人は競うように返事をしていた。




