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ソエルの為

次の日、私は先に仕事を切り上げてメリイザザと会う事にした。

前日の件を聞くためだ。


「メリイザザ、今少し良いかな?」


メリイザザ「ああ…私も言いたい事と聞きたい事がある。」


「私に聞きたい事?」


メリイザザ「そう…お前、ソエルに何で優しく接するんだ?

いや…何となく理解はしているんだ…

サウロ…さんとマローネさんを見ていると、

本当に暖かい家族だ。

でもお前はもともとよその人間だと聞いた。


それなのに何故そこまで

周りへ気を使い

無関係の子供の為に親身になれる?


私は今まで何度もそういう輩を見てきた。

大抵は自分の利益の為に、

子供を利用し時には害する…


私はお前も同じだと思って注視してきたつもりだ。

でも違った。

おまえは本気でソエルに寄り添い

ソエルの為を第一に考えてきていた。


ソエルだけじゃない。

ルカに対してもそうだ。

何故利益にもならない子供の為にそこまで出来る?

何故そこまで子供の事を知っているんだ?」



 「メリイザザ…

子供を助けたり応援したりする事に理由が必要か?

私はただ自分のやりたい様にしているだけだよ。


それについ先日までのソエルの様な子供を良く知っていて

その時の経験を元に行動しただけですよ。


その時の経験を元に皆と情報を共有しただけ。

それにソエルが元気になるのは私にも

メリットがありますからね。」


「お前にメリット?」


眼が鋭くなる


「ルカが喜ぶでしょう?

ずっと気にかけて一緒に遊びたいけど

それでも我慢していた…


私はルカと一緒に遊ぶソエルが見たくなったんです。」


そう言いながら笑顔を向ける


「そうか…

お前、変わってるな」


「変わっている自覚は一応ありますよ。

でもこれが私なので。」


鋭い視線がなりをひそめ穏やかな視線に変わった。


「私の聞きたい事はそれだけだ。

次はお前…ミノリ…さんの番だ。」


「ミノリで良いですよ。お前でも良い。

呼び方は気にしませんよ。」


「そうか、ではミノリ

お前の聞きたい事を聞こうか。」


「先日ソエルの話をしている時に、

木工細工師や手先の器用さの話で

貴方は何か反応してましたよね?


もし良ければ、詳しく話を聞けないかと思って…

ソエルは大分元気になりました。

気を許して近づいてきてくれるようにもなりました。

でもそれはまだ家族内だけです。


他の村の人や行商の人への反応はまだ分かりません。

その時、咄嗟の事態に備えるためにも

ソエルの情報は少しでも頭に入れておきたいんです。」


ずっと何かを見極めるように静かに聞いていた、

メリイザザが口を開く。


「あくまでソエルの為なんだな?」


「当然です。

ルカ同様ソエルにも、

幸せになって貰いたいですから。」


「分かった…ただ私も詳しい事は知らない。

あくまで聞いた話になる。

それでいいな?」


無言でうなずく


「ソエルの居た村はシエの村同様木工を主要な産業として

生計を立てていたようだ。


ただ最近畑などが荒らされて

村の人々はよそへ移住して行ったらしい。


その村の木工師の一つの家にソエルが居たらしい。

その家族は村に残っていたらしいけど、

結局村を復興できずに外へ出た。


余裕のなかったソエルの家族は

口減らしにソエルを捨てたのでは?

と言うのが商人の話だ…」


「貴方がソエルを見つけて保護したんですよね?

他に子供は居ませんでしたか?」


「いや、居なかった。

恐らく先に村を捨てた家にいたんじゃないか?

余裕のあるうちに移動したのなら

まだ希望は持てる…」


「なるほど…口減らしでソエルが…

駄目だな…子供の事となると…」


「おい!お前、顔が怖くなってるぞ…」


「すみません。

私の国にも子供が不幸になるのは良くありましたけど、

この国ほどではないので、つい…

失礼しました。」


「いや、気持ちは分かる。

私にも妹がいる…」


「妹ですか…

貴方が話せる時にでも聞かせて下さい。」


「…分かった。」


「私が聞きたかったのは以上です。

多分元家族の元で手伝いでもしていたのでしょう。

その影響で物覚えが良いと。

それなら納得です。」


「ああ…

それでソエルの状況を知って、

今後どうするんだ?」


「そうですね。

元家族の事は聞かないようにする。

を共有ですかね。

後は今まで通りです。」


「他にやる事はないのか?

お前なら知ってるんじゃないのか?」


「いえ残念ながら…

私は過去の経験から感じた事を

話しているだけで、

専門家ではないですから…」


「そうか…

最後の確認だ。

それで大丈夫なんだな?」


「はいとは言えません。

ですが、それで悪化するようなら

私が責任をもってソエルを癒します。

何を使ってでも」


真剣な目をするミノリを見て


「分かった…

お前を信用する。」


「ありがとうございます。

メリイザザさん。」


「メリイだ。

ザザは元母国の悪習によってつけられた

背信者の証だ…」


「…分かりました。メリイ。

改めて宜しく。」


手を差し出し


「ソエルの為に…」


「ああ。」


互いの手を握る


私とメリイが

ソエルを守る事に

お互いの意思が一致した瞬間だった。

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