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夕食時

出来上がった長テーブルと椅子を並べている所に

サウロさんが帰ってきた。

ソエルがこの椅子はルカのと言って

ルカの位置に椅子を並べてきた。


背板の印に気が付いたルカが


「これボクの耳?」


「そうルカの椅子。

文字書けないから名前が彫れなかった。

ルカの耳可愛いからそれを彫った!」


「ありがとう、ソエルねえちゃん!」


「マローネねえとメリイねえのも彫ったよ。」


と二脚の背板を見せてきた

剣の様な模様と鍋の模様

どちらも綺麗に彫られている。


「マローネとルカとメリイザザの椅子か…

羨ましいなおい…」


サウロさんが椅子の背板の模様を

見ながらそうこぼしていた。


「ミノリにいと、サウロおじさんのは

明日作る!」


その言葉にさっきまでの空気はどこへやら

一気に機嫌が良くなり豪快に笑っている。


「俺のも彫ってくれるのかそれは楽しみだ」


私もどんな模様を考えてくれるのか

心の底から楽しみにしていた。

サウロさんも同じ事を思っていたのか

ずっと笑顔のままだった。


食事後


「ソエルちゃんは木の細工がすごく上手なのよ?

失敗する事もなく

しっかりほぞ組の型取りも出来てたし、

ほんと助かったわ。

ありがとう、ソエルちゃん。」


えへへーと得意気に笑顔を見せるソエルと

すごーいと自分の事のように喜ぶルカ。


「組型も削れるのか。すげえなソエル。」


「マローネねえの作ったものを

真似して作った。

でもうまくはまってくれなくて

マローネねえが直してくれた。

今度はもっと上手にやる!」


「おいおい…

凄い向上心だな。

ソエルは将来木工師を目指すのか?」


「うん!マローネねえみたいになりたい。」


「そう、それじゃあ、

また一緒に何か作りましょうね。

今日は一緒に作業が出来てすごく楽しかったし。」


「私も楽しかったー!」


「ボクもおとうさんと

一緒に作業して、たのしかったよ」


と子供二人はお互い楽しかったと

笑顔で話を続けている。

その会話を聞きサウロさんとマローネさんも

嬉しそうだ。


ただ、それを聞いていた、

メリイザザは何か複雑そうにしていた。

気にはなるけど、

子供のいない時にでも聞いてみようかな…


マローネ「そういえば、そろそろ寒くなるかも知れないわね。

家のうち板を増やす準備と行商の為の小物も

本格的に始めようかしら?」


「そうだな。そうなると木材も丸太だけじゃなく

小さいものも準備を始めるか?」


「そうね…お願いできるかしら?」


「おお。任せておけ。ミノリもそれでいいな?」


「はい。」


ソエル「小物って作業場にあった箱?」


マローネ「そうよ。小箱を作って

それに模様を付けて

行商さんと物を交換するのよ。」


ソエル「私もやってみたい!」


マローネ「もちろんいいわよ。

だけどまだ一人では危ないから、

私と一緒の時だけね。約束よ?」


ソエル「わかった!

じゃあ私箱作りのお手伝いする!

ルカも手伝ってくれる?」


ルカ「じゃあボクは枝とか切って、

使いやすい様にするね。」


そのやりとりを聞いてふと思った。

ソエルが彫った椅子のマーク。

あれ使えないか…

そう思った私は提案してみることにした。


「マローネさん。その小箱、

内側にも模様を入れたりしてます?」


マローネ「いいえ。

見えない場所に模様を入れても、

意味ないと思うわよ?」


「ええ、その通りなんですけど、

内側にシエの特産品だという印をつけるのは

どうかなと思いまして。」


「どういう事?」


「例えば今はただシエで作られた、

綺麗な小箱として交易品にしています。


それを商人が他の人に説明する前に

シエの品だと分かるようにするんです。

外側は今まで通りマローネさんの模様で

でも見えない部分、

例えば蓋内や底の面に

ソエルの考えた印を刻むんです。


シエの品としての印なら、

底板を組む前にソエルが刻めます、

一緒に作業するには良いと思います。


印を刻みながらマローネさんの作業を覚えられるし

ソエルなら問題なく刻めると思います。」


「それは良いわね。

ソエルちゃんはどう?

小箱に印をつけてみたい?」


黙って聞いていたソエルは笑顔で答える


「やってみたい!私の印をつける。」


「良いお返事ね。じゃあ明日から

一緒に相談しながら考えましょうね。」


それを聞いていたサウロさんやルカも

笑顔になりながら黙ってその会話を

静かに見守っていた。


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