表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
27/37

戻り始めた世界

暫く竹とんぼ作成を続けていて気が付いたことがある。

ソエルの手際がすごくいい…

細かい作業は苦手なのか

メリイザザは苦労しているのに対して

ソエルは教えたことはすぐに

形にして削っていった。


マローネさんほどではないけど、

これ…かなり凄いんじゃ…

と内心複雑な思いで教えていた。


「メリイねえ、下手…」


とからかう様に言って


「こういう細かい作業は苦手なんだ」


と少し困ったように言うメリイザザ。


二人を見ていると母子と言うより

姉妹のように見えてきた。

二人の様子は自分まで安心するような

気持ちになっていた。


「できた!ミノリにい、見て!」


そう自信満々に見せてくれる

いやこれ…私よりうまいんじゃ…

そう驚きつつ


「凄いね、ソエル。

おにいちゃんより上手く削れているよ。」


その言葉を聞き

ふふんと聞こえそうな顔で自慢げに見せてきた。


「凄いなソエル。私より綺麗に作れてる。」


メリイザザも関心するほどだ


「削るのは慣れてる!」


そうか。

それと聞きまた何か作れないかを

考えるようになる。


そこへマローネさんが作業場へやってきた。

ソエルが居たからゆっくりと…


「あら、お揃いね。

何か作っていたの?」


「あ!マローネねえ。

見て見て竹とんぼ。

私が作った私だけの竹とんぼ!」


と「私の」を強調するような気持が

言葉に乗ってマローネの心に届く。


「あら…素敵ね。

これ、初めて作ったのよね?」


「そう。ミノリにいに教えてもらって作った!」


「そう…凄いわね。

綺麗に削れているわ。

ソエルちゃん。

木工師に向いているかもしれないわね。」


「木工師…あたしが…」


暫く何かを考えた後、


「マローネねえ。

私にマローネねえの、お手伝いできる?

私、マローネねえと一緒に何か作ってみたい。」


それを聞いたマローネは

一瞬目を丸くしたあと、

涙を浮かべながら


「ええ。もちろん出来るわよ。

ソエルがそう望むなら、

私も嬉しいわ…」


やったあ、と飛び跳ねながら喜んでいる。

マローネさんも笑顔と歩み寄ってくれたソエルに

我慢していた感情が抑えられなかったみたいだ…


良かった…

少しづつソエルの世界も元に戻りつつある。

そう考えてその様子を見守っていた。


その日の夕食時、

メリイザザが何時ものように食事を受け取りに来た。

でも少し様子がおかしい…


「マローネさん。

実はソエルが一緒にご飯を食べると言っていて

もし良ければ今日は一緒に食事を

取らせてもらえないか?」


とメリイザザの予想外の提案に、


「もちろんよ。

喜んで準備するわ」


「ほんとうか?」


「やったあ!」


家族みんなでその提案を喜んで受け入れる。


「ルカ見て見て!

これ私が作った竹とんぼ。

こんどルカと一緒に飛ばす!」


「わー。綺麗に作れてる!

すごーい。

ぼくもまけないよ!


「今度はルカも一緒に作る!」


「うん」


それを見ていた大人の面々。

特に今まで近寄ることも出来なかった

サウロは、その様子を嬉しそうに眺めている。


私たち家族に新たな光が灯った気がして、

その日の夕食は今までにない位に

賑やかで心温まる時間となった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ