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外伝【メリイザザ】

―メリイザザ視点―


森の中で食料の調達中に

信じられないものが目に入った。


「何で女の子が一人で…」


村を追い出されたのか、

たった一人で森の中を歩いていた。

目には光が無く

ただ歩いている……


「ねえ、あなた、一人?」


少女は驚き草むらに走って行った。


「待って。」


後を追いかける。

少女は何も答えない。


少女は弱っていたのか、

すぐ追い付けた。


「待ちなさい。」


両腕の中で暴れる女の子。


「落ち着いて」


そして女の子を優しく包み込むように抱きしめる。

暫く暴れていた。

やがて抵抗は弱まり、少女は動きを止めた。


「大丈夫よ。私は怖い事はしないから。

あなたを守りたいの。」


自分でも信じられない言葉が出ていた……

体は驚くほど軽かった。

この子に何があったのか。


― ―


私は生まれもって剣士スキルを持っていた。


でも黙っていた。


生来のスキル持ちは背信者として扱われるからだ。

その事が広まると私自身が危なかったからだ。


しかし、ある事件でスキル持ちだと知られると

ザザの名を付けられ孤児院にも居られず

その上国外追放まで言い渡された。


それからは自分の身を守るため、

冒険者になり必死に働いた。


冒険者家業を続けて二年もたつと

豪剣士スキルにランクアップしていた。


スキルがランクアップしたことで

今まで以上に狩りで稼げるようになり、

鉄ランクに昇格していた。

そのころには食べるものには困らなくなっていた。


ギルドでも注目され始めていて

一人では限界だろうと心配したギルドに

PTを紹介された。


大盾ジーク

弓手カイル

魔術師フィオナ

の三人PT[鉄鎖のてっさのたて]


私も仕事が順調とは言え何度か危険な目にあっていて

PTの事は考えていた。


ギルド長は常々

一人で活動する私の事を

気にしてくれていた。


悪評のあるPTの申請も却下してくれたりもした。


「なあ、メリイザザ、ギルド長室に来てくれ。」


「何よ、一体…これから仕事なんだけど?」


「すぐ済むから、来てくれ。」


「分かった、クエストを受けたら向かう。」


そう伝えると後ろ手を振って


「待ってるぞー」


相変わらず急な人……

と思いつつクエストを受領して長室に向かう。

ドアをノックして声をかける


「メリイザザです。」


部屋の中から声がかかる。


「おーう、入ってくれ」


部屋に入り目を細めて


「いきなり何よ?さっきも言ったけどこれから仕事なんだけど?」


「単刀直入に言うわ。

メリイザザ、お前鉄鎖の盾に入れ。」


「はぁ!?前に断ってくれたんじゃないの?」


「いやそいつらとは別のPTだ。

将来性もあり、リーダーは大盾持ちで

仲間を守る事でも評判だ。

それに今の鉄鎖PTは

大盾と軽弓補助、そして魔術師の三人だ。

お前との相性も悪くない。」


「私はまだ一人で…」


「メリイ!!

お前の事情は分かっているつもりだ。

だが、この間も危険な目に遭ってたそうだな?

そのうち本当に死んじまうぞ?


鉄鎖の三人はお前と同じ鉄ランクで将来性もある。

町での評判も良い。

お前にはうってつけだ。

死んじまったら意味ねえぞ?」


その言葉を聞いて少し考えた……


「分かった。何度も何度も誘われるのも面倒だし、

その話受けるわ」


「そうか。そりゃ助かる。

これでお前たちはもっと上へいけるぞ。

そしてギルドへ金をもっと落としてくれや」


そう言い大笑いしている。


「はぁ…仕事に行ってくる。戻ったら声をかけるわ」


そう言って扉に向かう。


「おーう。待ってるぞー。」


そう軽く言ってくる


ギルド長室の件から三日……


ギルド長「改めて紹介する。

この三人が鉄鎖の盾のPTだ」


ギルド長の紹介の後…


ジーク「俺の名前はジーク、大盾だ。」


カイル「俺はカイル。軽弓兼補助担当」


フィオナ「私の名前はフィオナ、魔術師よ。

初めましてメリイザザさん。」


にっこりとほほ笑んでくる。


「私はメリイザザ前衛よ。」


ジーク「腕のいい豪剣士だと聞いている。

メリイザザ

お前への奇襲は俺がすべて止めてやるから、

遠慮なく獲物を狩ってくれ。」


そう言い不敵に笑った


カイル「俺は基本食料の鳥の調達。

移動の索敵と、戦闘では後方からの弓での支援と

怪我をした際に、後方へ移動する手伝いをする。

俺だけ仕事が多いが、まー仕方ない。」


そう言い静かに佇む。


フィオナ「私は水魔術で移動中の水の確保と

水魔法での攻撃と回復ね。」


何かを観察するように私を見て微笑んでいる


「私は豪剣士スキルでの一撃がメイン。」


ギルド長「あって早々もうPTの役割分担の話か?

将来有望だな!」


ワハハとジークの肩を叩きながら笑っている。


PTを組んで順調に活動する

二年もすると私達鉄鎖の盾PTは、

ランクが一つ上がって鋼鉄になっていた。


とある野営の準備中、

ジークは薪を集めに、

カイルは野草と鳥を、


私とフィオナは二人で焚火周りで警戒と

食事の準備をしていた。


ある程度準備が終わると、

急にフィオナが声をかけてきた。


フィオナ「ねえ、メリイザザ。貴方の名前……

本当はメリイじゃないの?」


その言葉を聞いた瞬間、大剣を抜いた。


「ギルド長に聞いたのか!?」


驚き声を上げつつ、大剣を向ける。


フィオナ「勘違いしないで。

あの人は何も言ってないわよ?

私がザザーラン神聖国の出身なのよ。

だからザザの意味も知っている。」


その言葉を聞いて、警戒度をさらに上げる


フィオナ「ちょっとぉ。貴方と二年も一緒なのよ?

貴方が背信行為なんてするわけないじゃない。

私こう見えて、人を見る目あるのよ?

だからそんな物騒な物、私に向けないでね。」


そういいにっこりとほほ笑んだ。


嘘はないようなので剣は戻す。

ただ警戒心は解かない。


フィオナ「流石ね。まだ警戒を続けるの?

私があなたに出身国を言ったのは、

貴方の事情をPTで共有したいからよ。


疑問が残ったままだと

お互い危険になりえるわよ?


そこでおねえさんからの助言。

あの二人何も言わないけど、

貴方に何かを感じている。


だから打ち明けて本当のPTにならない?」


確かに何かがあっては遅い……

しばらく悩んで決心する。


「分かった。

機会があればすべて話す。」


そう決意した頃

カイルが鳥五匹を肩に担いで茂みから

出てきた。


カイル「いい森だった。

空に天敵がいないから

警戒心が薄く短い時間で大量だ。」


そう言って縄で縛られた鳥を見せてくる。


フィオナ「あら、良いわね。

すぐにさばいて保存しましょう。」


と鳥を受け取るとそのまま川へ向かう。


私はカイルと一緒に再び警戒を続ける。


ジーク「悪いな、遅くなった。」


そういい大量の薪を担いで帰ってきた。


ジーク「薪集めの時に対象の古い足跡を見つけた。

そのせいだろうな。

使えない薪が多くて手間取った。」


カイル「地竜の足跡を見つけたのか?」


ジーク「ああ。

四足型の足跡だ。

多分もう少し奥に居るのかもしれない。

足跡の大きさから予想して

5メートルくらいだろう。」


カイル「5メートルか。

まだ若いやつでよかったな。」


ジーク「まったくだ。一応古い足跡だ。

確実とは言えない。

明日対象を視認して。

討伐可能と判断したらそのまま続行。

もし龍なら一度ギルドに戻る。」


私とジークは無言でうなずいた。

そこへフィオナが返ってきた。


部位ごとに綺麗に切り分けられた鶏肉はカイルに預け

準備していた干し肉と味、

臭いの薄いスープで食事をする。


食事を終え交代しながらそれぞれ眠りにつく。

私は一人警戒中に大剣を握り妹の事を思い出していた。


当時、妹が暴漢に襲われた。

妹を助けるため必死に抵抗した時に

相手が剣を落とした。


剣を必死であがき剣を握った瞬間に

生まれ持っていた剣士スキルが暴走して

相手を切り殺してしまった。


その時の恐怖が

妹の声を奪ってしまった……


過去を思い出し、落ち着くために少し目を閉じて

気持ちを落ち着かせて全神経を

周囲の情報、空 音 視 熱 臭 魔

全てを感じるように集中する。


さっきの話の思いをしまい込み、眠りについた。


翌日目を覚ました私は三人と合流し食事をとり

足跡のある場所へ向かう。


カイル「あー確かに四足の地竜だ。

大きさは5メートルクラス。

俺達だけで討伐は可能だと思う。


だが目視するまでは確定と見ないほうが良い。

何があるか分からない。」


ジーク「そうだな。

カイル悪いが先行して索敵を頼む。

目視次第後退して報告を。」


カイル「任された。」


私たちは森の奥へ潜っていく。


カイルが止まれの冒険者サインを送った。

そしてゆっくり来るように伝えてくる。


森の切れ目の水辺の畔

水を飲む四足の地竜が居た。


体長は予測していた通り5メートル前後。

これなら討伐出来そうだ。


一旦森に潜り息をひそめて作戦会議を始める。


ジーク「まず俺が一人であいつのヘイトをかう。

隙を見て、

メリイザザ。

全力の一撃で魔鱗(逆鱗)の部分を破壊して

魔力壁を削って欲しい。」


無言で頷く。


「魔力壁が削れた後は、

カイル、フィオナの二人で全力で遠距離攻撃。

狙いはどこでもいい。

メリイザザの次の大技の時間を稼いでもらう。」


「「分かった。(わかったわ。)」」


「メリイザザ、

大技の準備が出来たら前足、

左右のどこでもいい。

出来るだけ削ってくれ。

お前への攻撃は俺が全て防いでやる。

安心して攻撃してくれ。」


無言で頷く。


「メリイが片足に攻撃を始めたら、

二人がもう片方の足を攻撃してくれ。


頭が下がりそうになったら、

俺が大声で合図を送る。


メリイザザは距離を取り

下がる予定の首への一撃の準備を頼む。


二人は支援にシフト。

フィオナは回復、

カイルは俺に支援を頼む。


メリイザザの準備時間を稼ぐ。

聞き逃すなよ。戦闘中の合図は聞き逃しやすい。」


「「「分かった。」」」


「その時点で俺は防御を捨てて、

攻撃してヘイトを再度集めて

奴の攻撃を受け止める。


そして首が下がったらメリイザザ。

止めは任せるぞ。」


「ええ。」


「作戦通りに行けば問題ない。

が、何かあったとしても俺が攻撃を受け止めて見せる。

全力で削ってくれ。」


三人と視線を合わせていく。


「では……行くか!。」


「うおおおおおお!!!」


叫びながら、ジークが地竜との距離を一気に詰める。


大盾を構えて地竜の前に出る。


グオオオオオオオ


雄叫びを上げながら突進を始める。

その突進を全力で受け止める。


「うおおおおお!!!」


大盾がきしむほどの衝撃を何とか受け止め

敵の注意を引く。


地竜は相当頭にきたようで

踏みつけようとしたり

距離が開くと突進を続けてきた。


私は息を潜め、その瞬間を静かに待つ。

地竜の首が一瞬浮き上がるのを確認して


「行くわよ!!!」


と愛用の大剣に自分の膂力りょりょくのすべてを込める。


潜んだ場所から一気に飛び出す


「パワースラッシュ!!!」


全力の一撃が喉元の魔鱗へ一直線に、

光の線となって突き刺さる。


グゥゥオオオオオオオオオオ


魔力壁が剥がれ雄たけびを上げる。

魔鱗が割れたのを確認して

一旦距離をとり力を高めていく。


そして十分に貯めた力を再び解放する。


「パワースラッシュ!」


即座に一番近い位置にある右足へと切りかかる。


魔力壁は消えたけど竜とはいえその鱗は。

想像以上に硬く傷をつけたのは

最初のスキルのみで

後の攻撃は傷をつけるだけで時間がかかった。


「はあー!!!」


一心不乱に切り続ける。


ふいに視界がブレ体に衝撃が走り横へと飛ばされる。


何があったのか見ると私が居た位置で

ジークが大盾を構えて立っていた。


「おい!。聞こえるか!?準備を始めろ!!!。」


その声を聴いた時、理解する。


(攻撃に夢中になりすぎて、

声が聞こえなかった)


地竜を見るとすでに前足は膝をつき

頭が低い位置まで来ていた。


焦った私はすぐに準備に入る。

体勢を立て直し、再び力を籠める


再び力をため…


飛び上がる。


「パワースラッシュ!」


首の中ほどまで刃が食い込む、

確かな感触が手に伝わってきた。


やった……


首の中ほどまで食い込んだ大剣を見て

私はそう確信した。


その時、

地竜が顎を持ち上げ私の方へ口を開く。


(なに?何をする気なの?

首はもう半分切れている。)


意味も分からず惚けてしまった、その瞬間…

視界が眩い光に包まれた。

目がくらむ中、視界が一瞬に黒に染まる。


「ぐぅおおおおあああああああ!」


目の前にいたのは大盾を構え

私を守るために壁となって地竜の攻撃を

必死に受け止めるジークだった。


光が収まるとジークを横目に

私はすぐに攻撃をしかけようと身構える

でも、地竜の頭はそのまま地面に伏していた。


「倒せた……ジーク!」


ジークを見ると黒こげの

大盾を杖の様にして体を支えていた。


私は安心して声をかけようとした…


「ふうー。

お前な…集中するのは良いが、

いい加減PTの動きになれろ。


もう少し危機感を持て。

最後のは本当に危なかったぞ?」


と息を切らしながら声をかけてきた。


「すまない……助かった、ありがとう。」


厳しい戦いを終え、

私はある決心をする。



「お疲れ様お二人とも。」


そう言いながら近寄ったフィオナが

ジークに回復魔法をかけていた。


カイル「一瞬ひやっとしたぞ。」


と落ち着いた感じで軽く言う。


ジーク「いやしかし、

メリイザザの大剣の威力は凄いな。


切断まではいかなかったが、

しっかり食い込んでやがる」


そういい切り口を見ながら感想を呟いていた。


切り口の下に器を置いて流れ出る血を

少しでも無駄にしないようにする。


そして一旦休憩をはさむことにした。

火を焚き獣が近づけないようにする。


疲れをいやし戦闘後の興奮を

押さえるために休んでいた。


私は落ち着いたころに

皆に声をかける

私の事情を説明して

今後の目的を知ってもらうためだ。



ある日、妹が暴漢に襲われそうになって

助けようと必死で抵抗した。


相手が抜いた剣を落としたのを見て、

無我夢中で拾おうと握り締めた。

そのとき、私の中に眠っていた

剣士スキルが暴走して……。


その時の恐怖で

妹は声を失った……


私の故郷、ザザーラン神聖国では

スキルは国(神)が与えるものとされている。


生まれつきスキルを持つ者は

国を裏切る背信者とされる。


妹を守ろうとしたあのとき、

私が生まれつきのスキル持ちだと知られてしまった。


その結果、私は背信者の証である

ザザという名を付けられた。

孤児院を追い出され、国からも追放された。


私は妹を引き取るための場所を探している。

その為に色々な街を見てみたい事。

全てを説明した。


黙って聞いていた三人……


ジーク「何を真剣に話すのかと思えば、

お前は何ひとつ悪い事ねぇじゃねぇか。」


カイル「そうだな。それに過去に何があったとしても

君は君のままだ。」


フィオナ「そうそう。」


三人がそれぞれ反応を示す。


「昔何があったのか、今の俺達には関係ない。

お前はお前だし、俺達と行動を何年も続けているんだ。

今更過去を知っても俺たちは変わらないから安心しろ。」


「そうね。それに居場所を見つけるのなら、

PTの方が都合も良いでしょうしね。」


「そうね。ありがとう。」


三人は驚くほどすんなり受け入れていた。


「さぁ、辛気臭い話はもう終わりだ。

森を出るぞ。」



こうして、今回の依頼は無事終了し、

町へ戻る事にした。


森を抜けるとボーダーPTとその護衛PT

がもう到着して野営の準備をしていた。


ジークが討伐完了を告げ、

もう一度その場所まで一緒に戻る。


ジーク「じゃあ、後は任せたぞ。」


そう伝えてその場を後にした。


私たちは町へ帰る事になった。


町に戻った私たちは疲労の残る体を

引きずるようにギルドへ向かい、

討伐完了の報告をする。


その足でギルド長室へ行き討伐対象の報告をした。


「よくやってくれたな。

これで、お前たちを護衛依頼に推薦できる」


ジーク「ああ?どういうことだ」


ギルド長「いやな。今大店の行商隊の護衛依頼で

一年ほどPTの派遣依頼が来ていたんだ。


正直どこも人員不足でギルドとして

派遣できなかったんだ。


そこでお前たちだ。

お前たちは鋼鉄ランク。


しかも今回の地竜討伐で拍も付く。

これで安心して派遣できるな。」


フィオナ「ギルド長…あなた、狙っていたわね?」


ギルド長「おい!睨んでくるな。

俺はお前たちの事を思ってだな……」


そう言いつつ顔を反らした


ジーク「まあいい。

実際大店の行商の依頼だ。

拘束期間は長いだろうが、

その分、実入りも多いんだろう?」


そう言いつつ、ギルド長をにらむ


ギルド長「そうだ。これで今後大店の依頼も断らずに済む。

一石二鳥だな。」


と大笑い…



宿屋に付き一息ついて、

久しぶりの温かいおいしいご飯を食べ、

ジークとカイルは酒まで飲んでいる。


メリイザザ「今回は、すまなかった。

改めて礼を言う。ありがとう、ジーク」


そういい頭を下げる。


「気にするな。

組む時に言ったろ?守るって。」


ジークが答える。


―二年後


行商隊の護衛を受けて三度目の旅。

三度目ともなれば大分慣れてきた。

一年に一度四か月の旅。


何時もならヴェローチェ流通連邦までの行商だったが、

今回はさらに南のメルカティス連合商業国まで行くそうだ。


メルカティス連合商業国。

大陸最大の孤児院のある国。

孤児院を保護し、

商人としての教育もしている国……


私はその国に期待している。

しているのだが…


そうして行商の旅が始まり、

すでに15日が経過いた。


その間三つ目の村も通過して

途中で種や肉や鉄製品を積んで移動を続ける。


街道からそれたシエという村に向かう。

そこは木製品が多く小物類は他の村でも人気がる。

だから南下するときだけ街道からそれた村に向かう。

その村へと向かう時の休憩中に

私は森の中を散策していた。


小動物を確保するためだ。


少し奥へ入った時に信じられないものを見た。

目が濁っていてまるで昔の私の様な……

私は意を決して声をかけることにした。


「ねえ、あなた、一人?」


少女は驚き草むらに走って行った。


「待って。」


後を追いかける。

少女は何も答えない。


少女は弱っていたのか、

すぐ追い付けた。


「待ちなさい。」


両腕の中で暴れる女の子。


「落ち着いて」


そして女の子を優しく包み込むように抱きしめる。

暫く暴れていた。

やがて抵抗は弱まり、少女は動きを止めた。


「大丈夫よ。私は怖い事はしないから。

あなたを守りたいの。」


そう優しく囁きかける。

暫く彼女を胸に抱き続ける。

耳が触れると急に呼吸が安定した。


どれくらいの時間がたったのか…


「ねぇ、あなた。

どこかに、行くところでもある?

もしなければ、おねえちゃんの所に来ない?

人がちょっと多いけど私が守ってあげるから。

どうかな?」


なにもこたえない


「ごめんね。見ちゃった以上見て見ぬふりはしたくないの。

ここにいると動物や魔物に襲われるかもしれないの。もしよかったらい一緒に行かない?何かあっても私が傍にいるから。」


背中を摩りながら優しく囁くように話かけ続ける。


一緒に行こうね。


抱っこしたままキャラバンへ向かう


「おい!なんだ、その子供は?」


「少女は驚き抱き着く。」


「ちょっと、急に大声だなさいで。

大丈夫だよ。私が付いているから。」


優しく背中を摩る


耳元でささやく

「ねぇ、マリイ、その子どうするつもりなの?」

「まだ分からない。先にキャラバンの中に知ってる人が居ないか聞いてみるつもり。」


ガラム「その子を知っています。

ここから更に奥に入った所にあった、

木工の村の子で間違いないです。

シエの質が、あまりに良かったので、

何度も行くことはなかったですが。

畑も森に近すぎて魔物が良く荒らしていたそうで。

最近聞いた話では、一部の村人は村を捨てて、

それぞれ他の村に移住したと…。

その子の親は残っていたはずですが、それが何故こんな場所に…」


フィオナ「口減らしでしょうね…村に残ったけど、結局生活がままならず移住の為に…良くある話ね…」


ジーク「くそが、子供すら守れなかったのか!」


「再びおびえる少女」


「ジークいい加減にしてくれない?」


カイル「気持ちは分かるが落ちつけジーク」


ジーク「悪い……」


フィオナ「それで、メリイ、貴方その子をどうするつもりなの?」


「暫く面倒を見る。

ルミナリアまで保護してそこで、

孤児院へ預けるつもり。」


フィオナ「その国なら確かに安全でしょうね。

でも悪いうわさも聞くわよ?

あたな平気なの?」


「噂は当てにならない。

将来の事もある。

直接確認して判断する。

もし噂通りなら、

別の孤児院を探すだけ……」


ジーク「お前な…護衛任務中だというのを忘れてないか?」


「分かっている。

仕事はこなす。

ただ私の目的でもある。

そこは譲れないの。

ごめんね。ジーク、カイル、フィオナ。」


ジーク「お前の気持ちは分かっていた。

何時かこういうときが来るとは思っていたが…

よし、もう何も言わん。

お前の好きにしろ。

一緒に行動する限り、

俺が盾としてしっかり守ってやる。」


フィオナ「あなたの事は理解しているわ。

あなたの好きにしなさい。」


「ありがとう」


こうして私は少女と一緒に南の国へと向かう事になる。

保護初日の休憩中に一人で馬車から抜け出し、

歩き出して目が離せなかった……


その小さな背中を見ていて、ふと気付いた。

大剣は、あの子には少し怖すぎる。

だから片手剣に変えることにした。

理由はそれだけだ。


その間護衛中は一緒には居られないが、

常に馬車の外から見守り、

休憩時の食事は一緒にとり、

夜営時は離れた位置から見守り続けた。


四日ほどたつと、

少し慣れてくれたのか

野営時には少ないけど食事もとるようになった。


護衛時は分かっているのか、

馬車の中で大人しくしているが

休憩時や野営時は近くに居るようになる。


保護から五日目、次の目的地である

シエという村に到着することになる。

ここで私の今後が決まる転換期となる……





お読みいただき、ありがとうございました。


本作の世界観や魔物、生態などの設定は、

【独自世界観】設定・生態の考察資料集

活動報告へ載せています。


魔鱗や竜の設定など、本編では語りきれない内容も掲載していますので、

興味を持っていただけた方は、ぜひご覧ください。


メリイの描写を少し入れて

続きの話を書こうと思っていたのですが

メリイが勝手にネタバレ始めちゃって・・・


考えた結果メインではほのぼの日常を、

今回の話のように少し重い話は

外伝にすることにしました。

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