取り戻す日
―メリイザザ視点―
一緒に外に出た。
確かな一歩を進んだ……
一緒に菜園を見た。
空を見た。
外の空気を吸った。
たったそれだけ、それでも私の中で
今日の事は心に残るひと時になった。
数か月前は俯いてるだけだった……
それなのに今、地面に一緒に座って、
空を眺めている。
ここに残ると決めた事を、
間違えてなかったと思った。
―
その夜の食事時
メリイザザが昼の事の話した。
「ソエルと一緒に、外に出た。
隣の菜園を見て、それから、空を見た。
以前のように周りを警戒するそぶりは、
見られなかった。」
「え!」
「本当か!?」
「本当なのね?」
「お外にでたの?」
それぞれの望んだ先が見えた気がして
同じような先の希望が見えた気がしていた。
「サウロさん、マローネさん、ルカ。
もし外で出会っても決して騒がないように
お願いします。
此方からは急に近寄ったりしない。
けど、向こうが寄ってきた場合は
距離を取ろうとするのは駄目です。
拒否されたと思うかもしれないので。
そのことも覚えておいて下さい。」
家族四人で顔を見合わせた。
「メリイザザさん。
今あの子は大事な時期になりました。
もし外に出る時、私たちが仕事中だった時は
出来るだけ優しく危ない事を伝えてほしいです。」
無言でうなずき食事を受け取って部屋に戻って行った。
―一週間―
竹とんぼで遊ぶだけの時は保護者無しになっていた。
作る工程が無いなら構いすぎるのもなんだろう…
という考えが保護者の中で一致したからだ。
ここ数日、
部屋の中でいつもの様に竹とんぼを、
窓から二人で肩を並べて、眺めていた。
ある日突然その時がきた
「あれ……」
「!!!」
その言葉を聞いた時
驚きを隠せないままソエルを見る。
メリイザザは緊張した声色で
「一緒に行ってみようか?」
と自分の感情を抑えつつ優しく聞いてみる。
「う…ん……」
としっかりと頭を縦に振った
メリイザザは
優しく手をつなぎ歩きだす。
今まで何度も感じていた、
手を引くときの抵抗が無い。
扉まできても拒絶の反応はない。
そして扉を開けてみる。
眩しい日差しは何度か一緒に浴びていたけど
今日は特に目に光が差し込む気がしていた。
丁度その時、竹とんぼの羽が目の前に降ってきた。
それを見ていたソエルは暫く黙ってみていた。
そこへルカが駆け寄ろうとして
近くまで来たとき急に歩を止めて、
ゆっくり近寄っていく。
ソエル「これ……?」
ルカ「竹とんぼって言うんだよ。」
ソエル「……竹とんぼ!」
ルカとメリイザザは驚いてその声と聞き
様子をうかがっていた。
「ねぇ、ルカ!これはどうやって飛ばすの?」
「これはね…あ、ちょっと待っててね。」
と駆け出していく。
数十秒ほどで戻ってくると手には棒を持っていた。
ソエルの前にその手を差し出し、
使い方を教えていた。
「私やる!」
そういって棒を両手でこする様に回す。
羽の部分が飛んでいき数メートル舞い上がり
そしてゆっくり落ちてくる。
「できた!ルカできたよ!」
「すごーい。一番飛んだかも。」
と二人で笑いあっている。
それをただ茫然と眺めている事しか出来なかった。
―――――
ここまでが第一章となります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
執筆を始めて現時点で11日。
セリフがどんどん出てくるので、
楽しく書くことが出来ました。
セリフに後付けで肉付けしていく作業や、
竹とんぼの原理を調べたり、
その過程でルカの方が飛ぶ可能性に気が付いたり。
知識もないのに勝手に進んじゃって、
とまどいと面白さで、個人的にも楽しく書けたと思います。
一人でも「やさしい」が届けばうれしいです。
第二章については、少し時間を置いてから
ゆっくり書いていく予定です。
本編では語りきれなかった世界設定や、
魔物・竜の生態、
各国の文化(一部)などを活動報告にまとめています。
「この世界ってどうなっているの?」
「魔鱗って何?」
「竜はどんな生き物?」
そんな疑問を持っていただけた方は、ぜひ覗いてみてください。
今後も新しい設定が増えたら随時追加していきます。




