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差し伸べた手

―メリイザザ視点―


「ねぇソエル?

一緒に窓の外を見ても良い?」


そういって横に座り一緒に窓の外を眺めていた。

今日のソエルは顔を伏せていない。

ただ窓の外を眺めている。

それだけ……


それからは外で子供たちが遊んでいる時も

一緒に座って窓の外を眺めていた。


たまに窓の向こうに空へ向かっていく

ただじーっと竹とんぼを待つように窓の外を

眺めていた。


― 


子供の飛ばす竹とんぼを、

一緒に並んで待つように窓を眺める。


ソエルは竹とんぼを待ってるのかは分からない。

でも窓から外を見るようになったのは


間違いなく竹とんぼのおかげだとは思っている。


そう考えていると竹とんぼが窓枠の中に写り込んだ。


!?


一瞬呼吸が乱れた?

怖がった感じじゃない……


正確には分からない。

でも人が興奮するような感じ。

私はゆっくりソエルを横目に見る。


顔色は良くなってきた。


今、私は確かに感じた。


ソエルが反応していることを。


一緒に窓からの景色を見るようになって

さらに数日―


ソエルが自分から窓へと寄って行く……


私はそれを無言で眺めていた。

また変化が見えた。


傍に行って一緒に見たい。


でもせっかく自分から動いた。

それを邪魔はしたくない。


そう思い私は腰を下ろしたまま

ソエルを見ていた。


今日の変化をマローネに相談することにした。


それを聞いた途端、我が事のように喜んでいた。


この家の家族が仕事で留守の時、

ソエルを外へ誘ってみようと思った。


あの男を信用はしていない。

でもアイツが関わって変化が見えてきた。


それならその話を試してみても良いと思った。

私はソエルの前にかがんで語り掛ける。


「ちょっと外に出てみない?

良い天気だよ。」


ソエルは何も語らない。

でも私には何か確信めいたものがあった。

ゆっくりと優しく手をつないで、


「行きましょう。何があっても私がついている。

私は強いんだ。」


商人と一緒の時は移動するにも多少の抵抗はあった。

でも今はその抵抗が無いように思える。


だって手を軽く引くと自然についてくる。

手を繋いだまま立ち上がり部屋を出る。


ゆっくり、ゆっくりと、慌てずに扉の前まで歩く。

扉に手をかけ、ゆっくりと開いていく。


ソエルが手を握り返した気がした。

開こうとした手を止め、ソエルを見る。

そして再びしゃがみ込んで話しかける。


「大丈夫。私が手を握っている。

大丈夫だよ……」


暫くしゃがんだままでソエルを見て、

そして再び開こうとする。

手に抵抗を感じる。

ソエルは扉の向こうを見つめたまま動かない。


しばらく待った。

でも足は前に出なかった。


今日は駄目だ……


「今日は止めておこうか。

また次の機会にしよう。

私がいつでも、一緒に付き合うからね。」




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