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竹とんぼの輪

ここ一週間


ルカと一緒に竹とんぼを飛ばし続けている。


一日何回も飛ばしているうちに

持ち手の部分が破損してしまった。


先のはめ込む部分が割れた事で

ルカ大騒ぎ。


そんな様子を見て


「大丈夫だよ、ルカ。

もう一回作ろうか。」


「やるー!」


めずらしい一面が見れた……


壊れては作り直すを繰り返す。


そんな日が続いていた。


私達が待ち望んでいた言葉を聞くことが出来た。


「ここ数日窓際を見つめ、

空を見つめる事が増えたように思う。


あのおもちゃが飛んでいない時も

空を見る時間が増えた。」


それを聞いた時

サウロさん、マローネさんが声を上げる前に

ルカが大喜びしていた。


「げんきになった?」


と嬉しそうに聞いている。


「まだそこまでじゃない……と思う。

正直私では判断出来ないんだ。

でも窓を見る時間が

増えて食べる量も増えている。

だから……

もう少し続けてくれないか?」


と頭を下げてきた。


家族みんな沈黙

そんな中声を上げたのがルカだった。


「え?何であやまるの?

つづけるのは、あたりまえだよ?

はやくおともだちになりたい。

そして一緒にとばすんだ!」


と満面の笑顔……


「そうだな。俺も早く話してみたいな。」


「早く一緒にお食事出来ると良いわね。」


三人ともその先の姿を想像しているのか

優しくそして先を見るような、

そんな表情で語った。


きょとんとするメリイザザ

そして小声で、


「助かる……」


と呟いて、

食事を受け取り部屋に戻って行った。


翌日もまた二人で遊んでいると

声をかけられた。


「「ルカー何してるのー?」」


男の子と女の子が声をかけてきた。

ルカは竹とんぼの説明をして、

飛ばして見せた。


「すげー僕もほしー」

「わーすごーい。」


とルカが飛ばした竹とんぼを

二人は必死で追いかけまわしていた。


「これ市の時に交換したの?」


「つくったんだよ。」


と楽しそうに話していた。

子供が三人になると

一気に賑やかになるな……


その日からその子供たちも、

竹とんぼ遊びに加わって

今まで味わったことのない

騒がしさに戸惑いつつ、

それでも見守り続けた。


その日から二人の子供が遊びに来るようになった。

次の日も、その次の日も。


三日後には村の女の子も加わり、

竹とんぼを追いかける子供達は、

三人になっていた。


取った子がまた飛ばす。

そんな遊び方が自然と定着していた。


今までルカは親の仕事を優先して

一緒に遊ぶ機会は少なかった。


そのことを気にしていたサウロとマローネは

食事時の遊んだ様子を楽しそうに話すルカを見て

心の底から嬉しそうにその話を聞いていた……


さらに数日が過ぎたころ

女の子の食事の量に変化があった。


少し前までは少量だったらしい。

それが今では半分ほど食べるようになったと、

マローネさんは本当に嬉しそうだった。


メリイザザさんが言うには、たまに立ち上がって

外の様子を窺うようにもなったとも……


竹とんぼ遊びをする子供の人数が五人になったころ、

一人の子供の親が訪ねてきた。

良ければ作ってくれないかと。


私は答える。


与えるのではなく一緒に作るのなら引き受けます。

作り方はもちろん教えますよ。


道具は貸すけど、

怪我の心配もある。


私の手が空いている時は私が見守るけど、

私が居ない時は子供たちの親の誰か一人は、

見守って欲しい事を伝える。


子供たちのご両親達は喜んで引き受けてくれた。


道具の使用許可を貰うために話をしたら


「作ってやらないのか?

お前ならすぐ作ってやれそうなのに」


「そうね。ちょっとめずらしいわね」


サウロさんがマローネさんが不思議そうに聞いた。


「作るのもたのしいんだよ!」


私より先にルカが元気よく答えていた。


その方がそれぞれ違う飛び方をして面白いし

子供たちの経験にもなる。



さらに数日が経過した。


今日は、私が、子供達の竹とんぼ作りを見守る番だった。


子供の多さに圧倒された。


村の子供全員が参加していたのだ。

二人が飛ばして残りの6人が

それぞれ追いかけていく。


人数分作っても子供はどこの世界でも

競うのが好きなのかな……


そう思いほほえましく見ていたら

ふと目に入った。

窓枠に女の子。


初めて馬車で見たときの面影は薄れ

少し顔に赤みがかってきていた。

私は横目で確認して、

再び子供達に視線を向けた……


私は間違えていないのだろうか……


いやまだ不安はある。

目にはまだ影が残っている。


それでも顔色は以前よりずっと

良いように見えた。


子供達の姿に、

私は小さな希望を感じていた。

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