七章 十一話 ココの成長
数日間、ミノリはトトたちとともに行動をしていた。
一緒に建物の土台を加工して設置しながら、
空いた時間はココと話をしながら勉強を続けていた。
その影響だろう……
ミノリは前世の知識をほんの少し教えただけなのに、
ココのクリエイトスキルの使い方は、
一気に幅が広がっていた。
軽めの圧縮で木材に弾力を与えながら形を整え、
木の粉で空気を多く含んだ弾力性のある新しい木材を作ってしまった。
その木材を使って背板や座板にして、
木でありながらクッション性のある椅子を作ってしまった。
それなのにココは、そこで喜ぶことは無かった。
クリエイトのない人でも似たようなものを作れないかと考えたのだ。
それはミノリが常に考えていた事。
それをしっかりと受け継いでいたのだ。
その成長にはミノリはもちろん、
トトたちも驚きを隠せなかった。
「子の成長とは恐ろしいのう……」
「いやー、これはココちゃんだからだと思いますよ。
空気を含めることを教えただけでここまで出来るんですから。
正直、私が教えなくても自分で気が付いたかもしれないですね」
「謙遜するな、ミノリ。
お前さんの教えは確かにココの中でしっかり芽吹いておるわ」
「そうだと嬉しいですね」
私がトトさんと話をしていると、
ココちゃんがふにゃふにゃの板をもって質問してきた。
「ミノリ。
薄くしたけど、座板に使えなくなった。
この柔らかさを残したまま丈夫にできない?」
少し悔しそうに聞いてきたココちゃん。
自分で考えたかったんだろう……
「ココちゃん。
薄く切って、重ねてみたらどうかな?」
そういって板を受け取り、一センチ幅に切り分けた。
そしてその板を格子状に重ねていく。
「ほらこうやって重ねると丈夫になるよ。
重ねる事で色んなものが丈夫になるんだ。
紐を三つ編みにすると丈夫なロープになるだろう?」
その瞬間ぱあっと笑顔になったココちゃん。
すぐに木粉で新しく細長い薄板を作り、
一生懸命重ねていった。
こうして出来上がった格子編みの座板と背板は、
弾力が強すぎて深く沈み込み、
かえって座り心地が悪くなってしまった。
「うーん……もっと重ねれば沈み込みは防げる。
でも、これなら最初から厚めの板のままの方がよかった?」
かわいらしく首をかしげるココちゃん。
「そうだね、ある程度硬さも必要そうだね」
私もうなずく。
しかし、ココちゃんはそこで終わらなかった。
しばらく悩んだあと、
台車を眺めながら私に話しかけてきた。
「ミノリ、椅子では柔らかすぎるから駄目だった。
でも馬車のシートならどうかな?」
「うーん、私は村の中で少し乗った経験しかないから……
ココちゃんは馬車に乗ったことあるよね?
馬車に関しては私よりココちゃんの方が分かると思うよ?
ココちゃんが使えると思ったのなら、
本当に使えるのかもしれない。
台車で試してみる?」
「うん!」
言うが早いかすぐに一台の台車を持ってきて、
荷台部分に格子シートを乗せていた。
そして嬉しそうに台車に乗せたシートに座った。
「クク、お願い!」
ククさんは、よし来たと言わんばかりに瞬時に台車を引く準備に入った。
「クク、出……」
ココちゃんが声を上げようとした。
その前に私は慌てて声を上げた。
「ココちゃん、ククさん、待って!
まだ危険があるかもしれません。
最初はゆっくりでお願いします!」
私の言葉を聞いて一瞬、
硬直したククさんと、少し残念そうにするココちゃん。
二人のあの様子を見るに本気で走るつもりだったなと思った。
(間に合ってよかった……)
私は心からそう思った。




