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七章 八話 発芽

「ミノリにい!」

朝、ソエルの元気な声で目を覚ました。


「おはよう、ソエル。

朝から元気だね…どうしたの?」

何か前にも似たようなことがあった気がしていた。


「顔出したよ!」

ソエルの声はただそれだけ……

そして私の手を掴んで引っ張った。


立ち上がりその手に誘われるようにソエルの後について行く。

扉が開くと日の光がぼーっとしている頭を少しずつ覚醒させてくれた。


そして連れてこられたのは家庭菜園の場所だった。

大きめの四つの畑、その隣に少し小さい畑が二か所。

その小さい畑では小さい緑色が顔を覗かせていた。


「ほら頭の先が出てる!

これから大きくなるよね?」

その目には期待と、

一度失敗したことへの不安が入り混じっているように見えた。


「そうだね…

これから大きくなってくれると思うよ」

優しく笑顔で答えた。


その言葉を聞き、元気に「うん!たのしみ!」と、

笑顔で答えてくれた。


次の日にはニンジンがうっすらと芽を出してくれた。

その三日後にはジャガイモの芽が出た。


ジャガイモとニンジンの芽が出たとき、

一番喜んだのはココちゃんだった。


「これがニンジンになって…これがジャガイモになる…

不思議……」

そう呟きながら、屈んで、出てきたばかりの芽を、

指でチョンチョンと優しくつついていた。


その光景を笑顔で見守るククさんもまた、

幸せそうにしている。

いや、ククさんだけじゃない。

ルカもソエルもメリイもそして私も、

同じ気持ちだったと思う。


種を植えて二週間が経つ頃には、

メイズの細い剣の様な葉は二枚に増えていた。

ニンジンは糸のように細い二枚の葉の間にギザギザしたものが出てきた。

そして今まで変化の見えなかったジャガイモもやっと葉をつけ始めた。


「これからだね。

次はそだつかなー」

メイズの若葉を見つめながらつぶやくルカ。


「うん……

前は頭を出してくれたけど大きくなれなかったもんね」

ソエルが答える。


「今度は大丈夫だと思う」

ココちゃんはメイズの尖った芽を指でつつきながら言った。


「「え!?ココ、メイズ分かるの?」」

驚いて聞いてきた。


「違う?

私は見たことがないけど、ククが教えてくれた。

温かくなると育って硬い実がいっぱいの実になる。

あと育てやすい」

ククに視線を送ると笑顔でうなずき返している。


「前は寒い時期に植えたのよね?

ならそれが原因で枯れたんだと思うわ。

ルミナリアの人から聞いた話では、

冬の時期は北のほうに行くと育ちにくいらしいの。

でも今のこの時期なら多分育つと思うわ。」


ククさんの存在は私には有難かった。

いや私だけじゃない。

村を出ない子供たちにもきっと貴重な話を知る機会になる。

私が無言で考えているとルカが再び口を開いた。


「んー…でもまだ分かんないし、

ボクたちは今まで通りに大事に育てようよ。

また失敗はしたくないし」


「ルカの言うとおりだね。

私たちは今まで通りしっかりお世話をしていこ?」


「うん。

慎重になるのは大事」


「ククおねえちゃん、

何か分からないことがあったら聞いても良い?」


「もちろんいいわよ。

でも私が育てたことがあるわけじゃないから……

それでも私が知っている事なら教えてあげるわ」


「ありがとうククおねえちゃん」

「ありがとうククねえ」

「ありがとうクク」


ルカ、ソエル、ココちゃんの元気な声が、

土から出てきた若葉を揺らしたように感じた……

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