↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
153/163

七章 三話 子供の安全(ブランコ)

翌日の早朝。

私は早起きして、ブランコの材料と石を広場へと運び、

ブランコを組み立て直した。

柱を埋める場所には石を使い、土台をしっかりと圧縮して固めた。

昨日以上にしっかりと固定された。


梁に、三本を束ねて圧縮したロープと座板を取り付け、

昨日の試作品とは比べ物にならないほど、

しっかりとしたブランコが出来上がった。


「これでトトさんの準備が整ったら作り直せば本当の完成かな…」

そう一言呟き、家へと戻った。


それから七日間は木こり作業をした。

いつもの暮らしを送り、

休みの日。


私はロクさんの石工場へ向かう事にした。

トトさんにブランコの事を相談するためだ。


サウロさんとマローネさんはシオンさんの家へ行くと言って出掛けた。

カカさんはトトさんの所に向かった。


そしてメリイとククさんと子供たちは私と一緒に家を出た。

ルカ、ソエル、ココちゃんは広場で遊ぼうというので、

一緒に広場まで歩いた。


その短い時間、

子供たちのわくわくした笑顔と弾むような歩き方は、

私まで嬉しい気持ちにしてくれた。


そして広場に着いた私たちは、

二人の子供が遊んでいるのを目撃した。


ブランコに乗っている二人の顔は嬉しそうで、

足を空に向けて頑張って漕いでいた。

どちらが高く揺らせるか、競っているように見えた。


その子たちにルカとソエルが駆け寄っていく。

ココちゃんは暫く眺めていたけど、

ソエルがすぐに戻ってきて「ココも行こう」

そう言って、手を引いてブランコの前まで駆けて行った。


その光景を眺めてほほ笑む私とメリイとククさん。

楽しそうに会話をしながら、

一生懸命にブランコで遊ぶ子供たちを眺めていた。

しばらく眺めた後、ルカたちはメリイとククさんに任せて、

私が一人でロクさんの家へと向かった。


「こんにちはロクさん」

石工場で何やら削り出しをしているロクさんに声をかけた。


「ミノリ。こんな朝早くにどうした?」

削っていた手を止めて私に向き直ってくれたロクさん。

その先には人の形をしたものが削られていた。


「トトさんに少しご相談したいことがあって来ました。

トトさんはどちらにいらっしゃいますか?」


「トトさんならカカさんと一緒に川の方へ行くと言っていたぞ。

工房と家の場所を決めるそうだ」


「分かりました。

では向かってみます。

お邪魔しました」


「気にするな。

また暇な時に顔を出してくれ」


「分かりました」


そう言って南西の門をくぐって外に出た。

そして数分歩くとすぐにトトさんとカカさんを見つける事が出来た。


「おう、ミノリこんなところに珍しいな。

ワシに用か?」


「ほんと珍しいわねミノリさん」

二人の腰には剣があった。


丸腰で来てしまった私は反省した。

いつもはメリイが一緒で剣など持ち歩かないから完全に油断していた。

村の外には魔物がいる。

村から出る気がなかったとはいえ、

油断しすぎだったと二人を見て思った。


「おはようございます、トトさん。

カカさんもお揃いですね。

実はトトさんにご相談があってきました」

私は何とか気を取り直して話しかけた。


「ワシに相談?

ブランコとやらの事か?」


「ええ、そうです」


「カカに聞いた。

鉄を使って部品を作って欲しいそうだな」


「ええそうなんです。

工房が出来次第お願いしようと思いまして。

子供が遊ぶものですから、

安全にそして少しでも今より丈夫にしたいので」


「お前は相変わらずじゃのう」


「そこがミノリさんの良い所ですよ」


「そうなんじゃがなあ…

まあ、言うても始まらんか。

それで部品じゃったな」


「はい。

先に話しておきたいと思いまして。

場合によっては、

ガラムさんから鉄を譲ってもらわないといけませんし」


「そういう事か。

分かった。

では一度ブランコの元に行こうかのう。

ものを見ながらの方が良いじゃろう」


「ありがとうございます。

今は子供たちが遊んでいたので、

丁度いいかもしれません」


「では戻るかのう……」


そうして私たちは広場のブランコまで戻った。

子供たちの邪魔にならないように、

少し距離をあけて話し始めた。


「あの梁を支える柱は、できれば鉄にしたいんです。

それと、梁と吊り縄をつなぐ部分も鉄製にしたいです」


「なるほどのう……。

あの紐は鉄の棒にしてはいかんのか?」


「それなんですけど、確かに鉄の棒で作られたものもあるんです。

ただ、棒にすると前後に揺れるための仕組みが必要になりますし、

今回は縄を使おうと思っています。

木材は圧縮すれば硬くできますけど、鉄と同じにはなりませんからね。

雨ざらしになることも考えると、柱や梁は鉄にしたいんです」


「ふむ。では、吊るす部分はどうするのじゃ?」


「上の部分は鎖にして、

下の三分の二くらいを三つ編みにした縄にしようと思っています。

縄なら傷んだときに交換できますし、座板も取り外せるようにしたいんです。

日が暮れたときや雨の日には、

縄と座板を外しておけば、長持ちさせられると思います」


「なるほどのう。

鎖を梁に固定してしまうのではなく、

取り外せるようにするのじゃな?」


「はい。梁に受けを作って、

鎖の先に付けたフックを掛けるんです。

フックには、

簡単に外れないように留め具も付けたいですね」


「ふむ……。

使わぬときには外しておけるわけか」


「そういうことです。

あとは実際に作ってみて、

問題があれば直していきたいと思っています」


「わかった。

ではワシの方でも今の話をふまえて、考えておこうかの。

何かあれば相談するとしようかの」


「お願いします」


ブランコの相談を終えた後、

私たちは子供たちが楽しそうにブランコで遊ぶ様子を、

静かに見守っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。