七章 二話 ブランコ
ブランコの試作品を作ったその日。
ルカとソエルとココちゃんが揺れ椅子を作っている途中に、
サウロさんたちとメリイも帰ってきた。
ルカ、ソエル、ココちゃんは慌てて作業を止めて家へと戻り、
ククさんの文字読みで絵文字板を遊んでいたらしい。
まだ日が高く夕食の準備は前日の余りもあって温めるだけらしい。
サウロさんとマローネさんも今日は予定は終わったらしいので、
後日にお披露目かなと思っていたブランコを、
今日、確認をお願いする事にした。
ルカとソエルとココちゃんが、
早く見たいと言ったことも私の背中を押すきっかけだった。
皆で広場に向かい仮組のブランコの前まで来ていた。
そして、二枚の座板にそれぞれ二本ずつ縄を取り付け、
梁に結んで遊び方を説明した。
最初に座ったのはククさんとココちゃん。
安全の確認の為に名乗り出てくれたククさんと、
ルカやソエルより身体能力が高いココちゃんが、
先に座ってくれた。
ルカとソエルはその様子をわくわくしながら見守っていた。
そして最初はただ後ろに足で下がりそのまま前へと、
振り子のように進むと足が少し高い位置まで上がった。
「これは気持ちが良いわね。
普段味わえない感覚よ。」
ククさんはお気に召した様子だ。
「ククー見て。
私の足が浮いてる。」
ココちゃんが横で揺れているククさんに、
嬉しそうに話しかけている。
その様子をルカとソエルは目を輝かせて、
ココちゃんとククさんの様子を楽しそうに眺めていた。
しばらく遊んだ後、ブランコから降りたココちゃんは、
嬉しそうにルカとソエルに話しかける。
「ルカ、ソエル。
これ気持ちが良い。
足が浮いて楽しいよ。
早く試す。」
そして次はルカとソエルの番になった。
最初は足を使い後ろに下がって、
前へと揺れるだけだった。
それでもルカもソエルもすごく楽しそうにしていた。
「ほんとだ、足が浮いていて不思議ー。
これ楽しい!
おとうさん、おかあさん、見てー!
すっごく足が上がってるよー!」
「サウロおじさん、マローネねえ。
私も浮いてるー!」
二人とも笑顔でサウロさんとマローネさんに声をかけていた。
「見てるぞー。」
「ほんとう、楽しそうね。」
二人の嬉しそうな様子に、
最初は心配そうな顔をしていたサウロさんとマローネさんは、
その様子を見ながらこれなら大丈夫かなと相談していた。
そしてルカは早めに降りてココちゃんに交代した。
そしてソエルとココちゃんが遊んでいると、
ココちゃんがソエルに声をかけた。
「ソエル、これ、
紐を掴んで体を前後に動かすと、
足で下がらなくても勝手に動く。」
「ほんと?」
その言葉を聞いてしばらくココちゃんを見ていたソエルは、
真似をするように足を動かして、体を前後にゆすっている。
「ソエルもココもすごい上手!」
ルカも体を弾ませながら手を叩いて喜んでいる。
しばらく子供たちの様子を見た後、
私はサウロさんとマローネさんとククさんに話しかけた。
「このように遊ぶものですね。
今は紐だけですけど、
三つ編みにして圧縮をかければ強度を上げられます。
ブランコの台になる部分は今は木で作っています。
圧縮を使っているので簡単に割れることはないと思いますけど、
トトさんが鉄を加工できるようになれば、
柱や梁、接合部分を鉄に変えて、もっと強度を上げられると思います。」
「今見た感じなら大丈夫そうだな。
ただ動きが早くなると、
近づくのは危ないかもな。」
少し気になった様子で話すサウロさんは、
マローネさんと確認するように話しかけた。
「そうね。
そこはしっかりと子供たちに注意して、
遊び方を教えておかないといけないわね。」
マローネさんもサウロさんの意見に賛同していた。
「そうですね。
そこはしっかりと伝えた方が良いわね。」
ククさんはココちゃんから目を逸らさずに答えた。
しばらく子供たちの楽しそうな声を聞きながら話していた。
その間にソエルもうまく振り子のように動けるようになった。
「やったー!私も出来たー!」
大喜びのソエル。
ルカとココちゃんも自分の事のように喜んでいた。
賑やかな声があがる広場が気になったのか、
村長とセリアさんが村長の家から出てやってきた。
私はブランコの遊び方、
そして今後鉄製にするという事も説明をした。
「おもしろいのう。
しかし動きが激しい…
子供たちにはしっかり注意をしておくべきじゃな。
セリア…
すまんが遊ぶときの注意をしっかり伝えておいてくれるかのう。」
「分かりました。
各家庭へ伝えておきます。」
真剣な顔で答えるセリアさん。
私は「お手数ですが、宜しくお願いします。」
と伝えて試作品のブランコを一度ばらしてこの日は家へと戻った。
その日の夕食は、前日の残りの肉とスープだった。
それでも、子供たちにとっては贅沢な食卓だった。
そしておいしい料理と今日のブランコの話で、
子供たちの賑やかな食卓になっていた。




