七章 一話 秘密?
トトさんとカカさんのロッキングチェア。
子供たちの命名「揺れ椅子」を見つけてしまった私……
「おにいちゃん。絶対言っちゃだめだよ?」
「そうだよ。
ここまで頑張ったのに、
これでサウロおじさんとマローネねえにバレちゃったら、
せっかくの苦労が台無しだよー。」
コクコクと無言でうなずくココちゃん。
ルカとソエルの様子は、かわいらしさにあふれていた。
けれど、無言のココちゃんと、
その様子を見て目を細めるククさんには、
私は少し恐怖を覚えていた。
「いや…ごめんね。
でも仕方ないんだよ。
私は今日の休みを利用してブランコを作ろうと思って、
材料を取りに来たんだから……」
実はサウロさんとマローネさんは、
子供たちが何かを作っていることには気づいていた。
けれど、それが何なのかまでは分かっていない。
そして、あえて気づかないふりをしていた。
それはククさんも知っているはずなのに、
何故私に圧をかけてくるのか……
ククさんの視線に少しの理不尽さを覚えながらも、
ルカとソエルとココちゃんに何とか説明をした。
「もうー、ミノリにい。
絶対に内緒にしてね。」
ルカとココちゃんもうなずいている。
「わかってるよ。
人が幸せになるどっきりは大切だからね。」
「そう!どっきりは大事なんだよ、おにいちゃん!」
「ドッキリー!」
「父、母を驚かせる。だから内緒にする。」
ルカとソエルはどっきりという言葉が気に入ったようだ。
「約束するよ。
それじゃあ私はブランコを作りに行ってくる。
出来上がったら一度、
大人に見てもらう必要があるから、
許可が出て完成したら教えるね。」
「ブランコも気になるけど、
今はおとうさんとおかあさんの椅子が大事だから。
ごめんね、おにいちゃん。」
「うん、そうだよね。
ミノリにい、一緒に行けなくてごめんね。」
「私の分は終わったけど、ルカとソエルの手伝いをする。」
ルカとソエルは少し申し訳なさそうにしていた。
ココちゃんも二人に最後まで付き合うそうだ。
「私の方は気にしなくていいよ。
それに作ってる途中を見るより、
出来上がったものを見るのも楽しいと思う。
少し違うけど、それもどっきりだね。
それにトトさんとカカさんの分が出来てるんだ。
サウロさんとマローネさんの分も作って、
早く笑顔が見たいでしょ?
ルカとソエルとココちゃんの椅子作りを、
応援している。
ただ、怪我だけは気を付けてね。」
「うん!」
「はーい。」
「うん。」
ルカ、ソエル、ココちゃんの元気な声が重なる。
子供たちとの密会を終えた私は、
台車に二メートルの丸太を六本と大きめの木の板、
そして木箱を乗せて、広場へと向かった。
台車を引く私は、自分の成長を感じていた。
丸太を六本も載せているのに、
こんなに簡単に引けるようになったんだ……
そんなことを思いながら、
子供たちの笑顔を想像して広場へと向かった。
水場から数メートル離れた場所に移動して、
丸太の表面を[クリエイト]で削っていく。
表面を綺麗に整えたら、
圧縮を使って細く、硬くしていく。
削った木くずは木箱へ集めておいた。
地面に斜めに三十センチほどの穴を開け、
そこに出来上がった棒を刺していく。
頭頂部で綺麗に交差するように、
棒の角度を見ながら、
その都度、穴の角度を調整した。
次に、重なる部分をそれぞれ凹状に削り、
二本の柱がぴったり重なるように加工した。
二本の柱を組み合わせ、
横から見ると三角形になるように固定する。
それを左右に作り、その間に梁を通した。
少し低いかなと思いつつ、
一応強度を確かめようと私は梁にぶら下がる。
何度か上下に揺らしてみたが、
折れることもなく、
曲がるようなこともなかった。
安心した私は四本の柱と梁を一度ばらして、
今度は柱の交差部分と梁をロープでしっかりと縛った。
そして、再び組み直した。
柱と穴には隙間が空いていたので、
木くずを入れて圧縮で固めた。
そしてロープと座板も一応作った。
ただ梁にはつなげない。
何も知らない子供たちが、
これを見て勝手に乗ると危ないかもしれない。
今はサウロさんたち大人の意見を聞くための試作だ。
これで大丈夫と許可が出れば、
本格的に基礎部分は石で作り、
しっかりしたものにしようと思っている。
梁やジョイント部分もトトさんと相談して鉄で作るつもりだ。
こうしてブランコの柱と梁は組み上がった。
これで許可が出ればいよいよルカとソエルとココちゃんに
試してもらおう。
その時の嬉しそうな光景を想像しながら、
私は広場を後にした……




