六章 二十一話 きょうだい
村長宅をでた私は広場の祠に手を合わせた。
そして周りを見渡す。
交易市で使う場所で、
子供の憩いの場。
ここにブランコを作ると邪魔になるだろうか…
それとも別の場所に作るべきか考えていた。
水場を作りブランコを作り、
まるで令和には消えた子供だけの遊び場…
昔の頃の…
今はなくなりつつある公園だな。
周りの厳しい目や声によって、
遊具が減り、子供たちの遊べる場所も減った。
そんなイメージしかなかった。
でもなー…痛みを知り、
体を動かす事ってすごく大事だと思うんだよな…
日本の考えを持ち込むのは違うと思うし、
子供でも労働力と考えるなら、
体を使った遊びは大事だと思う……
そして決めた。
広場に遊具を色々作ろう。
交易市の時には商会の人も来るし、
そこで色んな遊具を気に入れば、
シエ村の収入も増えるかもしれない。
そしていつか出来るだろうシエ村の孤児院。
「孤児院かー……何か他人行儀で嫌だな……
学校…も何か違うなー……
実り屋……実りの木…大樹……」
何気なく呟いていた。
実りの木で良いかなー。
私の家で子供たちを預かり、
将来の為になれるような場所にする……
文字通り子供の為の実りになる場所を作る。
孤児院ではない。
新しい場所を……
「よし!」
自分の両頬をパンと軽くたたいて気合を入れた。
願わくは、一人も来ないのが一番良いと思う。
それこそ私の苦労が無駄になるのが一番なんだ。
それでもこの世界は残酷な面もある……
それは少なからず私も理解している。
だからやる…
出来る限り……
――サウロ家の作業場
「凄いよココ!
凄く丈夫になってると思う。」
ソエルが大喜びしていた。
その手には椅子のひじ掛けの部分。
それは圧縮されて綺麗な断面と強度がある部品になっていた。
「でも圧縮で小さくなった…
これじゃあサウロさんたちには小さい……」
「それは大丈夫じゃないかしら。
その小さいものは父と母用にすればいいわ。
サウロさんたち用はもっと大きく作ればいいのよ。
それで無駄にならないわ。」
ククさんの言葉でルカ、ソエル、ココの顔に笑顔が戻る。
「それだー!
ククねえすごーい!」
ソエルがククの前で飛び跳ねて喜んでいる。
「ククおねえちゃん、すごいよ。」
ルカも尊敬の目を向けていた。
「ククすごい。
ククの意見は勉強になる。」
ソエル、ルカ、ココの言葉に顔が緩むクク。
それは心からの喜びが浮かんでいた。
「ねーねー、ククねえ。
もし何か気が付いたらもっと教えてね。」
ソエルが笑顔でそう言うと、
ククは少しぽかんとしたあと、
笑顔になり、力強くうなずいた。
「ソエルは駄目。
ソエルは私とルカの……」
目を細めてククにそう話すココ。
その言葉にククがかえした。
「私はココが一番よ。」
と言うと、ココは無言でうなずいた。
ソエルに嫉妬したのか、
ククに嫉妬したのか分からないけど、
それでも感情を表に出すようになったココに対して、
ククは心から嬉しくなっていた。
「それじゃあ私はココだけじゃなくて、
ルカとソエルのおねえちゃんかしら。」
その言葉にルカの耳が反応を示した。
ソエルも視線をすぐにククに向けた。
「え!良いの!?」
「良いの?ククねえ?」
ルカとソエルの嬉しそうな言葉に少し驚きつつ答えた。
「もちろんよ。
ルカもソエルも私をククおねえちゃん、
ククねえ、と呼んでくれているでしょ。
その呼び方は私も嬉しいもの。」
笑顔でそう答えると二人は嬉しそうに私に飛びついてきた。
ククと身長の差はほとんどないけど、
それでもかわいらしい仕草に、
ククも嬉しそうに抱き返していた。
「それじゃあココは私とルカの妹だね。
これからもよろしくねココ!」
ソエルが元気に声をかける。
「ココ、ボクもよろしくね。」
ルカも満面の笑顔で言った。
「ルカとソエルが嬉しそうで私も嬉しい。
クク、私大好き。
二人も好きになった。
ルカが兄、ソエルが姉になって私も嬉しい。」
ココの言葉を聞いて、
少し涙が浮かぶクク。
その心は新しい弟と妹。
そして最愛の妹からの言葉で
胸がいっぱいになっていた……
本作をお読みいただき、ありがとうございます。
当日12時に外伝を投稿します。
もちろん読まなくても本文を読み進めるのに問題はないと思います。




