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六章 二十話 これからの事と小さい思い

―村長宅


「ミノリさん。

孤児院の話は聞いておる。

じゃがお前さんは少し無理をしすぎじゃないか?

子供のためとはいえ、

水場を作り今度は孤児院……

正直手を広げ過ぎじゃと思うが…」

私の事を気にかけてくれているんだろう。

村長は心配そうに声をかけてくれた。


「気遣って頂き、ありがとうございます。

でも大丈夫です。

無理はしていませんし、

何十人と受け入れるわけではなく、

あくまでトルヴェール商会の孤児院で、

どうしても癒せない、

心に傷を負った子供を受け入れるだけですから。

私にできる範囲で、できることをやるだけです。」


村長は私の言葉を聞くと、

しばらく黙り込んだ後、口を開いた。


「そこまで言うのなら止めん。

この村の土地なら好きなようにすると良い。

上にはガランさんが報告する手はずになっとるし、

ワシもそこまで負担が出るわけでも無い。

反対する理由はないからのう。

それに子供が増えるのはこの村にとっていい事でもある。

そしてお前さんがソエルやココのように、

他の子も癒せるのならやったほうが良いじゃろう。

ワシは全面的に応援するつもりじゃ。

ワシに出来る事は相談するんじゃぞ。」


その言葉からは、

子供たちを思う気遣いが伝わってきた……


「…ありがとうございます。

やる以上、全力でやります。

何か至らない点もあると思います。

その時はご相談させて頂きます。

その際は宜しくお願いします。」


「うむ、いい顔じゃ。」


「それと、孤児院の運営についてもう一つ相談があります。」


「まだあるのかの?」


「今後孤児院を作るにあたって、

村の自給力を上げようと思っています。

孤児院の子供たちの食事や生活に必要な物を、

少しでも自給したいんです。

助けてもらっているだけでは駄目なことも学んでほしいので。

まだ成功はしていませんが、

メイズと今後鳥などを飼育していこうと考えています。

メイズは育てるのが難しくないですし、

鳥も難しくないと思います。

子供たちと協力して、

育てていこうとも思っています。

その時は村の周辺に、

孤児院の建物だけではなく、

畑に飼育小屋なども作ろうかと思っています。

その際の木材について、

他の木工場にもお願いしたいです。

あと衣服もそうですね。

その口利きもお願いしたく思います。」


「もちろん構わんよ。

むしろ村中で仕事が増えて有難いじゃろう。

その辺の雑用はワシに任せておけ。

お前さんは普段通り生活を続け、

今後の準備などを進めてくれ。

ミノリ、お前にはこの村を助けてもらっている。

この話はこの村にとっても良い機会になるじゃろう。」


「ありがとうございます。

では、宜しくお願いします。」


「うむ……しかしミノリよ。

お前は本当に子供が好きなんじゃな……

じゃが子供を預かるのは大変じゃ。

しっかり覚えておくんじゃぞ。

一人で背負い過ぎず、

時には周りに頼るようにな。

お前はワシらの家族じゃからのう。」


その言葉で、私の心は温かい気持ちでいっぱいになった。

「はい…しっかり覚えておきます。」


こうして話し合いは終わり私は村長の家を後にした……



―サウロ家の作業場


「クク……」


「なにも聞こえなーい。

私は今日はココと一緒にいると決めてるの。

誰にも邪魔はさせない。」


「ククねえなら良いんじゃない?

サウロおじさんとマローネねえには内緒にしてくれるなら。」


「うん、そうだね。

ククおねえちゃん、約束してね?」


「ええもちろんよ。

でも子供だけで作業場に来てなにするの?

危ないわよ。」


「でもこれから作るのは内緒にしたいんだ。

本当はミノリにいに見てほしかったけど、

今日は用事があったようだし…

でもククねえが来てくれてよかった。

子供だけじゃないから怒られる心配もなくなったもん。」


「怒られるのを覚悟して作る気なのね。

でも怒られるような物なら私も黙ってはおけないわよ?」


「怒られるものじゃないよ。

マローネねえは

私たちだけで刃物を使うことを心配してくれてるの。

でもククねえが居るから大丈夫。」

「怒られる物」ではないことを、

ソエルは一生懸命説明をした。


「それならいいわ。

それで何を作るの?」


「椅子だよ。

揺れる椅子を作るんだ。

気持よかったんだよー。」

ルカはその良さを全身で表現して話した。


「それで私とルカとココで揺れる椅子を作って、

皆をびっくりさせて、喜ばせたいんだー。」


「もちろんククの分も作るつもりだった。

父、母、ククにはお礼がしたい。

いつも可愛がってくれる。

だから内緒にしたかった。

でも結果良かった。

ククが居れば子供だけじゃない。

怒られる心配がなくなった。」


普段、ククには見せないココの本心だった。


自分の分まで作ると知り、

嬉しさでいっぱいになるクク。

けれど、秘密を知ってしまったために、

完成したときの驚きは味わえない。

そんな複雑な気持ちに悶えながら、

無理やりついてきたことを後悔するククだった……

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