六章 十九話 後に残る静けさ
「行ったな……
ミノリこれから大変だぞ?」
サウロさんの声には、
安心と不安が入り混じった、
複雑なものだった。
「そうですね…
でもこれは私がやるべきことだと思います。
だから精一杯がんばってみますよ……」
「まあ俺たちも手伝うさ。
今まで通り、一緒にやっていこう。」
私の言葉を聞き、
背中を押すようなそんな言葉をかけてくれる。
「ありがとうございます。」
「おにいちゃん!
ぼくたちも手伝うよ。」
「私も私も!」
「私も手伝う。
父と母もククも一緒。
だからなんとかなる…」
ルカ、ソエル、ココちゃんの声にも、
私を支えようとする優しい気持ちがこもっていた。
「そうじゃな。
ミノリ何かあれば何でも言え。
ワシらに出来る事なら何でも付き合ってやるわい。」
トトさんもうなずいてくれる。
「皆さん、ありがとうございます。
と言っても今すぐに何かやる事ってないんですよね。
なのでしばらくは、
いつも通り生活を続けるしかないんですけどね。」
「先にガランの商会の孤児院が先になるじゃろうし、
ミノリの方は当分先になるじゃろうな。」
馬車の後を追うように視線を向けて言った。
「そうですね。
それまでに場所などを相談しておかないと…」
「それで良い。
すぐにあれだこれだと考えると、
まとまるものもまとまらん。」
サウロさんが頷いてくれた。
「ええ、わかっています。
私はこれまで通り木こりの手伝いをしつつ、
休みの日にブランコとか作ろうと思います。」
その言葉を聞き、
ルカ、ソエル、ココちゃんの顔が、
ぱあっと笑顔になった。
「ブランコ?なんじゃそれは…」
トトさんはどういうものか分からない様子で、
新しいものに対して興味がある様子で聞いてきた。
「遊具です。
木吊り台と同じ要領で遊ぶものですね。
ルカとソエルとココちゃんには話してたんですけど、
それを作ろうかと思います。
ずっと待たせてしまっていたので……」
そう言いながら地面に絵を描いて説明した。
ルカたちに目を向けると、
目を輝かせている三人が絵の前で嬉しそうに、
そして真面目な顔をして話して込んでいる。
その姿を見て私も嬉しくなる。
「何か手伝えることはあるか?
鉄部品が必要ならしばらく時間がかかるが、
ワシも手伝えるぞ?」
「ええ、いずれそうなります。
最初は木材と石材で作って、
トトさんが鉄の加工ができるようになったら、
お願いすると思います。」
「こりゃ、早めに工房を作らんといかんのう。
カカ、クク、ココ手伝ってもらうぞ。」
声をかけられた三人は力強くうなずいていた。
「ときにミノリよ。
今後、孤児院をやるんじゃろ?
なら次の交易までに本気で交易品も考えたほうがいい。
いくら蒼鱗が支援すると言っても、
全てを任せる気はないじゃろう?
なら自で稼ぐ術を増やすのも手じゃぞ。」
「はい、わかっています。
そのための事も考えています。
比較的飼育しやすい鳥を育てて食料や収入にしたり、
子供たちに簡単な計算を教えたりしようと思っています。」
「自給自足だけでなく、
子らの将来まで考えておったか…
それならワシから言うことはないのう。」
「いえ、トトさんのお言葉は有難いですよ。
今後も頼りにさせてもらいます。
サウロさんやマローネさん。
カカさんにククさんも頼りにさせてもらいます。
村の皆さんにもです。」
「それでいい。
一人で抱え込む必要はないからな。」
サウロさんも力強くうなずいている。
「はい。
私はこの後村長と今後の事を相談してきます。
場所などは先に決めておいた方が良いと思うので。」
そうしてその場で解散になった。
私は村長宅へ。
ルカとソエルとココちゃんは、
三人で何かやるらしい。
メリイは最初はソエルたちと行動しようとしていたけど、
内緒という子供たちの言葉を聞き、
森へ鍛錬と薬草探しに向かうと言っていた。
サウロさん、マローネさんは二人でのんびりするそうだ。
トトさんとカカさんはロクさん宅で相談。
そしてククさんはココちゃんに付いて行くと言って、
誰の意見も聞かないモードになっていた……




