六章 十七話 外伝 蒼鱗
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この外伝は読まずに進めても、
本作を読むのに支障はないと思います。
気になった方は読んで見て下さい。
読んでいただけるとうれしいです。
――村の郊外
蒼鱗のメンバーは新しい防具の感触を確かめるため、
村から数キロ離れた場所に来ていた。
何もない平原で武器の感触を各々で確認して、
そしてその武器の性能に驚嘆していた。
「信じられない。
見た目は変わっていない。
でも剣自体が全くの別物。
スキルも魔力すらそこまで練り込んでいないのに…」
シェラの驚きの声……
目線の先には、
二メートルはある岩が真っ二つに割れていた。
「私の方も同様ですわね。
本気で魔力を込めるのが怖いですわ…」
フローラは支援魔術を試していた。
そして支援をかけたヴァレリアを見つめながら話した。
「フローラの支援の強度が増していたな。
私自身、下手に魔力を込めるととんでもないことになりそうだ。」
リーダーであるヴァレリアもそう答えるだけだった。
その足元には、硬い地面に足跡の窪みが深く刻まれていた。
その先には二メートルは超える岩が粉々になっている。
「これで私のいう事が分かったかしら?
いざ使用すると現実味が増すでしょう?」
「ええ…
信じてはいたし、理解もしていた。
ただ実際に体験すると驚くだけね。
ミノリさんが強化する時間は数秒…
効果は光っただけ。
見た目も変わりはなかった。
でもまったくの別物……
確かにその効果は手に持てば理解は出来た。
でもいざ使うとこれか?
想像以上の効果で焦ったぞ?」
ヴァレリアの声には驚嘆がこもっていた。
「私も正直ここまでとは思わなかったわ。
鉄がミスリルに変質した位に感じるわね。
今の私たちが本気を出せば、
軍ですら対処できそうよ。」
「何を言っているんだか……
貴方はそれがなくても本気を出せば元からでしょうに……」
確信を持った意思でその言葉を投げかけたヴァレリアは、
苦笑いを浮かべるだけだった。
「まあ長い間、海を越えて旅を続けていますからね。」
その言葉は軽い感じで話していた。
でもその目は遠くを見つめるように見えた。
「良いなー。
僕もいつか別の大陸を見て歩きたいよ。
でも泳げないしなー。
海は怖いや。」
「今度教えて差し上げましょうか?」
「いらない。」
「シェラ、弱点を減らすのも悪くないぞ?」
「僕が泳げないのは弱点じゃない。」
「まあ、そこがシェラの可愛らしい一面ですわ。
でも覚えたくなったらいつでもおっしゃって下さいね。
安全な場所をご用意しますわ。」
「ありがとうフローラ。
でも当分は良いや。」
「さて、そろそろ戻ろうか。
村の中での待機時間とはいえ護衛任務はまだ続く。
皆、気を抜き過ぎないように。」
「ええ。」
「わかりましたわ。」
「わかった。」
(さて、皆の中でもこの村の重要度は上がったかしら。
そうだと嬉しいけれど……)
ロアは自分が気に入ったこの場所を、
皆も気に入ってくれることを心から願っていた。




