六章 十七話 庭での小さい宴会
北東の門から中に入ると、
交易市の賑やかな雰囲気はなくなり、
普段の落ち着いたシエ村が戻っていたことに気が付いた。
サウロ家の作業場の前にくると、
サウロさんとトトさんが庭で石をくみ上げていた。
「ミノリ戻ったか。
お前もかまどを作るのを手伝え。
ガラム様がピン倒しを相当お気に召したようでな、
村の家々に肉を分けてくれた。
折角だ。
今日はトトさんとロクさんの家族を招いて、
家の前で夕食にするぞ。
今日は豪勢にいこう。」
かまどを組んでいるサウロさんの表情は、
交易市の疲れが見えないほど生き生きとしていた。
トトさんも石を組みながら私に話しかけてきた。
「みのり。
お前が昨日作っていた串焼きを作ってくれ。
それをつまみに今日も飲むつもりだ。」
豪快に笑いながら話すトトさんも嬉しそうだ。
カカさんとククさん、
ココちゃんも嬉しそうにしている。
ココちゃん…まさか、飲まないよな……
少し不安になった。
「わかりました。
では準備してきます。」
包丁を取りに家の中に入ると、
ルカとソエルが何やら二人で話をしていた。
「あ、おにいちゃん、メリイおねえちゃん、
おかえりなさい。
おにいちゃんは大丈夫だった?」
心配そうに聞いてくるルカに笑顔で大丈夫だよと答えると、
笑顔を見せてくれた。
「メリイねえ、ミノリにい、おかえりー。
今マローネねえがお肉を切ってくれているよ。
今日はお庭で夕食だってー。
すごく楽しみ。」
メリイの手を取りぴょんぴょん跳ねながら話すソエル。
その声が聞こえたのかマローネさんが奥から出てきた。
「おかえりなさい、ミノリさん、メリイさん。
ミノリさん。
サウロとトトさんが串焼きをご所望なの。
一応昨日見たように肉を切ったけど、
これでいいかしら?」
そういって器に盛られた肉をみせてきた。
「ええ、大丈夫です。
すみません、お手伝いできずに。」
私が頭を下げると笑顔で答えてくれる。
「なに言ってるの。
気にしないで。
貴方も忙しかったでしょう。
ガラムさんたちとの話もこの村にとって、
大事なことよ?」
その声は深い理解のこもった言葉だった。
「ありがとうございます。」
私は感謝の言葉しか出てこなかった。
マローネさんが切り分けてくれていたので、
私はルカを連れて作業場へ向かい、
木材から数十本の串を[クリエイト]で作った。
そしてルカと合流したソエルとココちゃんも一緒に、
串に肉を刺していく。
ルカはサウロさんに、
ソエルはマローネさんに、
ココちゃんはトトさんとカカさんとククさんに、
それぞれ食べてもらうと意気込んでいた。
その様子は子供が親の為に一生懸命感謝を伝えようとする、
かわいらしく、そして健気な光景だった……
夕食はサウロ家とトト家だけじゃなく、
ロク家にシオンさんも参加した賑やかな場になった。
昨日の村中を巻き込んだものではない。
それでも普段とは違う賑やかな夕食だった。
ルカとソエルは満面の笑顔が絶えず、
お腹一杯になるまでお肉を楽しんでいた。
大人たちも笑い声の絶えない時間が続いた。
昨日は気にならなかったけど、
トトさんたちドワーフのお酒を飲むペースは、
私が想像していたものではなかった。
ごくごく大口で飲む豪快なものとは違って、
ゆっくりとお酒を楽しみ、
しっかりと味わうように飲んでいた。
貴重なお酒に対して感謝をしているようなそんな印象を受けた。
また一つこの世界の事を知った気がしていた……
ちなみにココちゃんはお酒を飲まずに、
トトさんやカカさんが楽しそうにお酒を飲むようすを、
お肉を頬張りながら、嬉しそうな顔をして眺めていた。
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本編の流れを止めたくなかったので、
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