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五章 二十話 広がる意思

本作をお読みいただきありがとうございます。


次回は外伝を同日12時に投稿する予定です。


外伝は読まなくても本編を読み続けるのに、支障はないと思います。

気の向いた方だけでも読んでみてください。

ククさんがサウロ家に来て二日、

今日も石をせっせと運んでいた。

でも一向に終わりが見えていない。

トトさんたちは数日で水路を引いたというのに、

私たちの作業はまだ先が長そうだった。


楽しく作業をしていた私たちにも、

気づけば焦りが混じり始めていた。


「こりゃ参ったな。

石を運ぶだけだというのに……

こりゃトトさんたちがよっぽどすごかったって事だな。」

苦笑いを浮かべるサウロさん。


「んー……ボクは楽しいんだけど、遅いと困る?」

ルカの声を聞いてソエルにも不安の顔がうかんだ。

「私も楽しいけど、マローネねえが困るのは嫌だ。

どうしようか……」


子供たちの声を聞き、しまったという顔をするサウロさん。

慌てて何かをしゃべろうとするサウロさんより先に、

マローネさんが口を開いた。


「ソエルちゃん。私は困っていないわよ。

私もサウロもルカやソエルと一緒で楽しいもの。

でもね、楽しいだけじゃ駄目な事もあるの。

折角作ったため池を、種植えの時期に使えるようにする事と、

間に合わずにしばらくそのままになっちゃうのと、

どっちが良いと思う?」

子供たちに優しく教えるようにそう話した。


「そっか。折角作るんだから、

早く使って、少しでも楽になってほしいよね。」

ソエルの顔を見て頷いている。


「うん。折角だもんね。

でもこれ以上早くって難しいよ?」

ソエルもルカに顔を向けながら、

空になった台車を引いている。


「いや、これは俺が悪かった。

ルカ、ソエル。

気にするな。俺が少し短慮だっただけだ。」

苦笑いを浮かべつつ子供たちに視線を向け謝るサウロさん。


「えー…」「たんりょってなにー?」

と笑いながらサウロさんの言葉に答えていた。


ルカとソエルは、サウロ家の篝火だな。

冷え込んでもしっかり温めてくれる。


ため池が見えた時、数人の人影が見えた。

ため池に近寄るとため池の脇に積み上げていた土の横に、

大量の石が小さい山になっていた……


「え……」

「なんだこりゃ。」

「あらあら…」

「うわあー。」

「おおー。石が山になってる」

いつの間にかため池の横には積まれた石くず。


「こりゃ、誰かが運んでくれたようだな。」

サウロさんがそう言うと東側から

ロクさんとその弟子二人に、

シオンさんとアルドさんが台車に石を積んで運んできた。


「何日もあんたらだけに任せてしまってすまんな。

今日からは俺たちもしっかり手伝うぞ。

トトの元には木工の夫婦が向かってくれている。

今日からシエ村総出だ。」

口を大きく開け「わははは」と豪快に笑った。


「サウロさん、ミノリ。

老夫婦の方も落ち着いた。

今日からは俺とアルドも参加するぞ。」

笑顔を見せるシオンさんと、無言でうなずくアルドさん。


そしてトトさんの方には木工の方々も向かっているという。

この時から、ため池つくりはサウロ家とトト家の合同ではなくなった。


今日この瞬間からシエ村全体での大事業になったんだ……


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