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五章 十九話 姉の思い

「面白い人だったなー…」

過ぎ去った嵐に視線を向けながらそうつぶやく。


「まあ、ココが心配だったんだろ。

寒空の中、シエまで来るくらいだ。

まあ気持ちはよくわかる……」

そう言って、隣に立っていたルカの肩を抱き寄せた。

ルカも目を細めて腰にしがみついている。

ソエルも同様、マローネさんに抱き着いていた。


「ココちゃんに会えば安心してもらえると思うわ。

あんなにかわいらしい笑顔を見せてくれるんだもの。」

目を細めながらソエルの頭を撫でている。

嬉しそうなソエルを見て、

メリイも嬉しそうな顔をしている。


皆ほんとうに子供が大事なんだろうな。

そう考えていると、サウロさんが声を上げた。

「よし、続けるぞ。

出来れば早めに完成させたい。

次の種植えには、使ってほしいからな。」


サウロさんの言葉に全員で頷いて、

会話をはさみながら、楽しく石を運び続けた。


ただ石を運ぶだけと思っていたけど、

少しずつ距離が延びる事で往復する時間も増え、

ため池が見える場所までしか進めていなかった。。


「これは時間かかりそうだな。」

そういうサウロさんの額には寒空の中でも、

汗がうっすら浮かんでいた。


「でも気持ちの良い作業だわ。

ソエルちゃんとしゃべりながら座っての作業も好きだけど、

歩きながらも気持ちが良いわ。」

歩いての作業をお気に召した様子のマローネさんは、

ソエルと歩きながらずっと笑顔のままだった。

ソエルもまた、体がはねっぱなしで、

全身で嬉しいと言っているように見えていた。


もちろんルカも同様だ。

ただ木こりの際に何度も歩いていたこともあって、

ソエルほどではない……それでも笑顔だった。


日の傾きが半分ほどになったころ、

作業を終え、家へと帰ることになった。


一時間ほどするとココちゃんとカカさんが、

姉のククさんを連れて帰ってきた。


来客用の椅子を準備して暖炉の前にテーブルを移し、

皆で話をした。


「改めまして、私の名前はククと申します。

先ほどは大変失礼いたしました。」

と頭を下げた。


「ククさん。気にしないでくれ。

それにココの姉という事は、

俺にとっても家族のようなもんだ。」


サウロさんの言葉を聞き、

目を見開き驚きを隠せない様子だった。


「ありがとうございます。

お話しは伺いました。

ココのみではなく、

父や母まで大変お世話になった様で、

大変感謝しております。」

そう言って、再び頭を下げた。


「そう何度も頭を下げなくても良いのよ?

トトさんたちには、このシエ村も大変お世話になっているもの。

ため池の事もトトさんが水路をと考えた結果ですよ。

私たちも含めて大変感謝しています。」

マローネさんが笑顔でそう言うと、

「わかりましたわ。」とククさんも笑顔を見せてくれた。


改めて紹介をした私たちは、ククさんのこれからを聞くことになった。

何でも食堂は一時的に預けた形になっているけど、

今後、ココちゃんがこの村で生活するなら、

食堂を預けた人へ譲り、自分も移住すると言っていた。


「ココの元気がない時、

同じ町に居ながら傍に居てあげられませんでした。

それを今でも後悔していますの。

もう二度と同じような事にはならないよう、

休みも取れないような場所は手放し、

これからはココとずっと一緒に居ますわ。

テントも用意して準備を整え、この村へ参りました。」

ククさんの目には、

覚悟を決めた強い意志がこもっていた。


「今はこの家にカカさんとココも住んでいる。

ククさんが良ければ一緒に住めばいい。

本気で移住するなら村長と相談して、

家を建てても良いんじゃないか?」


「そうですわね……

この村には食堂はあるのでしょうか?」

移住する事には前向きの様子のククさん。

もう仕事の事を考え始めたようだ。


「申し訳ないが、その辺の事は村長と話してくれ。

とりあえず、泊まる場所がないのなら、

ククさんが良ければ家に泊まればいい。

その方がココも喜ぶだろう。」

そういってココちゃんを見ると、

笑顔で頷いている。


「でも、ご迷惑じゃないですか?

私とココだけじゃなく、ククまでとなると……」

申し訳なさそうなカカさんにサウロさんは笑顔で

「気にする事は無い。」と言った。


「では宜しくお願いできますでしょうか。

私としても、ココと一緒の方が安心できますので。」


「ええもちろん私たちは良いですよ。」

受け入れを快諾するマローネたちを見て、

ククさんも笑顔を浮かべ、お礼を述べていた。


その日の夕食は、

また一人増えて、賑やかな食卓になった。


その後は日が暮れるまで皆で床に寝そべってピン倒しで遊んだ。

ココちゃんは相変わらず上手だった。


ストライクを出すたびに喜ぶココちゃんを見て、

嬉しそうに見つめるククさんの笑顔が印象的だった。

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