手
ルカ君の初の作品に
心うたれる思いで感慨にふけっていると
マローネさんが先に帰ってきた。
「「おかえりなさい」」
と声が重なったルカ君と顔を見合わせ笑顔になる。
マローネさんも笑顔になり
「ただいま」
と返してきた。暫く今日の出来事と
明日の取引のやり取りを確認していた。
会話の途中で
「あら……これは何?」
とマローネさんがルカ君に聞くと
少し照れ臭そうにしながらマローネさん専用の
肩たたきを差し出し見せながら答えた。
「これ、おにいちゃんに教えてもらって、
ボクが一人で作ったの。
おかあさんにあげる」
と笑顔のままマローネさんの横に行き
優しく肩をポンポンと叩いてあげた。
最初は戸惑っていたマローネさんだったが
堪え切れなくなったのか涙を浮かべていた。
そして笑顔を浮かべながら
「凄く素敵ね。一人で作ったの?
本当にすごいわ……
ルカ……ありがとう……」
涙ぐみながらそういい、ルカ君を抱きしめていた。
ルカ君も照れながら
満面の笑みでマローネさんに抱き着いていた。
作業場の横の木製シートに腰掛け
会話を楽しみながらルカ君は楽しそうに
マローネさんの肩を優しくたたき続けた。
少し前―
サウロは商人と一緒に広場で今回の交易品の
食品以外を物見していた。
そしてそこに合った一台の滑車に目をつけ
商人「サウロさんこの木の仕掛けは一体……」
「おおこいつは木吊り台だ。
木材を積み上げられるし、
場所を開けるのに重宝している。」
それを聞いて目を見開きながら木吊り台を見つめていた。
商人「これは、どなたが作られたのですか……?」
「ああ最近、我が家の家族になった
ミノリって青年だ。」
商人「ミノリですか……」
と呟いた。
―
家にも戻らず暫くその場で会話をしつつ
マローネさんは肩たたきを使いながら寛いでいた。
ルカ君は終始笑顔のままその光景を見ながら
会話が弾んでいた。
こういうの良いな……
今度は別の物で笑顔にしたい。
今度は私がルカ君へご褒美かな。
そう思いつつ親子の会話に耳を傾けつつ
眺めていた。
暫くたった頃
サウロさんと少し豪華な衣服をまとった
一人の男性と、冒険者二人が一緒にやってきた。
商人はマローネさんに声をかける。
商人「団らん中にお邪魔します。マローネさん。
ルカ君もお久しぶりですね。
おや……見かけない顔も居ますね?」
といった後マローネさんが持っている肩たたきに目を向け
そして私の方へ視線を固定してきた。
見定めている・・・
そう感じながら様子をうかがった
マローネ「先ほどはありがとうございました。」
ルカ「こんにちは。ガラムさん。」
ルカ君のあとに挨拶をする。
「最近この村に移住することになりました。
ミノリといいます。
以後お見知りおきを。」
と挨拶をすると何か目つきが鋭くなり
暫く様子をうかがっていた。
するとルカ君が声をかける。
「ミノリおにいちゃんは、
ボクを助けてくれたの。
あと肩たたきもおしえてくれて、
ボクがつくった!」
と胸を張って主張している。
その様子をみて笑顔になり見つめていた私をみて
鋭い視線をやわらげた気がした。
しかし肩たたきを見て私の方を見る。
何か考えていそうだなと感じた。
ルカ君の話を聞いて私へ話しかけてくる。
「これはご丁寧に。私は、
ゼニス国トルヴェール商会、
行商頭を務めております、
ガラムと申します。」
と会釈をしてきたので私も会釈を返した。
お互いの紹介が済むと
マローネさんが家の中へ案内して
護衛の一人も一緒に中へ
一人は外で待つようで
リビングに大人二人増えた事で
少し狭く感じる事に
ちょっと思考にふける・・・
明日の集会所での細かい取引の段取りと
広場での交易品の交換を行う相談をして
それが落ち着くと雑談に移った。
雑談がしばらく続いたあと
ガラムさんが私へ話しかけてきた。
「あなたが木吊り台を作ったというのは本当ですか?」
「木吊り台?滑車の事ですかね?」
と聞き返すと
サウロさんが木吊り台だと念押ししてきた。
「……私が作りました。
井戸の滑車を見て思いついたんです。」
それを聞いて関心したように言う。
「それは素晴らしい。
あの木吊り台は素晴らしいですよ。
ばらすことも出来る。
移動もしやすいので取引にも使える。
これは私共にも大変ありがたい交易品になります。」
と笑いながら素直に称賛してきた。
あれならある程度木工の技術を持っていれば
誰でも作れると思います。
それは素晴らしいと興奮する。
ガラム「明日あなたの都合のいい時にでもお時間を頂けますか?」
ミノリ「ええ構いませんよ。……私としても色々と
お伺いしたいことがあるので、是非お願いします。」
と後日改めてとなり今日はお開きになった。




