五章 十七話 聞こえてきた声
翌日……
ため池は雨水が残っている状態のままだった。
まあ…当然だ。
まだ未完成とはいえ、水をためる為に地面を固めたんだ。
簡単には水を吸い込んだりしないだろう。
私たちはどうしようかと相談していると、
トトさんが顔を出してきた。
「サウロ。今日も無理そうじゃのう。」
そういってため池に視線を向け、
そして向き直す。
「ああ、トトさん。まあ見ての通りだ。
当然と言えば当然なんだけどな。」
しぶそうな顔をしてトトさんに返事を返した。
「なら今日はワシの手伝いを頼みたい。」
そう言うトトさんは子供たちに笑顔を見せて、
そしてサウロさんに向き直った。
子供たちは顔を見合わせて首をかしげていた。
「もちろんかまわない。
何をやればいい?」
サウロさんは迷うことなく、手伝いを快諾した。
「感謝する。
ワシとカカとココは畑の横を通り排水路を掘っていく。
お前さんらには取水口へ向かい、
用水路の脇に石を運んでほしいんじゃよ。
もうすぐ春が来る。
動物や魔物が活発になるまでに少しでも進めておきたい。
悪いんじゃがよろしく頼む。」
トトさんの声には心からの感謝と申し訳ないという気持ちが、
はっきりと伝わってきた。
「気にすることはない。
村の為の作業をしてくれているトトさんの手伝いだ。
むしろ俺たちにも役割ができて助かる。」
そう言いつつこちらに視線を向けた。
私たちも笑顔で頷いた。
「サウロ、お前さんらには、
ココがスキルで水路を固める時に使う石くずを、
石工から用水路の脇まで運んでほしい。
ため池から奥へ行くようにしての。
ワシら排水路を掘った後は、
奥から戻りながら石くずを運んでいく。」
「わかった。」
力強くうなずくサウロさんを見て、
トトさんは口を大きく開け喜びを見せていた。
「ではワシらは排水路を作り始めようかの。」
そう言ってため池からの水路を掘り始めた。
「それじゃあ俺たちは、用水路の脇に石を運んで行くか。
一度戻るぞ。」
サウロさんの言葉に全員が頷き一度家へ戻り台車を取りに向かった。
サウロさんと私が二台の台車を引き、
マローネさんが子供たちの手をつないだ。
ルカとソエルはもう片方の手で小さい台車を引いて、
ロクさんの石工へと向かった。
私たちの台車には石くずを出来るだけ積み込んで、
子供たちの台車も石くずを乗せて、水路脇へと運び始めた。
石くず一回、石粉二回の間隔で運び続けた。
二日続けた次の日。
作業を続けている私たちにある声が聞こえてきた。
「ココー!どこー!」
女性の声で私たちの耳にその呼び声が聞こえてきた。




