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五章 十一話 つながる道と新たな目的

トトさん達が掘っていた水路がついにため池とつながった。

そして今此方に向かってくるココちゃんとカカさん。


ルカはココちゃんの元に走り出そうとして、立ち止まった……

そして私の元へ戻ってきて、

「一緒に待つ。」そう呟いた。


私は無言でうなずき、

ルカと一緒にココちゃんとカカさんの様子を眺めていた。


三十分くらいたったころ、ついにその時が来た。

近づくにつれ、そわそわして落ち着かないルカが、

ココちゃんが水路をつなげる工程の最後の圧縮を終えたあと、

ルカが駆け寄り、

ココちゃんに「おつかれさま」と労いの言葉をかけていた。


「…お疲れさま。」

寒空の中、白い息がひときわ多く出ている状態でも、

笑顔を浮かべて、ルカの言葉に答えたココちゃん。


何かを成し遂げたと実感したのか、

満足げにそして、嬉しそうに笑顔を浮かべていた。


ルカとココちゃんが話し終えたあと、

トトさんも歩み寄り、ココちゃんへ声をかけた。

「ようやったのう、ココ。」

トトさんの満面の笑顔を見たココちゃんは、

私たちが見たことがないくらいの笑顔を見せ、

「父。私がんばった」

と、かわいらしく胸を張っていた。


「うむ、ほんにようやった。」

再度、褒めた後、ココちゃんの頭を撫でるトトさん。

それを嬉しそうに受け入れているココちゃんが、

すごく印象に残った。


「じゃが水路作りはまだ終わっとらん。

水路はまだつながっただけじゃ…

今度は石を使い溝を補強せねばならん。

細かい石をまいて、縁と底を叩き固めるんじゃが…

ココよ。土と石を混ぜ固める作業も、お前がやるか?」

トトさんは恐る恐るという感じで、ココちゃんに聞いている。


「やる。スキルで出来そう。」

と今までにない声量で答えた。


「そうか、では頼もうかのう。

では次はハンマーも持ってこねばな。

じゃがその前に、明日から数日は休みじゃ。」


その言葉に首を傾げたココちゃん。

それを見て、話を続けるトトさん。


「村から石を運ぶより、

採石場から石を取ってからの方が近い。

ロクにも頼んで採石場を見せてもらうとしよう。

その確認で数日かかるじゃろうからな。

ココよ。それまで暫し休みじゃ。

その間は、ルカとソエルと好きに過ごすと良い。」


「良いの?」

少し不安そうな顔になり、そう尋ねた。


「もちろんじゃよ。

お前はよう頑張った。

ワシにはしばらくは調べる事がある。

その間はゆっくりするんじゃぞ。」


その言葉を聞いて不安そうになっていたココちゃんは

「わかった。ありがとう、父。」

とその理由を聞いて笑顔になり感謝を伝えていた。


「礼を言うのはワシの方じゃよ。

お陰ですぐに水路がつながった。

カカ、ココ…感謝する。」


その言葉を聞いた二人は無言でうなずいた。

その様子を見たトトさんは笑顔で頷き、

私の方へ顔を向けた。

そして数秒の沈黙の後、口を開いた。


「ミノリ。

ワシはこの村に来たこと……

四百を超える年の中で一番いい選択をしたと思うとる。」

と私には理解出来ない年数を挙げ、

その中で一番だと言った……

その言葉にあっけに取られていると、

「ガハハハハハ」と豪快に笑い、

「少しは返せたかのう!」


私には理解できない言葉を投げかけた。

無言で首をかしげてしまった。


その言葉を聞いたカカさんが、私に話しかける。

「何年振りかしらねー。

こんなトトを見るのは。

安心して頂戴ミノリさん。

この人、照れてるのよ。

トトは本気の時は、本音を言いづらくなるの。」

微笑みながら、カカさんは嬉しそうに教えてくれた。


トトさんは「余計なことは言うな」とカカさんにすごんでいる。


「なんですか、それ……」

苦笑いを浮かべた私にトトさんがますます笑顔になる。


「良いのう。若いもんが困っておるのを見るのは。

若いもんは困って育つもんじゃ。

お前はこの世界では特殊じゃからのう。

もっと困ってもっと悩め。

そして成長しろ。

そうして貰わんと、ワシが困る。

ワシの愛する子を、安心して預けられんからのう。」


そう言って、今度はサウロさんとルカを見る。

「サウロよ。ココをよろしく頼む。

そしてルカ。これからもココと仲ようしてくれ。」

サウロさんは無言でうなずき、

ルカは元気に「もちろんだよ。

ココとソエルと一緒に遊ぶんだ!」


ルカの嬉しそうな言葉を聞き笑顔を浮かべ、

「そうじゃな。ワシが言う必要はなかったかの?」

そう言ってココちゃんの肩に手をおき、

ココちゃんに笑顔を見せるトトさん。


ココちゃんは笑顔で

「うん。言われなくても、これからは好きな事をする。」

と今までで一番の元気な声を出していた。


「そういえばソエルはどこにいったんじゃ?」

姿の見えないソエルが気になった様子のトトさん。

私はさっき話したことを説明した。


「なるほどのう。

安全面か。確かに大事じゃのう。

そうなると水路も安全面を考えねばならんな。」

トトさん達が掘り進めた水路を見つめ、

そう話した。


「そうねえ。何年もあった水路ならともかく、

急に出来た水路に、動物や魔物ならまだしも、

人が落ちると困りそうね。」

トトさんと相談を始めた。


トトさんとカカさんの話を聞いていたココちゃんが話しだした。

「水路を掘った土…そのまま。

それを固めて上にかぶせる?

土を板状に出来ると思う。」


そう言って、掘ったばかりの土のもとへ歩き、

しゃがみこんで土を固め始めた。

そうして出来た土の板をトトさんに渡してた。


「良い腕じゃ。

じゃが少し強度が足りんかのう…

じゃがココの提案は素晴らしいものじゃ。

木と石で蓋を作り、その上に土を盛るか…

ココよ。木と石を使い、蓋を作れそうかの?」

ココちゃんの提案を少し修正して尋ねるトトさん。


「うーん……やったことないけど、

出来ると思う?」

そう言いつつ首を傾げた。


「ではそうしようかの。

ココのスキルで作れんでも木で枠を作り、

石をはめ込めば問題なかろうて。」

そう語ったトトさん。


その言葉を聞き、サウロさんがうなずいて答えた。

「木の枠ならマローネが作れるだろうし、

他の木工場でも作れるだろう。

石ならロクさんだな。」

サウロさんは腕を組み頷いている。


「言い出したワシがお願いするのも変じゃが、頼めるかの?」

そう言い、サウロさんに視線を向けた。


その言葉にサウロさんが笑顔で答える。

「なに言っている。村の為を思っての事だ。

事実、今もこうして水路をつなげた。

ただトトさん達だけでやるべきものでもないだろう?

皆で協力をする、それがこの村だ。

この村に住むなら慣れるんだな。

もしココちゃんがスキルで作れたとしても、

ココちゃんだけに負担はさせん。

俺は水路のフタ作りにも参加するぞ。」

そう言って笑っている。


「では、よろしく頼む。」

トトさんが頭を下げる。


「よしてくれ。

トトさんは村の為に考えてくれた。

その気持ちは俺も一緒だ。

一緒に作ろう。」

そう言いながら、右腕を差し出した。


「ほうじゃの。」

そう言いその手を握り返すトトさん。

男二人が笑顔で顔を見合わせている。


その光景を見て、ルカは笑顔を見せ、

ココちゃんに「一緒にがんばろうね。」

と声をかけていた。

ココちゃんも「うん」と笑顔を見せていた。


こうしてまた、シエ村で新しいやるべきことが増えることになった。

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