五章 八話 ソエルの憧れ
翌日の天気は作業日和になった。
昨日寝込んでいたココちゃんも、
元気になり、朝はご飯をしっかり食べていた。
ため池へみんなで向かい、トトさんを待っていた。
朝食時は静かにしていたルカだったけど、
どうしても心配だったのか、
ため池につくとすぐにココちゃんに話しかけた。
「昨日は大変だったね、ココ。
もう平気なの?」
ココちゃんは元気だったけど、
それでも心配の様子で確認するように聞いていた。
「大丈夫。ただの魔力切れ。
自のスキルを知る、大事。」
ココちゃんは当たり前のように答えた。
その言葉を聞いたソエルは少し疑問に思ったのか、
ココちゃんに質問をなげかけた。
「ねえ、ココ。スキルって覚える時ってどんな感じ?」
スキルに興味がある様子のソエル。
私も何度か聞かれたことがあったけど、
私自身はスキルを覚えたというよりは、
三神から授かったものだから、
覚えたときのことを聞かれても、答えることが出来なかった。
ココちゃんは質問を聞いて、しばらく悩んだ後、
「頭に浮かぶ?何が出来るか。
何となく浮かんでくる。」
とココちゃんも良く分かっていないようだけど、
ソエルの質問に一生懸命考えて答えてくれた。
「そっかー。私もいつか覚えられるかなー。」
ソエルもスキルが欲しいのか、
自分が覚えられるのか気になる様子だった。
私はルカとソエルにも、ふさわしいスキルが覚えられると良いなと思い、
空へ顔を上げて、目を閉じ、
この子たちにふさわしいスキルをと願った。
ソエルの言葉を聞いてマローネさんがソエルに話しかけた。
「大丈夫よ。ソエルちゃん。ソエルちゃんは技術があるんだもの。
いつか覚えられると思うわ。」
それを聞いて疑問に思ったのかソエルがマローネさんに質問をかえした。
「マローネねえは、スキルない?いつも手で彫ってるよね?」
ソエルの質問を聞き、マローネさんは優しく答えた。
「私はスキルと言うより、手を動かす方が好きだから、
スキルがなくても気にしないわよ。
それにスキルですぐに作れちゃったら、
せっかくソエルちゃんと一緒に作業が出来るのに、
すぐに終わっちゃうわ。」
と笑顔で答えている。
その言葉を聞いたソエルは笑顔になり、
マローネさんに走り出し、だきついた。
「あらあら。かわいいわね、ソエルちゃん。
私はスキルがなくても彫り方は教えることはできるもの。
それで十分よ。」
ソエルを優しく受け止めて、体だけではなく、
言葉でも、優しく包み込むように話しかけていた。
「じゃあ、私もスキルはいらない。」
とマローネさんの真似をするように言うと、
それを聞いたマローネさんは、
抱いていたソエルをそっと体からはなして、
膝を折って目線を合わせて語りかける。
「それは駄目よ?ソエルちゃん。
貴方が欲しいと思ったのなら、その目標は大事にしなさい。
それで覚えられなかったら仕方がないけど、
自分が欲しがったものを他の人が言ったからといって、
それを曲げちゃあだめよ?」
その言葉を聞いたソエルは、
きょとんとした様子でマローネさんを見つめていた。
「いい?ソエルちゃん。
貴方が誰かを羨ましく思って、スキルを欲しがったりするのは、
大事なことなのよ?」
その言葉を聞ききょとんとするソエル。
そういわれるとは思っていなかった様子だった。
マローネさんは、ソエルを優しく見つめたまま、話を続ける。
「その自分の気持ちは大事にしなさい。
そして努力するの。
その願いが叶っても叶わなくても、
それはソエルちゃんが頑張った結果。
どっちでも良いの。」
そう言ってソエルの頭を撫でている。
「そして自信を持ちなさい。
欲しいもののために、自分ががんばったことをね。
私にはスキルをあげることは出来ないけど、
技術は教えてあげられるんだから。」
マローネさんは自分の気持ちを大切にするという事を
教えてくれていた。
その言葉を聞いたソエルは元気に「うん!」と答えて、
再びマローネさんにだきついた。
「ルカもスキル欲しかったりするか?」
マローネさん達の会話を聞いてサウロさんがルカに尋ねていた。
「うーん。木こりスキルなら欲しいかも。
それか、人をあたたかくできるスキル。」
その言葉は私が見守り、
そして私を見守ってきたルカらしいと感じる答えだった。
その答えを聞いたサウロさんは満足したのか、
満面の笑みを浮かべて「そうか。」と一声かけ、
ルカの頭を優しくなでていた。
その様子は私とメリイだけではなく、
カカさんとココちゃんも笑顔にしていた。




