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五章 六話 外伝 トト家の共同作業

五章 六話の時間軸に少し戻ります。

先に五章 七話が公開になっていますので、

七話の後に六話の外伝は少し分かりにくいかと思いますが、

ご理解ください。

読まなくても本文を読み進める事への影響はないとは思います。


―トト視点


ココとカカを連れ、水路を作るため、水路を掘り進めるため、

北西へと歩いていた。


ミノリと話し、ココの話しを聞き、

ココの心を知る事が出来た。

ワシは今後間違えんようにせんといかん…

その気持ちだけじゃった。


ココはこの村に来る前とは比べもんにならんほど、

元気に歩いておる…

病気前の状態に戻っておるように見える。

じゃが、どこかぎこちない気がするのう。

ワシに対してどこか遠慮しておる。

いや以前もそうじゃったな。


仕事ではワシの言うことを、真面目に聞き、

言われたことは何とかものにしようとする姿勢もあった。

仕事が無い時は、ワシに対して甘える事もたまにはあったはずじゃが、

それが今では全くそういうそぶりが見えん。

すれ違いが解決してもどうにもならんか。

以前の様には戻れんのじゃろうか……

歩きながらもそんなことばかりが頭に浮かぶ。


ワシは意を固め、声をかけてみることにした。

「のう、ココ。体は大丈夫か?

無理はせんでも良いんじゃぞ?」

ワシはココが気になり尋ねてみる。


「大丈夫。私は平気。父、心配するな。」

この村に来る前は目線すら合わせんかったココが、

今では目を見て答えてくれる。

その当たり前の日常が戻ったことが何よりうれしかった。


「ココ。その帽子似合っておる。

可愛いのう……」

ワシがそう言うと、びっくりしたような顔を浮かべ、

そして、「うん。ミノリに貰った。ルカとソエルとお揃い。」

と嬉しそうに話してくれた。


「そうか。今度、ミノリにはワシからも、礼を言っておこうかの。」

そういうと、ココは無言で頷いていた。


ふとココの手元を見ると、

小さな手にはめられた可愛らしい作業手袋が目に入った。


「その手袋もミノリに貰ったのか?」


「うん。手袋。でも、まだ模様はない。

ルカとソエルの手袋にはついてる。私にはない。

私の模様。私はわからない……父、何がいいと思う?」

少し寂しそうにそう話すココをみて少し心に痛みが走った。


「そうか……何がいいか、後でゆっくり一緒に考えようかの。」

ワシは気取られんように、話した。


「うん…ありがとう。」

最初は寂しそうにしていたが、わしの言葉を聞き、

少し笑顔を見せてくれた。

カカはワシに気を使っておるのか、黙ったまま後についてくる。

二十分ほど歩くと、水路の切れ目が見えた。


「あれじゃ。」

声を上げ指を指すと、ただ穴が開いた溝が奥へと続いていた。


「この溝をさらに深く掘って形を整えるんじゃ。

一人じゃったからのう…

まだここまでしか掘れておらん。」


少し申し訳なさそうに話したトトにカカが優しく諭すように言う。

「大丈夫よ、きっとココが頑張ってくれるわ。

驚くわよきっと…」

と笑顔で含みのある言葉を言いおる。


「大丈夫。母がいる。私がいる。

父が掘る。母が整える。私が固める。

父、母、私がいればもっと早くなる。」

と自信満々といわんばかりの顔をしていった。


ワシはその言葉を聞き、

今までただ黙って、ワシの言葉を聞いていただけの子ではないと、

改めて実感した。

悪い方にではない。良い方向へと成長したと思うた。


ワシは自然に笑みを浮かべ、

「それは頼もしいのう…

ココよ。宜しくたのむ。」と願いを言うと、

ココは笑顔で「任せて。」と胸を叩いて答えた。


そして折角三人になったんじゃ。

このまま戻るのは味気ない。

一度一番奥まで戻り、

水路の経路を掘るだけではなく、

奥から形を整えながら戻る事にした。


そして水路の出発地点まで戻り、

ただ掘られた穴を掘り進めていくことにした。


それからの作業はワシにとってかけがえのない時間となった。

今まで何度も鍛冶で一緒に行動をしとったが、

ココが笑顔で作業をしとる所を見たことがない。

それがどうじゃ。

今日やっとる穴を掘り、固めるという地味な作業を嬉しそうにやっとる。

そしてたまに「父、これでいい?」と自分から聞いてきおる。

ワシが見たことのない、ココの本当の姿を見れた…そう思うた。


ワシが固い地面を掘り、ある程度溝を広げ、

それをカカが土を取りのぞきつつ、周りの警戒してくれる。


そして驚いたのはココじゃった。

道具を使わず、スキルで空いた穴を固めて整えおったんじゃ。

鍛冶スキルを持っとるはずのココがじゃ。

心底驚いた。


「ココよ。お前が持っとるのは鍛冶スキルだけじゃなかったのか?」


「うん。壊れた農具を見たときに、

何とかしたいなって思ったらできた。」


「そうか…全く気が付かなんだ。」

そこで、ワシはミノリの言っとった事がはっきり理解出来た。

会話のすれ違い、そして会話不足。

これが明確になった。

ワシが間違えとったんじゃ。

子の事を一番理解せねばならんワシが、

全く知らなかったことに恥と思えた。


ワシが落ち込んだのを察したのか、

ココが声をかけてきた。

「父。大丈夫。これからは一緒。」


その一言でワシは救われた気がした。

「ありがとうのう、ココ。」


ワシ、カカ、ココは久しぶりの三人での作業をした。


今の時間は、ココが病にかかった数週間前の不安を取り除くには、

十分な幸せな時間じゃった。


五時間ほど掘り進め、カカが土を取り除き、

ココが固めてくれておると、ココが急に倒れ込んだ。

魔力切れじゃろう。

ワシはすぐに駆け寄り、

「ココ……いい仕事じゃった。

お前は立派な職人じゃ。鍛冶じゃのうて良い。

お前がやりたい事をやれ。

ワシは今日からお前の好きな事を応援するぞ。」


ワシの言葉を聞きカカが隣で優しく微笑んだ。

「ありがとう、トト。」


「礼を言うのはワシじゃ。

ありがとうのう、カカ。

これからはしっかり話そう。

そしてココの声を聴き、

しっかり見守っていくわい。」


「私も一緒よ。

これから頑張りましょうね。

可愛いココの為に。」


「そうじゃのう……」

魔力切れで寝ているココを抱きかかえ、

今日は帰ることにした。


今後何度も倒れるだろう。

しかしそれは、ココが望んどることじゃろう。

ならワシはその度に何度も抱き、

家へと送り届けようかのう……


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