五章 七話 見守りの温度
魔力切れを起こした後、大事を取って今日は終わりとなった。
しばらくすれば回復するんだけど、
一度魔力切れを起こした後の作業を、
ルカとソエルが猛反対したからだ。
ルカとソエルに心配をかけ続けるのは本意じゃないし、
私はその言葉を聞き素直に今日は終了すると決めた。
家で一時間も休めば、いつも通りに治ったので、
それを見たルカとソエルは安心してくれた。
ココちゃん達はまだ戻ってこないし、
先に休んでいいのかな?と思いつつも、
心配はかけたくないし、何気ない会話を楽しみつつ、
ココちゃん達の帰りを待っていた。
家に戻り一時間ほどすると、
ココちゃんがトトさんに抱えられて、帰ってきた。
ルカ、ソエル「ココ!」
顔を真っ青にしてトトさんの抱えるココちゃんに駆け寄る。
トト「安心せい。ココは頑張りすぎて魔力切れを起こしたんじゃ。
しばらくすれば気が付く。」
ココちゃんが魔力切れを起したことを、
トトさんとカカさんは、そこまで重くは考えていない様子を見て、
私は魔力切れというものの、認識の違いに少し困惑した。
私はともかく、ココちゃんが魔力切れで倒れたことを、
そこまで重く考えないのは、私にとっては信じられない。
ルカとソエルも同じだ。
だけど親である一番心配しそうなトトさんとカカさんが、
こうして落ち着いているのは、やっぱりスキルが近くにある環境で
育っていると当たり前なんだろう…
サウロ家の人とトト家族で、こうも差が出るんだ。
身近にスキルがあるかないか、
その違いで認識が大きく違うんだな……
「ルカ、ソエル。
ココちゃんは私と同じように魔力切れみたいだ。
ゆっくり休ませてあげよう。」
私が二人を眺めると、二人もすぐに静かになり、
ココちゃんを黙って見守っていた。
トトさんがカカさんにココちゃんを預け、
私たちへ向き直り話しかけてきた。
トト「今日は気を遣わせてしもうたな。
済まなんだ……」
申し訳なさそうに頭を下げた。
サウロ「気にしないでくれ。
俺たちはもう家族の様なものだ。
トトさんはシエの為に水路を作り、
俺たちはため池を作る。
お互いが一つの目標に向かっている。
シエの事を考え、トトさんが考えてくれたから、
今のため池作りも始まっているんだ。
此方こそありがとう。」
サウロさんはそう言って手を差し出した。
それを見たトトさんは無言でうなずき、
サウロさんの差し出した手を、
がっしりと握り返していた。
トト「感謝じゃ…」
手を握りながらお礼を言うトトさんを見て、
ルカは目を輝かせて見つめ、
ソエルも嬉しそうに眺めていた。
暖炉の近くへココちゃんを寝かせていたカカさんも、
嬉しそうにしている。
トトさん、カカさんの様子を見ていると何となくわかる。
きっとうまくいったんだ。
二人の様子を見て安心した私はココちゃんを見つめた。
暖炉の近くで穏やかに寝息を立てるココちゃん。
カカさんはその頭を優しく撫でながら、嬉しそうに微笑んでいる。
ココちゃんが起きれば、どんな反応を見せてくれるんだろう。
トトさんとカカさんとココちゃん。
お互いの絆が戻ったのか、いや、きっといい方向にいっている。
それは起きた後のココちゃんを見れば、はっきりするだろう……
本作品をお読みいただきありがとうございます。
今回、ミノリはよろける程度で済んだのに、
ココはなぜ寝こんでしまうほど消耗しているのか?
ミノリはこれまでスキルをほとんど使ってこなかったため、
一度に出せる魔力量自体が少なく、
限界を迎える前に慣れない魔力の消耗でふらついてしまいました。
ミノリとココちゃんで少しイメージが違うと思いますが、
魔力が当たり前の世界で、魔力の消耗と魔力切れが、
同じ魔力が減った事象を表していると思って下さい。
一方でココちゃんは、
日頃から鍛冶スキルなどで魔力を使うことに慣れていたため、
限界ギリギリまで魔力を出し切ることができました。
大好きなトトさんとカカさんと一緒に行う作業が嬉しくて楽しくて、
気づかないうちに張り切りすぎた結果かもしれません。




