↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
101/144

五章 三話 ココちゃんの一歩

翌日は、あいにくの雨で作業が出来なかった。

家族みんなで家にこもって絵文字板で遊んだり、

ため池の計画を会話を交えながら話し合った。


ココちゃんは相変わらず言葉は少ないけど、

頷きながらも一生懸命聞いていたのが印象深かった。

根が凄く真面目なんだろう。

カカさんはその様子を嬉しそうに見ていた。


翌日は晴れたため、ため池の作業を進めることになった。


サウロさん、マローネさん、ルカ、ソエルは、

石工から作業で出た石の欠片を貰いに行ってくれていた。

石の破片と土を混ぜて固め、

その上から石板を敷き詰める計画をたてたからだ。

石を底と壁部分にも使おうということになり、

その話もしてくれることになっている。


そしてメリイは一人で倉庫の見えない位置に居て、

森の方を注視してくれている。

子供が増えて、万が一の場合、即座に対応するためだ。

ソエルと一緒に居たいはずなのに、

それでも子供を守るため行動を続ける、

そんなメリイに感謝するだけだった。


ため池の場所まで来た私たちは、

底の部分に少し水が溜まっているのを見て、

底の圧縮を諦めた。

仕方がないので、私は底へは下りずに、

ため池の外から、縁の圧縮作業をした。

ココちゃんはカカさんと一緒に話をしながら、

小さい手を伸ばして、一生懸命圧縮してくれていた。


一時間作業を続け、休憩をしていると、

サウロさん達とロクさんがやってきた。

サウロさんとロクさんが台車を引き、

マローネさんはルカとソエルと手をつないで、

楽しそうに歩いていた。


ロク「よう!ミノリ、おつかれさん。」

豪快な挨拶が聞こえた。ロクさんだ。


「おつかれさまです、ロクさん。

今日はトトさんは?」

私は少し疑問に思いそう聞いてみた。


ロク「水路を掘りに行っている。

昨日は雨で作業が進まなかったからな。

早く水路を作って、

今度は自分の家の場所を決めると息巻いていたぞ。」


「家ですか?」


ロク「おお。なんでも村の外に作るらしい。」

と、トトさんが話していたらしいことを教えてくれた。


「村の外に?なぜですか?村が気に入らないとか?」

そんな風には見えなかったし、

むしろ気に入ってる様子だったのに…

村の外に家を建てるというのが気になった私に、

ロクさんが話をしてくれた。


ロク「逆だ。気に入ったからだ。

何でも村の雰囲気をぶち壊したくないらしい。

刃物を直す程度なら問題ないらしいが、

本格的に鉄を加工するとなると、音は大きく響くらしい。

その音で村の雰囲気を台無しにしたくないんだとよ。」


「そうですか…そういうことなら仕方ないのかな…」

私がそうつぶやくと、カカさんが声をかけてきた。


カカ「トトの好きにさせてあげてください。

トトがそういうなら、それが一番だと思います。」


ココ「父は人との付き合いは苦手。でも嫌いではない。」

とココちゃんがトトさんの事を話してくれた。

この間の事はもう後を引いていないっぽい。

私は心から安心することが出来た。


「そうですね。本人がそういうならそうなんでしょう。」

私は納得してそう言うと、ルカとソエルが、

少し不満そうに話しだした。


ルカ「えー。ココ、村から離れるの?」


ソエル「せっかくお友達になれたのに…」

と不満そうに声をもらす。


カカ「大丈夫よ。村の外と言っても、

何時間もかかる距離には作らないと思うわよ?

音が届かない位になるんじゃないかしら。」


その言葉を聞いたルカとソエルは、

心から安心したのか、笑顔で「よかったー」と、

声を上げていた。

その声を聞いていたココちゃんも嬉しそうに、

「私もうれしい。」と笑顔を見せていた。


ロク「それじゃあ、少し測らせてもらうぞ。」

そう言うと、ロープを張り、直径を測りはじめた。

傾斜部分を測り、板に書き込んでいた。


ため池の大きさを測り、必要な石板の数を見積もるために、

わざわざ、足を運んでくれたらしい。

ロクさんは測り終えると、ミノリへと話しかけた。


「なあ、ミノリ。

底の部分に石板を張るのは良いと思うが、

念のため底部分は押し固めたほうが良い。

何なら石でも混ぜてな。

その上に石板を乗せるくらいで良いと思うぞ?」

ロクさんがそう提案してくれた。


「わかりました。ではそのようにします。」

私がすぐに提案を受けたことを見て、

ロクさんは笑顔になり、「お前、いいな。」

と言ってくれた。


「それじゃあ、今持ってきた石は一度もちかえる。

もっと細かいほうが良いだろうからな。」

ロクさんは最後にそういって戻って行った。


残った私たちは再び作業を続けた。

作業をしていると、たまに手を止め、

山の方を見ているココちゃんに気が付いた。

遠くに目を向けながら、カカさんと話をしている様子だった。


一時間作業をして、休憩をはさむ。

それを三回ほど続け、

今日の作業は終わりにして、みんなで家に戻った。


家に戻った私はココちゃんが気になって聞いてみることにした。


「ココちゃん。途中何か気になってたよね?

何か気になったのなら話してほしい。」

私は正直に聞いてみた。


うつむいて、少し考えた後、私の目を見て話してくれた。

ココ「父、一人で作業と聞いた。

私は皆一緒。違うと思う。

母に言った。私、父と作業。」


私はその言葉を聞いて、嬉しかった。

やっぱりトトさんを嫌っていない。

私は確信が持て、安心した。

そしてココちゃんに話しかける。


「それじゃあ、明日からはそうしようか。

ため池の方は、私たちがやるから、

ココちゃんはトトさんと一緒に水路をお願いできる?」


私の言葉を聞いて、何かを決意した目をして、

力づよく、うなずいてくれた。


「それじゃあ明日の作業前に、トトさんに来てもらおうか。

北に向かうならその方が良いと思うけど、

ココちゃんはどうかな?」


ココ「それでいい。」


こうして、ココちゃんが自分で判断して、

トトさんと一緒に作業をする事になった。

あとはトトさん次第だけど、

どうなるのか、私にもまだ分からない。


私は、ココちゃんの第一歩を応援したいと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。