表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法世界の怪獣王国〜魔力ゼロで底辺奴隷だった僕ですが、自然の摂理を超越したマイペースな怪獣たちの王様になりました〜  作者: 同歩なり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/42

第35話 エルフ軍の切り札

 ゼラルドの相手はエリシアさんに任せた。

 僕への追撃はない。


 僕は大岩を目指しつつ、周囲の戦況を確認する。


 まずは、僕が今いる場所の上空。

 そこではホロウホー(二番機)が旋回し、魔導矢を浴びながらも抵抗勢力を援護している。

 羽根の一部が焦げて白煙が尾を引いているが、その力強い羽ばたきは健在だ。


 そして、僕の前方では、モグログがもの凄い数のエルフ魔導兵から集中攻撃を浴びている。

 モグログは、魔導ゴーレムを倒した怪獣ということで集中的に狙われて、自然と盾役になっている。


 しかし、モグログの耐久力は桁違いなので、きっと大丈夫だと思う。

 というより、僕にはモグログがリズムに乗って楽しんでいるようにも見える。

 やはりMっ気があるに違いない。


 さらにその奥、大岩の東側ではモフ菜(大)が短い足で飛び跳ねていた。

 六体合体した巨体が飛び跳ねる衝撃により、地面を大きく揺らし、エルフ魔導兵を弾き飛ばしている。


 かなりの威力なのだが、見た目はぴょこぴょこしていて、とても可愛い。

 ところどころ体毛が焦げてはいるが、まだまだ大丈夫そうだ。


 僕は走りながら周囲を見つつ、エルフ魔導兵を蹴散らしながら、あと少しで大岩に到着するところまで戻ってきた。


 いくら動きがギクシャクしていても、一般のエルフ魔導兵程度が相手ならば、余裕で対応ができる。

 むしろ徐々に体力が回復しているほどだ。


 そのとき、僕の近くで突風が起きた。

 これは遊撃を任せているホロウホー(一番機)の羽ばたきに違いない。


 ホロウホー(一番機)は戦場を縦横無尽に飛び回り、エルフ魔導兵を吹き飛ばしては撹乱している。

 おかげで大岩の周辺は守られていた。


 僕は余裕を持って大岩の上に登り、エレナとリアナに合流した。


「ただいま」

「お帰りなさい、レオン様」


 エレナは最初と変わらず落ち着いている。

 それだけで僕はちょっと安心した。


「ねぇ、エレナ。魔導ゴーレムはどうなった?」

「はい、ピグモーが頑張って、二体を倒してくれました。残り六体です」


 視線を向けると、少し離れたところでピグモーたちが、魔導ゴーレムを相手に奮闘していた。

 ピグモーたちは複数体の魔導ゴーレムにより突進を止められ、殴られたりもしている。


「ブモモモオゥゥ!」


 最初の勢いは落ちてしまったが、それでも倒れる気配はなさそうだ。

 数での不利はありながらも互角以上に戦い、持久戦の様相になっている。


 ただ、これまで出現した魔導ゴーレムの数は、いまだに八体のみのようだ。

 偵察では十六体もいたのに、まだ半数しか姿を見せていない。


「……エリシアさんの話だと、エルフは最初から全軍は出してこないって予想だったよね?」

「はい。なので、レオン様には敵の全容が見えてから、怪獣形態になって欲しいと言ってましたね」


 僕が怪獣形態でいられる時間は短いので、敵軍の全容を把握してから、最後に変身する予定となっている。


「うーん、この状況はやっぱりエリシアさんの予想通りということかな?」

「そうですね。私もエリシアさんの予想が当たっていると思います」


 ここまで全体の戦況は、良くも悪くも想定内だ。

 ただし、奇襲による首刈り戦術は失敗、さらに敵軍の全容が見えないままのため、徐々に追い込まれているのかもしれない。


 あと、さっきから気になっているのだが、僕が戻ってきたのに、ここまでリアナの反応が全くない。

 前のめりにしゃがみ込み、いつになく真剣な眼差しで、色々な場所にいる怪獣たちを見たままだ。


 僕がチラッとリアナの方を見て不思議そうに首をかしげると、エレナが教えてくれた。


「リアナは怪獣たちの様子を気にかけて、ずっと応援しています」


 なるほど、そういうことか。

 さすがは怪獣たちと仲良しのリアナだ。

 ここまで怪獣たちが頑張ってくれているのは、リアナのおかげでもあるのだろう。


「私が戦況を見ていますので、レオン様はモフ美に包まって休んでください」

「うん、そうだね、そうするよ。変化があったらすぐに教えてね」

「はい、レオン様」


 僕はモフ美(特大)に飛び乗り、最後の決戦に備えて、少しでも体力を回復することにした。

 怪獣たちは奮闘してくれている。


 エリシアさんの方は、順調だろうか。



 ◇◇◇



 エリシアとゼラルドが対峙する。

 周囲で激しい戦闘が続く中、二人の間には緊張感が張り詰めていた。


 ゼラルドが口を開く。


「怪獣の王とやらは引いたか、ヤツは後ほど倒すとして――次の相手は貴様か?」

「そうだが、不服か?」


 エリシアは一歩も引かずにゼラルドを睨む。


「ふむ、その紅い髪、見覚えのある顔だ。貴様は以前、私が見逃した人間の小娘だな?」

「……だとして、なんだ? お前にとっては、その辺に転がる石ころだろう。そんなものをよく覚えているな?」


 エリシアは強がって言う。


「まあそうだが、エルフの記憶力はいいのでな。石ころとて覚えておる」

「ふん、その石ころに傷をつけられた気分はどうだ?」


 ゼラルドの口元に、わずかな笑みが浮かぶ。


「ふうむ、そうだな。取るに足らない小娘だと思っていたが、よく成長したと褒めてやろうか。貴様の名は?」

「……エリシアだ」


 煽ったつもりが冷静に褒められ、エリシアは戸惑いながらも答える。


「エリシアか、これだけの仲間を率いて私の前に立つ貴様を、王国の脅威とみなす。今度は見逃したりせんぞ」

「そうか、それは光栄だ」


 二人の視線がぶつかり、剣を構える。

 わずかな間をおき、エリシアが仕掛けた。


翔空斬しょうくうざん! 空破連撃くうはれんげき!」


 エリシアの空中からの鋭い連撃に、ゼラルドはどっしりと構えて応戦する。


 エリシアは風をまとい身体を加速し、鋭い斬撃を浴びせる。

 それに対してゼラルドの大剣は、一撃ごとに大地を裂くほどの重さがあった。


 両者それぞれ性質の違う剣が交錯し、大きな金属音が響き渡った。


 強化魔法で力を増しているエリシア。

 魔力も体力も消耗しているゼラルド。

 二人の力は拮抗し、互角の攻防が続いた。


 そして、二人の攻防が続く周囲では、精鋭エルフ魔導兵を相手に、抵抗勢力がホロウホー(二番機)の援護を受けながら踏ん張っている。


 だが、両軍ともに疲労度が増していき、いつ均衡が崩れて決着がついてもおかしくない状況だ。


 互角の激戦が続くなか、エリシアがわずかに息を乱して、ゼラルドから距離を取る。


 ゼラルドはその隙を見逃さず、魔法によって空中に浮き、戦場をぐるりと見渡した。

 そして、一人のエルフ魔導兵に目配せをし、指示を出した。


「ふむ、両軍とも限界が近いようだな。ここが勝負どころだ。後方に温存していた神聖魔導部隊を出せ!」

「はい、ゼラルド師団長! ただちに神聖魔導部隊に号令をかけます!」


 戦場を俯瞰し、過去の膨大な経験から勝負のきわを見定めたゼラルド。

 そのゼラルドから指示を受けたエルフ魔導兵は、神聖魔導部隊の元へと高速で移動する。


 それを見届けたゼラルドは大地へすっと降り立ち、エリシアへ告げる。


「貴様らとの戦いはなかなか面白かったが、ここまでだ。ここからは王国軍の威信をかけ、勝利させてもらう」


 ほどなくして、上空に青白い光を放つ巨大な魔法陣が展開された。

 幾何学模様がいくつも重なったその美しい輝きは、空を覆う天蓋のようであり、次第に戦場の喧騒すらも呑み込んでいった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ