表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法世界の怪獣王国〜魔力ゼロで底辺奴隷だった僕ですが、自然の摂理を超越したマイペースな怪獣たちの王様になりました〜  作者: 同歩なり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/42

第25話 地底怪獣モグログ登場

「ヌゴォォォォォ……」


 地中から這い出た怪獣は、ゆっくりと長い腕を動かして、身体についた土をざらりと払う。

 そして、巨体を揺らしながら、こちらをじっと見た。


 なんとなく不機嫌そうな表情と唸り声に警戒して、僕は身構える。

 この初めて見る怪獣は、いったい何なのだろうか。


 そのとき、リアナから念話が届いた。


『レオっち、その怪獣はね、【モグログ】だよ』

『モグログ!?』

『そう、地中に穴を作って住んでるんだよー。こんなところにいたんだね』


 だだっ広い誰もいない荒野の真ん中だと思っていたので、まさか地中に怪獣が住んでいるとは思わなかった。


『レオン様、モグログは静寂を好みます。なので、特訓の音がうるさかったのかもしれません』


 静寂を好む怪獣か、なるほど。

 確かに、巨大な怪獣形態でドスン、ドスンとやっていれば、騒がしいのは間違いない。

 朝から断続的に騒音が響いてきて、いよいよ我慢の限界と言ったところだろうか。


 僕は申し訳ない気持ちになりモグログを見ると、ジト目で睨んでいるようにも思える。


『ねぇ、リアナ。悪気はなかったって伝えて。ごめんねって』

『了解だよー』


 リアナがモグログに念話を始め、しばらくしてからエレナも念話に加わったようだ。

 揉めているのか、それとも話し合いをしているのか、僕はその様子をただ見守っていた。

 ほどなくして念話が終わり、リアナが結果を教えてくれる。


『モグログはね、これからうるさくしないなら、別にいいよって。他の場所でもうるさかったから、気が立っていたみたいだよー』

『……そっか、それは悪かったね。ひとまずは許してくれてよかったよ』


 僕はモグログと喧嘩にならなくて、一安心する――が、そこで話しは終わらなかった。

 エレナが険しい表情で切り出す。


『レオン様。他の場所での騒音というのが、どうやら魔導ゴーレムが関係しているようなんです』

『えっ、魔導ゴーレム!?』


 魔導ゴーレムといえば、エルフの新兵器。

 まさかこんなところで、その名前が出てくるとは思わなかった。


『はい。荒野の北部でうるさかったから地上に出てみたところ、グレーの岩みたいな人型の何かがいたそうです。怪獣でも魔族でもなかったようなので、たぶん魔導ゴーレムのことだと思います』

『そうなんだ。それで、その魔導ゴーレムはどうなったの?』


『どうやら一体だけだったようで、モグログがなんとか倒したそうです。そのあと、ここまで避難してきたそうなんですが、また凄くうるさかった、と』


 モグログにそんな経緯があったのか。

 せっかく避難してきた先でもうるさければ、不機嫌になるのも無理はない。


 それにしても、モグログが魔導ゴーレムと戦っていたとは驚きだ。

 辛くもモグログの勝利ということだが、実際の魔導ゴーレムの強さとは、どれほどのものだったのか。

 僕でも魔導ゴーレムに勝てるのか、とても気になる。


 そこで、リアナに尋ねてもらう。


『ねぇ、リアナ。魔導ゴーレムがどのぐらい強かったか、聞いてみて』

『了解、レオっち』


 少し間を置いて、リアナから返事がきた。


『レオっち、モグログを殴ってみて』

『え、殴る? なんで?』


 僕は思わず聞き返した。

 初対面の怪獣を殴るとは、どうしてそんな話になったのだろうか。


『モグログがね、魔導ゴーレムとのパンチ力を比べて、どっちが強いか判定してくれるって』

『えっ、強さ判定のために、殴っていいの?』


 僕としてはありがたいが、それで良いのだろうか。

 モグログの思考は、よくわからない。


『うん。いいみたいよ』

『そう、そう言ってくれるなら……』


 その間もモグログは僕を見つめていた。

 よく見ると、クリクリとした、わりと可愛らしい瞳をしている。


 僕は戸惑いながらも言われるままに、モグログに向かって二本の尻尾を振る。

 怪獣形態だとパンチは不得意なので、ここは尻尾にさせてもらう。


 バシン。


 それなりに音はしたけど、たいした衝撃ではなかったかもしれない。

 すぐにリアナから念話で返答が届く。


『かなり弱かったけど、手加減してないかって』

『いや、なんか、つい……』


 なんの恨みもなく、無防備の相手に全力は出しにくかった。


『レオっち、モグログは、本気でいいって言ってるよ』

『……わかった。じゃあ、本気でいくよ』


 モグログは、きっと自分の耐久力に自信があるのだろう。

 どうなるかはわからないが、思い切ってやってみることにした。


 僕は一度脱力し、大きく身体をひねり、モグログめがけて二本の尻尾をぶん回す。

 加速した尻尾の先端にあるコブがモグログに直撃した。


 ズバアァァンッ!! ――自分でも驚くほどの一撃だった。


 ここまで本気を出したのは、怪獣になってから初めてかもしれない。

 正直、スカッとした。


 ただ、その衝撃は大きかったようで、モグログは吹き飛び、地面を何度も転がっていった。


 大丈夫だろうか。

 さすがにやりすぎたかと心配になったが、しばらくしてモグログはゆっくりと起き上がり、身体の土をざらりと払いながら、リアナを通じて返事をくれた。


『レオっちは、ゴーレムの五倍くらい強いって』


 起き上がったモグログは、落ち着いた様子で答えてくれた。

 ただ、落ち着いた様子ではあるのだが、脇腹のあたりを押さえて痛そうにしている。


 不機嫌そうに現れたにもかかわらず、ダメージを受けてまで比較してくれるとは、モグログは意外に律儀でいいやつだ。

 これはモグログにも怪獣の国に加わってもらい、エルフを迎え撃つ戦力になってほしい。

 僕はそう考えて、モグログに協力を頼んだ。


 話を聞いたモグログは、脇腹を抑えたまま、ゆっくりと身体をしゃがませる。

 そして、なにを思っているのかはわからないが、爪の先でゴリゴリと地面を掘りはじめた。


 これまでの怪獣たちは即答だったけれど、モグログは違うようだ。


 突然、怪獣の国などと言われても、信用できないのだろうか。

 怪獣たちと長く一緒にいると忘れてしまうが、それが普通といえば、そうかもしれない。


 そんなことを思いながら、そわそわと待っていると、エレナから念話が届いた。


『レオン様、モグログが静かな土地を要求しています。約束しても良いですか?』

『静かな場所か。もちろん良いよ』


 モグログにとって一番大事なのは、静かな空間なのだろう。

 であればモグログの住処として、森のどこかに立ち入り禁止区域を作ることにしよう。


『それからエルフとの戦いにも協力してくれるそうです。モグログはうるさいエルフたちに、怒っているみたいですよ』

『そうなんだ、頼もしい仲間になってくれそうだね』


 モグログと利害も一致するなら、ちょうど良かった。

 最後にリアナから謎の一言が追加される。


『あとね、レオっちの一撃、ちょっとクセになりそうだって言ってるよ』

『えっ、クセに?』


 モグログは何を言っているんだ?


『うん。たぶんレオっちを気に入ったってことだと思うよー』

『ふーん、そうなんだ。わかりにくいけど』


 ともあれ、こうして新たに頼れる仲間、モグログが怪獣の国に加わってくれた。


 牛豚怪獣ピグモー、

 穀物怪獣モフモフ、

 透明怪獣ホロウホー、

 地底怪獣モグログ、

 たくさんの怪獣が賛同してくれたことだし、そろそろ一度、怪獣の国の仲間たちを集めてみようと思う。



 ◇◇◇



 ⭐︎怪獣豆知識コーナー⭐︎


【地底怪獣モグログ】

 体長はおよそ四十メートル。ナマケモノのように長い腕と、ライオンを思わせる立髪を持ち、体表はフランスパンのようにゴツゴツと硬質で、非常に頑丈。

 この怪獣の最大の特徴は、地底で暮らすこと。地底では一か所に留まっていることが多いが、必要に応じて、数キロにも及ぶトンネルを掘ることもある。

 地上でも問題なく活動できるが、その動きは遅い。

 性格は律儀で真面目で、引きこもり気味。ただし静寂を好むため、それを乱す存在に対しては、怒りの感情をいだく場合もある。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ