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魔法世界の怪獣王国〜魔力ゼロで底辺奴隷だった僕ですが、自然の摂理を超越したマイペースな怪獣たちの王様になりました〜  作者: 同歩なり


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第17話 観光都市潜入作戦(魔導結界)

 先ほどは思わず、軍オタ青年に「痛い目を見ることがあるかもね」などとイキってしまったが、このままでは痛い目を見るのは僕らの方だろう。


 魔導ゴーレムが軍オタ青年の言った通りの強さだとしたら非常にピンチだ。


 モフモフはおっとりしているので全く戦闘には向かないし、ピグモーも魔導ゴーレム相手では厳しい戦いになりそうだ。

 ホロウホーは飛べるので、魔導ゴーレム相手なら優勢を取れるかもしれないが、精鋭エルフ魔導師団の魔導矢に撃ち落とされそう。


 そして、敗北した場合、モフモフとピグモーなどはすぐに家畜化されてしまうだろう。

 モフモフとピグモーが家畜化された姿は容易に想像できるし、むしろ似合いそうだ。


 ひとまず、魔導ゴーレムについての情報は得られた。

 これ以上、ここにいても新たな収穫はなさそうなので、隣にある王立図書館に立ち寄ることにする。

 最後に、エルフに関する知識をもう少し深めてから帰るつもりだ。


 王立図書館も観光都市ルミナントらしく、無料で誰でも入館できるらしい。王立図書館は、立派な大理石造りの建物で、正面には優雅な雰囲気が漂う入口がある。


 入館しようと、その入り口へ近づくと──。


 バチバチッ!


 火花が散った。

 驚いて立ち止まると、エルフの係員がこちらへ歩み寄ってきた。


「おや? エルフの方なのに……おかしいな」


 どういうことかと尋ねると、係員は穏やかに説明をしてくれた。


「貴重な書物を守るために、魔力が低い者を弾く結界を張ってるんです。以前、抵抗勢力の人間に『古代魔術書』と『勇者の書』を盗まれそうになったことがありまして。まあ今では、すっかり人間が近寄ることもなくなったので、この結界も虫除け程度にしか役に立ってないですけどね。ははっ」


 なるほど、そんな理由があったのか。

 魔力が少ない人間が入れないのなら、魔力が全くない僕が結界を抜けられるわけがない。


 ここは入場を諦めて、エルフではないとバレる前に撤収した方が良さそうだ。

 とりあえず誤魔化して、この場を去ろう。


「あ、お姉ちゃん、お腹すいてきちゃった」

「じゃあ、なにか食べに行こうか。図書館はまたあとでね」


 リアナも危険を察してくれ、僕らはそそくさと図書館から立ち去った。


 今回、図書館に入れなかったのは残念だけれど、魔力の低い者が弾かれる結界があると分かったことは収穫だ。

 これからは、少し慎重に行動した方がよさそうだ。


 帰り道、ルミナントの街をぐるっと遠回りして歩いていると、王国軍の駐留場が見えてきた。

 どうやら住民や観光客からの相談ごとなどを受け付けているらしい。


 僕は図書館の結界が気になっていたこともあり、駐留場にも結界が張られているのか確認するために近づいてみた。

 すると──。


 バチバチッ!


 火花が散った。王立図書館のときと同じだ。

 さすがに王国軍も警戒を怠ってはいないらしい。


 図書館の係員も抵抗勢力とか言っていたし、多少なりとも警戒すべき人間の組織があるのだろうか。


 それにしても何の問題もなく、大都市ルミナントに着いたときは、エルフに変装すればどこでも入り放題かと思ったが、どうやらそうでもなさそうだ。


 もし警備がザルなら、見つからないよう王国軍司令部などに侵入し、怪獣形態に変身するだけで簡単に壊滅させられるかとも思ったけれど、さすがにそれほど甘くはないようだ。これは残念。


 さて、色々と寄り道しながら歩いているうちに、本当にお腹がすいてきた。

 さっきから露店からのイイ匂いがたまらない。


「お姉ちゃん、本当にお腹がすいてきたね」

「そだね、レオっち。なにか食べて帰ろうよ」


 最後に美味しい食事を堪能して、観光都市ルミナントを後にした。

 エレナへのお土産も忘れずに買った。



 ◇◇◇



 大河を舟で渡り、湿地帯を越えて荒野にまで戻ってくると、周囲にはエルフの気配がなくなっていく。

 神聖エヴァリス王国で『辺境の地クロヴァス荒野』と呼ばれるだけあって、見渡す限り岩と砂だらけ。

 元々、見慣れた景色ではあるけれど、華やかだった大都市ルミナントのことを思うと少し寂しくなり、僕はリアナに話しかける。


「なんだかんだで、楽しかったね、スパイ活動」

「そだね、レオっち。ね、わたしが言った通りでしょ」


「うん、お姉ちゃ……、いや、リアナの言う通りだった」

「ぷぷ、お姉ちゃん。レオっち、これからもお姉ちゃんって呼んでもいいよー」


「いや、呼ばないから」


 お姉ちゃんプレイも悪くはないが、ここで終わりだ。

 そうして取り止めのない話をしていると、エレナから念話が入る。

 今までは念話の圏外だったが、僕らとエレナとの距離が近くなり、念話ができるようになっていた。

 わざわざ念話をしてくるとは、なにか急用だろうか。


『お疲れ様です、レオン様。お待ちしておりました。さっそく要件ですけど、村へ戻る前に森の洞窟へ来てください。理由は洞窟でお話しますので』

『ん? 村じゃなくて洞窟? よくわからないけど、OK、了解だよ。あ、そうそう、エレナにお土産、買ってきたからね』


 簡単なやりとりをした僕らは、エレナに言われたとおりに、森の奥にある洞窟へ戻る。

 洞窟では、エレナが一人で待っていた。


「ただいま、エレナ。はい、先にお土産ね」


 わざわざ念話をしてきてぐらいなので、なにか問題があるのだろうと思い、小難しい話になる前に、お土産を渡しておく。


「おかえりなさいませ、レオン様。──これがお土産ですか、ありがとうございます。開けてもいいですか?」

「もちろん。どうぞ」


 エレナは嬉しそうに箱を開け、中身を取り出す。

 今回のお土産は、エルフの間で流行の兆しがあるという、聖樹の葉と蔓をモチーフにした銀製のネックレスだ。

 リアナとお揃いのデザインだが、それぞれ葉の形が少しだけ異なっている。


 精巧なエルフの銀細工を身につけたエレナとリアナ。首元の銀細工がキラリと輝き、美少女姉妹がより映える。

 楽しげな二人を見て、お土産を買って良かったなと思いながら、エレナに尋ねる。


「ところで、エレナ。なにか問題でもあった?」

「はい、レオン様。問題というわけではないのですが、神聖エヴァリス王国に抵抗しているという人間のリーダーがやって来て、村を解放した怪獣に会いたいと待っているんです」


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