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魔法世界の怪獣王国〜魔力ゼロで底辺奴隷だった僕ですが、自然の摂理を超越したマイペースな怪獣たちの王様になりました〜  作者: 同歩なり


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第16話 観光都市潜入作戦(魔導ゴーレム)

 僕らは、新聞を読み終える。


 なるほど。

 辺境の地で、怪獣が暴れていることがニュース記事になっている。


 この記事によると、王国軍の精鋭が派遣されてきそうだが、まだ準備中らしいので時間的な余裕はありそうだ。

 この時間を利用して、しっかりと準備しておきたいところだ。


 あと、新聞のどこを見ても、人間の反乱については載っていない。

 反乱の連鎖を危険視して、情報統制を行っているのだろうか。


 そして、もっとも気になるのは『対怪獣兵器、魔導ゴーレム』の一文だ。

 魔導ゴーレムとは、一体どんな代物なのか。


「お姉ちゃん、魔導ゴーレムってなんだろう?」

「うーん、わたしも分からないなー」


 その会話を聞いたお爺さんが声をかけてきた。

 僕らの隣りに腰掛けて、休憩していたお爺さんだ。


「おや、君たち、ゴーレムに興味があるのかい? それなら王立博物館に行くといいよ。若い子が新聞を読んで、御国のことを考えるのはいいことだ。偉大な魔法の力で、恐ろしい怪獣を倒してほしいのう」


 なるほど、これは良いことを教えてもらった。


 でもすまない、親切なエルフのお爺さん。

 僕らは、スパイで敵だ。

 むしろ怪獣の力で、エルフを倒したいと思っている。


 そして、お爺さんの話によると、今ちょうど王立博物館で魔導展示会をやっているらしい。

 色々と情報がありそうなので、行ってみることにした。


 王立博物館は中央広場の近くにあり、水晶の装飾が美しい白い石造りの大きな建物だった。

 入り口には観光客も多く、かなりの人気スポットのようだ。


 入り口付近にある看板を見ると、親切なお爺さんの言うとおり、期間限定で魔導展示会が開かれていた。

 さっそく館内に入場すると、天井の高い広々としたホールの最も目立つ位置に、魔導ゴーレムの模型が立っていた。


「はぇー、これは強そう」


 僕は模型を見上げながら呟く。


 魔導ゴーレムは、鈍く光るグレーの石造り、胸には王国軍の紋章が刻まれ、目は赤く輝いている。

 無骨でいかにも強そうだ。


 展示されている模型は、四メートルほど。

 これで1/8スケールらしいので、実物は三十メートル以上ということになる。

 怪獣形態の僕ならともかく、ピグモーやホロウホーは勝てるのだろうか。

 心配だ。


 僕とリアナは館内を巡り、他の展示物も眺める。

 その一つに、こんなものがあった。


『未来のクリーンエネルギー、怪獣。魔素を消費しない怪獣を家畜化して、様々な資源として活用しよう!』


 怪獣の家畜化とは、かなり調子に乗った方策だ。


 他の色々な展示物にも至るところに『偉大な魔法』『魔力の持つ可能性』『崇高なるエルフ』などと書かれている。


「……なかなか驕ってるな、エルフの国」


 入場者はエルフしかいないので『魔法最強! エルフ最高!』みたいなノリで良いのだろうが、魔力ゼロのゴミカスと言われた身としてはイラっとする。


 ここの展示物を見て改めて思ったが、エルフは最近になり急速に進歩している魔法に、絶対の自信を持っているようだ。

 なるほど、これは魔力の少ない人間の奴隷化だけでは飽き足らず、魔力を持たない怪獣をも家畜化しようとするわけだ。


 展示物からエルフの考え方はわかったが、所詮は観光客向けの展示会。

 詳しい軍事情報などはわからない。


「やっぱり雰囲気しかわからないね。もっと詳しく知りたいなー。ね、レオっち」


 リアナはそう言ったあと、キョロキョロと周囲を見回し、知らないエルフに声をかけた。


「ねぇねぇ、この魔導ゴーレムって、どのぐらい強いのかなー?」


 話しかけた相手は、軍オタっぽいエルフ青年だ。

 眼鏡をかけて戦術書を片手に持ち、うんちくを語りそうな風貌だ。

 情報収集には、良いチョイスだと思う。


 突然、美少女に声をかけられて浮かれた軍オタ青年は、得意そうに魔導ゴーレムについて、早口で語り始めた。


「えっ、なに? あっ、あっ、お、お姉さんと弟くんかな? あ、気になっちゃう? これ? こいつは強いよ。対怪獣兵器の魔導ゴーレムはね、通常の警備ゴーレムより、大気中の魔素を変換して作る魔導エネルギーが最大二十二倍もあるんだよ。二十二倍だよ、すごいよね。えっ、その前に警備ゴーレムを知らない? あぁ、常識かと思ったけど、一般人は知らないか。ごめん、ごめん。僕なんかは、実物を見たことがあるけどね。警備ゴーレムは魔物が出没した際に配備されるゴーレムで、Bランク程度の魔物ならワンパン、Aランク相手でもタイマンで倒すほどの強さだよ。新型の魔導ゴーレムは、その二十二倍。どう? すごさがわかった?」


 早口すぎて少し息が切れているが、まだまだ軍オタ青年の喋りは止まらない。


「この魔導ゴーレムは、国内のどこかにある秘密の工場で製造されているんだよ。そこでは、奴隷が毎日十四時間労働してるらしいんだけどね。僕に言わせると、奴隷を十時間も休ませるなんて甘すぎる。奴隷なんて死んでも良いから、さっさとゴーレムを作れってんだ。目標は十体らしいけど、いつできるのかな。僕は来月ぐらいに完成すると見てるけどね。この巨大な魔導ゴーレムが量産された暁には、怪獣なんかあっという間に殲滅だよね。まあ、怪獣も強いっちゃあ強いけど、魔導ゴーレムに比べたらカスだよね。あえて言うと」


 ベラベラと情報を流してくれるのは有り難いが、とてもウザイ。

 ウザイと思ったのはリアナも同じだったようで、軍オタ青年に言い返す。


「ふーん、説明ありがと。すごいのはわかったけど、怪獣だって強いよね?」

「まあ、怪獣も弱くはないよ。ひと昔前は、怪獣が最強という幻想もあったけど、魔法が進歩した今ではカスじゃないかな。それに魔導ゴーレムは、供給する魔導エネルギーによって、さらに強くなるみたいし、エルフが持つ魔力の前では敵じゃないよ」


「そうかなー? エルフってそんなに凄いかなー? ゴーレム作ってる人間だって可哀想だし」

「自分だってエルフなのに、変わったこと言うね。共存主義とか、そっち系の人? 最近、増えてるよね。まあいいけど。でも魔力がない種族は、カスだと思うよ」


 リアナと軍オタ青年の言い合いが始まった。

 しばらく聞いていたが、これ以上ヒートアップして、注目を集めては厄介だ。


 軍オタ青年には、こちらから話かけておいて申し訳ないとも思いつつ、僕もイラっとしていたので、最後に一言だけ言ってみた。


「まあまあ、お姉ちゃん。せっかく面白い話を聞かせてくれたんだし、その辺にしとこうよ。このお兄さんの言う通り、エルフの魔力は凄いものだからね。だけど、魔力のないものをカスだと思ってバカにしてると、痛い目を見ることがあるかもね」


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