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第3話 大問題発生?!神様、ちょっと出てきなさいよ!

助かったのは、この身体の持ち主の記憶があるということだ。

おかげで、

「ここはどこ?」「私は誰?」

とベタな記憶喪失のフリをしなくてもいい。

ふむふむ。

名前は、ホレイショ グリッソム。年齢、三十六歳。

職業、マイラス国の最強将軍。連戦連勝で無敵。戦場では鬼神と恐れられ、無双。

性格は、豪放磊落。会話より拳で語る方が得意。

家族は年老いた母親がいる。妻子なし。母親からは、早く結婚して孫の顔を見せろと顔を合わすたびに言われるので、兵舎に避難していると。

なんか共感してしまうな。

他には······

げっ、毎朝、片腕腕立て伏せ二百回······

二百回っ!?

朝から?

マジで?

はあっ?意味わかんない。

その後に腹筋百回、素振り三百回。寝る前には、ランニング十キロ、スクワット百回?

バカじゃないの。

死ぬわよ、これ。

いや、将軍は毎朝やってたんだから、死んではないわね。

文字や数字を見ていると秒で眠くなるため、事務仕事は苦手。だろうね。

行動から典型的な脳筋じゃないか。

あたし、こんな男の中に入ってんの?

バレないようにやっていく自信ないわよ、はっきり言って。

あのイケメン騎士は、アンドレア レイノルズ、二十八歳。独身。剣技より槍術が得意。グリッソムの副官で、苦手な事務仕事をしてくれていると。拝むしかないわ。

他に部隊長が八名に事務担当が二名ね。

内務大臣のホッジスとは犬猿の仲ね。毎回、嫌味と地味な嫌がらせに辟易していると。近寄るのは、やめよう。

はぁっ、なかなか面倒な相関関係だわ。

疲れたな。

お風呂入りたい···

浴室ってまさか大浴場?

むさい男どもと混浴って、嫌すぎる。

目眩が···

トイレ行こう。

一旦、トイレ行って落ち着こう。

······

······

!?

だーっ、ま、待って!

いま、あたし、男だった。

はっと気づいた死活問題に、あたしは一気に血の気が引いた。

ちょっと、神様、出てきなさいよ!

出てこないんなら、あんたがしでかしたミスをこの世界の人間に言い触らすわよ、いいの、いいのねっ?!

実際に叫ぶと危ないひとになるから、心の中で叫んだ。

返事がない。

よし、兵士全員集めて······

と思ったとき、スモークと共に声がした。


「だーっ、やめんか!」


神様が姿を現した。


「来たわね。一大事よ、一大事」


「我は神ぞ、そう簡単に呼び出すではないわ」


不満気な顔でこっちを睨んでいる。

慰謝料について話して無かったんだから、呼び出す権利はあるはずだ。


「慰謝料」


「ちっ、覚えておったか······」


当たり前じゃない。

しらばっくれようとしたって、そうはいかないわよ。


「で、なんじゃ」


「生理現象のない身体にして」


「なんじゃと?」


「だから、トイレ問題よ、トイレ問題。お風呂はなんとかなるけど、トイレはどうにもならないわ。この身体だけど、中身は女性なの!あんなもの持つのは無理よ、無理」


「いや、じゃが······」


「オタクの世界や少女マンガじゃ、アイドルや美形はトイレにいかないと決まってるのよ。美形じゃないけど、あたしもトイレに行かなくていいようにしてよ!」


あたしの切羽詰まった要求に神様は顎を落とした。


「無理じゃろうが。本来の生理的な現象をねじ曲げると身体に影響が出るぞ。無茶振りじゃ」


腎機能障害で尿毒症になるってことか。

それは駄目だな。

一応、借り物の身体だし。


「ならさ、他の人に移すことは?魂が移せるなら、何とかなるよね」


「······できるが······」


「はい。決まり。それでお願い」


「じゃが、移す相手がおらんことにはな······」


ご尤も。

そうね。生贄がいるわね。

あの美形騎士は……止めとこう。

あのいけ好かなさそうな内務大臣ならいいわよね。うん。内務大臣にしよう。

命を削られるわけじゃないし、頻尿になるくらいだからいいわよね。


「無茶苦茶じゃ······」


何言ってんの。

そもそも神様が間違えなきゃこんなことにはならなかったんだから、尻拭いくらいしても撥はあたらないはずよ。

神様が複雑そうな表情でもごもごいうと、淡い光に包まれた。

体、特に下の方がすっきりとした。


「終わり?」


頷く神様にサムズアップする。


「呼び出しは、あと二回じゃからな」


「なんでよ」


「世の理をそれでなくとも崩しておるのじゃ。これ以上崩すと収拾がつかなくなるんじゃ、わかったか!」


キレ気味に言い捨てると、すぐに姿が見えなくなった。

あたし了承してないんですが···

まぁ、いいか。

無理を通せば道理が引っ込むともいうし、あと、二回は呼び出せるもんね。

ほくそ笑んでいると、廊下から声がした。


「グリッソム将軍、国王陛下がお呼びです」


「······」









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