表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真鍮の探偵ロイス・アッシュウォーカー/宿命の解体屋と鋼の守護者  作者: 弌黑流人
灰色の美学

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/110

崩壊の秒針

 ヴィクトルは驚く様子もなく、不気味に静まり返っていた。


「いい構図だ、ロイス・アッシュウォーカー。下界の幸福な老人たちを救うために、汚れを知らぬ高みへと昇ってきた英雄。だが、君は一つ勘違いをしている」


 レンズから不可視の衝撃波が放たれ、私の足場が粉砕される。間一髪でワイヤーを放ち、ロイスは落下を免れた。


「熱源じゃない、振動だ! ロイス、奴の機材は船の蒸気圧を音に変換している!」


「私の目的は、彼らの死そのものではない。彼らが死ぬ瞬間に放つ、魂の震えだ。そして今、最も激しく震えているのは……君のその、美学に燃える瞳だよ、ロイス!」


 その時、階下から蒸気バルブがオーバーロードする巨大な音が響いた。ジェミニがバイパスを逆流させたのだ。


「悪いな!俺の友達を勝手にスピーカーにしないでもらおうか! この船のエンジンが、お前の不協和音には付き合いきれないと言っているぞ!」


 爆発直前、ヴィクトルは滑空翼で海へ飛び去った。


「ちっ、エンジニアの介入か。だが、ハワード夫妻の永遠の歯車は、すでに狂い始めている。私が仕掛けたのは、毒ガスだけではないのだよ」


 「ナーーーーーーン! 」

 (ロイス、戻れ! ベルの方だ!)


 ススの叫びに駆け戻ると、時計の内部から不吉な音が響いていた。


「ロイス様、この時計の内部に、マイクロ・ボムが仕込まれています。ハワード氏がゼンマイを巻き上げたことで、起爆シークエンスが開始されました。解除には……物理的な解体が必要です」


「どこまでも悪趣味な男ね、ヴィクトル!」


 爆発まであと数分。私は震える指先を時計にかけた。


「やるしかないな。それが、俺たちの美学だ。形あるものはいつか壊れる。だが、命を解体させるわけにはいかないだろう?」


 私は単眼で悪意の歯車を捉える。三日目の戦いは、まだ終わらない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ