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真鍮の探偵ロイス・アッシュウォーカー/宿命の解体屋と鋼の守護者  作者: 弌黑流人
灰色の朝

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祈りの解体


 爆鳴が世界を震わせた。空間を揺るがした絶叫と金属の断末魔が、一瞬ののちにすべて消え去る。後に訪れたのは、鼓膜が痛むほどの、劈くような静寂だった。熱を帯びた空気が、嵐の去った後のように重く淀んでいる。


 プロメテウス・エンジンの心臓部から、文字通り剥離されたドクター・エフィメラの巨躯は、もはや神の威厳など微塵も残していなかった。剥がれ落ちた黄金の装甲を星屑のように周囲へ撒き散らしながら、円形広場のはるか下層、底の見えない暗い奈落へと音を立てて落下していく。


 都市の血を啜っていた不法な神経は、ロイスの一撃とジェミニの解体によってすべてが焼き切れていた。かつて誇り高く脈打っていたバイパスは、今やのたうつ死骸のように力なく垂れ下がり、無機質な鉄の塊へと成り果てている。臨界突破を告げていた毒々しい赤光は、死にゆく巨獣の瞳が光を失うように、急速にその輝きを減衰させ、最後には静かに消灯していった。


 「……ベル!」


 ジェミニは、まだ熱風が渦巻く中を、なりふり構わず駆け抜けた。足元の瓦礫が、彼の焦燥を嘲笑うかのように崩れ、行く手を阻む。だが、彼は痛みも障害も認識していなかった。


 エンジンのメインバルブから凄まじい反動で弾き飛ばされたベルは、硬い真鍮の壁面に叩きつけられ、無残な瓦礫の山の中に人形のように力なく横たわっていた。


 かつては重厚な美しさを湛えていた彼女の真鍮の肌は、超高温の負荷によって白く焼け爛れ、その優雅な曲線は見る影もなく歪んでいる。精密な関節の隙間からは、もはや火花さえ出ることなく、ただ頼りない灰色の煙が、命の終わりを告げる香煙のように細く、弱々しく立ち昇っていた。


「ベル! ベル、返事をしろ! 聞こえているのか、ベル!」


  ジェミニが瓦礫を跳ね除け、彼女の身体を抱き起こす。その身体は、素手で触れれば皮膚が焼けるほどに熱を持っており、それとは対照的に、内側から命の灯が消え失せたかのように驚くほど軽かった。


  常に黄金の光を宿していたはずの瞳は、今や深く沈黙し、彼女の四肢に無限の活力を与えていた、あの穏やかで規則正しい蒸気の鼓動も完全に停止していた。


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