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忘却の迷子  作者: 藤村 託時


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11/12

11.事件のその後

 なんとなく、俺がジンたちと一緒にいて落ち着く理由がわかった。

 この拠点の雰囲気は俺の星に近いものを感じる。

 この星では金というものが存在しているせいで、ものを分け与えるということをしなくなっているのだと思っていた。

 だが、ここの人間達は金を持っていないからこそ金に囚われずにものを分け与えるという考えができているのかもしれない。


 それから日が明け、四人の子供たちの親がいる拠点へ向かうことになった。

 4つに分かれてそれぞれ拠点の人間と話し合いをする方針となっており、俺はジンとともに拠点へ向かった。

 子供たちは話し合いが終わるまでは俺達の拠点に残し、親との話がつき次第正式に預ける流れになっている。

 俺とジンが向かった先には女の子供の母親がいるらしい。

 女の子供の名前は「モモ」と言う。

 昨日、モモはまだ心を開いていないのかジンや俺に対して警戒している様子が見られた。


「モモは今の状況がちゃんと分かっているのか?」

「いや、多分分かっとらん。自分の親に売られそうになっとったなんてことは教えなくてええことや。ラーからもそのことについては言わんよう頼む」

「わかった。話さないようにする」


 話をしていると、少し開けた場所にたどり着いた。

 このあたりには木でできた建物がいくつかある。


「俺達の拠点と違ってちゃんと家が建てられてるじゃないか。なんでジン達は家を作らなかったんだ?」

「利用できそうな洞窟があったからそのまま利用しただけや。わざわざ家を作るのも面倒やったしな」


 家は作った方が生活しやすいだろうとは思ったが、そんな事を言っても仕方ないので母親の捜索を進める。

 とりあえず、外にいる人間に声をかけていくことになった。

 近くにいた黒く長い髪をした女に声を掛ける。


「ちょっといいか。ここの拠点のまとめ役と話がしたいんだが、今どこにいるか分かるか?」

「私達のリーダーはメントルさんよ。多分、今会議でもしているんじゃないかしら」

「そうか、会議してる場所まで案内を頼みたい」


 女にリーダーのメントルという奴のいる場所まで案内してもらった。

 ドアをノックすると、中へすんなり通してもらえた。

 どうやら、会議は既に終わっているようだった。


「あんたがこの拠点のリーダーのメントルさんか?」

「ああ、私がメントルだ。あなたは洞窟の所のリーダーだってね。今日は一体どんな用件だい?」

「ここの拠点の奴が自分の子供を外の人間に売ろうとしとったことは聞いとるか?」

「一応、その話は伝わっては来ているよ。君が外に追放したらしいね。追放する前に相談はして欲しかったけど、まぁ自分の子供を売ろうとする人は結局ここにいてもらおうことはできなかったけどね」

「あんたは本当にあいつが外の人間と繋がっとるのを知らなかったんか?」

「この拠点は人が多くてね。私が全員の動きを完璧に把握することはできないんだよ」

「まぁええ、それならあいつの母親がどこにいんのか教えてもらえんか。母親とこれからどうするか話したいねん」

「ああ、それならさっき君たちを案内した彼女がそうだよ。彼女なら別の部屋にいるだろうから呼んでみるよ」


 そう言うと、メントルは部屋の外へ出ていった。

 しばらく待っていると、先程の髪の長い女を連れてメントルが戻ってきた。


「彼女の名前はイヨ、モモの母親だ」

「あなたたちが私の子供を助けてくれたのね。感謝するわ、モモを助けてくれてありがとう」

「イヨさん、あんたの旦那がモモを売ろうとしてたんは知ってたか?」

「いえ、知らなかったわ。夫とはここしばらくあまりいい関係ではなかったから、接する機会も減ってたの。でも、まさか自分の子供を売ろうとするなんて思いもしなかったわ」

「モモをできれば母親であるあんたに預かってほしいんやが、ええか? 今は一旦俺の拠点に置いてきとるが、明日、ここに連れてこようと思とる」

「ええ、お願い。娘はここの拠点のみんなと育てていくわ。夫のことは残念だけど、ここにはメントルさんもいるしモモも大丈夫よ」

「わかった。それじゃあ今日のところは一旦拠点に戻るが、明日またモモと一緒にあんたに会いに来るわ」

「待ってるわ」

「どうやら、話はまとまったようだね。それじゃあ、君たちはもう帰ってもらえるかな。イヨはここに残ってて」


 ジンと俺は建物を出て、自分たちの拠点へ戻った。

 拠点ではモモが大人しくしていたようだ。


「ジン、お前のところはどうだった? 子供は返せそうか?」

「明日モモを母親のところに連れてくことになった。タカアキはどうやった?」

「俺の方はもう子供を渡してきた。まぁ、こっちの場合、両親は子供を勝手に奪われた被害者でしかなかったからな。親からはだいぶ感謝されたよ」

「それはよかった。ミドリの方は?」

「私たちの方ももう親に渡してきたわ。父親が自分の子供を売ろうとしていたことにだいぶショックを受けていたけどね」

「ミドリもアオが売られそうになったわけやから同じ境遇やもんな」

「私もまだ平気ってわけじゃないけどね。アオが無事でとりあえずは安心はしたわ。ジンとラーには本当に感謝してる」

「俺は特になんもしとらんわ。ラーがおらんかったら取り返しがつかんかった」

「俺の身体はジンより強いが、それだけだ。あの場を収めたのはジンだ」

「二人のおかげだよ。もう時間も遅いし、ご飯食べて早く寝ましょう」


 その後、みんなで食事を取り、明日に備えて眠りについた。


 俺とジンは約束通り、モモを連れて母親のいる拠点へ移動する。

 拠点に着くと、地面に横たわった人間が何人かいた。

 この拠点の人間は野晒しの地面で寝るのだろうか。

 ジンが寝ている人間を起こそうとする。

 身体を揺すったところで、横たわっている人間には何も反応がなかった。


「あ、まだ人間が残ってんじゃん」

「っていうかこいつラーじゃん。よかった、探す手間省けて」

「情報通り、ここらへんにまだいたんだな」


 建物の中から四人組が出てきた。

 その顔にはなんとなく見覚えがある。


「ガーラス星人のあの四人組か。どうしてここが分かった?」

「いやぁ、ずっとお前の情報を集めててさ、最近ここらへんの奴らが化物みたいなガキがいたって話をしていてさ。一応そいつらから場所聞いてわざわざ来たってわけ」


 どうやら、子供を攫おうとしていた奴らから情報が伝わったようだ。

 ジンは状況がよくわかっていないようだが、四人に向けて話しかける。


「この村の人間はお前らが殺したんか?」

「そうだよ。とりあえず、ラーにたどり着くまで殺しまくれば出てくるかなって感じで」

「ジン、こいつらは俺と同じでこの星の人間じゃない。俺とはまた別の星の加虐趣味の連中だ」

「別に俺等も趣味でいじめてるわけじゃないけどな。仕事のついでに楽しんでるだけでさ」

「それがおかしいって言ってんだよ」

「まぁ、お前と話をしに来たわけじゃないから仕事させてもらうぜ」


 前と同じで四人は俺を取り囲む。


「お前たちじゃ俺を倒せないのはこの前でわかっただろ?」

「確かにお前は俺達より強いかもしれないな」

「でも、こいつならどうかな」


 四人のうちの一人が俺に網を投げかける。

 咄嗟にその網をちぎろうとする。

 しかし、網をちぎることはできなかった。次に身体の一部を液状化させ網を溶かそうとしてみる。

 だが、網は溶けることはなかった。

 仕方がないので、自分を液体化させ網を抜けようと試みる。


「おっと、そうはさせないぜ」


 俺を取り囲む網は隙間をなくすように展開し、気づけば球の形で塞がってしまった。

 液体化した俺は脱出ができない状態となった。


「ラー、お前が身体が頑丈で物を溶かす液体になることは知ってんだよ。俺らは一時的にお前を消すためにコウプ星人と協力してんだ。お前の対策はできてんだよ」

「おいラー、だいじょぶか!」


 ジンの声が聞こえた。


「ラーのおまけはどうでもいいから大人しくしてような」

「おい! ジンに手を出すなよ!」

「こいつがそんな大事なんかよ。それじゃあこいつの悲鳴を聞かせてやるかな」


 そこからジンの悲鳴がしばらく続いた。

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