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忘却の迷子  作者: 藤村 託時


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12/12

12.終結

 1時間ほどジンの悲鳴が耳に入り続ける中、俺は球体の中で何もできることがなかった。


「そろそろこの人間も限界かな、そんじゃこいつ殺してラーは死ぬまでそこにいてもらおうかな」


 自分の意識が怒りと悲しさが入り混じり、曖昧な状態となる。


 コイツラヲコロシタイ


 自分の中で殺意だけが高まり続ける。


【ラー、聞こえるか。今どんな状態だ?】


 誰かの声が脳内に響く。


【うるさい、俺はこいつらを殺したいだけだ】

【敵が近くにいるんだな。それじゃあお前のとこに行って倒してやる】

【何者だお前は?】

【なんだよ仲間のことを忘れちまったのかよ。まぁいい、話は後で聞こう】


「うわっ、何だお前ら!」

「こいつら全員額に目があるよ」

「ラーの仲間か、そんなの聞いてないぞ!」


 四人の驚いている声が聞こえる。


「ラーどこだ? 返事してくれ」

「俺はここだ。お前が脳に話しかけて来た奴か」

「ああ、他の仲間もいるぞ。お前の敵はここにいる奴らなのか?」

「そうだ、俺の友達を傷つけている敵だ」

「そうか」


 俺の仲間を名乗っているが、その声に聞き覚えはない。

 だが、今は仲間であることを信じる以外できることはなかった。


「助けてくれ」

「わかった」

「おい、確か予備の網があっただろ。こいつらまとめて閉じ込めてやれ」

「おっけー。これでも喰らえ」


 まずい。

 俺の星の仲間だとしたら俺と同じように閉じ込められてしまう。


「”デリート”」

「は?」

「網が消えたぞ!」

「お前らのようなレベルの低い文明の星にいる奴らが作るものなんて効くわけ無いだろ」

「この死にかけてる人間がラーの友達っぽいな」

「それじゃあ、この人間以外のこいつらだな。”フリーズ”」

「う、動けない⋯⋯」

「それじゃあ、ラーを取り囲んでるこれも”デリート”」


 俺を取り囲んでいた球体が消滅した。

 球体の外には俺と同じように額に瞳の付いた男が二人がこちらを見ていた。


「お前たちは俺の星の仲間なのか?」

「そうだ。どうやらラーは記憶をなくしているようだな」

「多分だけど、あの転移装置のバグのせいで記憶を失ってるんじゃないか」

「それしかないか。ラー、俺達の星で最後に覚えてる記憶はなんだ?」

「朝、家を出て、いつも通り友達と遊んでた」

「自分の任務については覚えてるか?」

「任務?」

「なるほど、少なくとも任務を与えられてからの記憶はないようだな」

「ラー、お前がこの星にいる理由は俺達がこの星の管理を行うことが決まったからだ。管理の際にこの星の調査をするため俺達三人はこの星へ来たんだよ。だが、お前の移動装置にバグがあったみたいで予定していた場所と違うとこへ行ってしまったんだ。そして、その時に記憶も一部なくなってしまったようだ」

「俺達がこの星の調査?」

「そうだ。この星は文明がある程度進んできていて、そろそろ確変期に入ると予測されてる」

「確変期?」

「星の文明が進んでいくと、その星の人間の悪意と文明の釣り合いが取れなくなっていくんだ。ただ、その釣り合いが取れなくなってくる確変期に悪意を治めることができればその星は安定期に入ったとみなされ、宇宙的に安全星としてみなされる」

「ここの星にそこの奴らみたいな違う星の悪いやつらがいるのは知ってたのか?」

「ああ、カンプ星人とコウプ星人がこの星にいることは知っている。そいつらの対処も含めて調査しているところだった」

「こいつらはどうするんだ?」

「お前に害を加えようとしたんだ。こいつらの星は安全星にも入っていないし、ある程度調査してから対処しようと思っていたが、もう処理していいだろう。この四人から情報をある程度取り出して、残党をみんな初期星へと送る」

「何だ初期星って」

「さっき話した確変期を乗り越えられたかった星の奴らはもう悪意が蔓延して改善されることはない。だから、死体の処理とかも面倒だから人間のいない巨大動物だけの星へ送る。そこの動物が餌として食べてくれるってわけだ」

「おい、その話マジかよ⋯⋯」

「何でも話すから私たちだけは許してよ」

「別に話さなくていいぞ。情報は脳からこっちで取り出すから。悪意に侵された人間はもう手遅れなんだ、すまないな」


 話の情報量が多すぎていきなりは整理できない。

 だが、額の目と俺を助けてくれたことから仲間なのは間違いなさそうだ。


「そういえば、なんで突然お前たちと脳で会話ができたんだ?」

「ああ、この任務が決まった時に俺達の脳には小さいチップが埋め込まれている。このチップは緊急用で感情が極限まで高まった時、仲間に位置情報とかが発信されるようになっているんだ。それで連絡できてこっちにも来ることができた」

「なるほど。⋯⋯お前たちならここでうずくまっている人間を今から助けることできるのか?」

「ラーの友達って言ってた人だな。まぁ問題ない。”ヒール”」


 骨も折られ身体中の傷跡から血が見えていたジンの身体から傷が消え、曲がっていた手足も形が戻っていった。


「ジン、大丈夫か!」

「ラー、一体何が⋯⋯」

「俺の仲間が助けに来てくれたんだ」

「それは良かった。そこの四人はどういう状態なんや?」

「こいつらは無力化できてる。大丈夫だ」

「ラー、友達ができたとこで悪いがお前は俺らと一緒に任務に戻ってもらうぞ。お別れの挨拶をするなら今してくれ」

「そうか、まあそうなるか」


 俺はこの星の人間じゃない。

 自分の星へ帰れるんだ。もう突然襲われることはないし、居場所がなくて孤独になったりもしない。ジン達ともそもそも違う生き物だった。いつか別れが来ていただろうから仕方ない、

 仕方ない。


「ジン、俺はこの星に来てこの星の人間の言葉も分からず襲われた。自己防衛のため過剰な反撃もしてしまったかもしれない。いろいろ疲れていた状態でお前と会って、この星にも良い奴がいることを知った。出会えてよかった」

「ラー、仲間と会えたんやな。良かったなぁ、うん。淋しくはなるがお前が幸せになるんが一番や。それじゃあ向こうでも元気でな」

「ジン、お前たちの星の金ってもののせいでジン達の拠点の人が不幸になるんだったら俺が金なんてものはなくしてやる。お前のような良い奴が不幸になる世界は間違っている」

「⋯⋯じゃあ頼むわ」


 俺はジンとの会話を終えた。

 仲間の二人に混ざり、拘束した四人を連れその場から移動した。


 その後、この星からカンプ星人とコウプ星人は消滅した。

 そして、俺達は母性であるグランス星へと戻った。

 記憶をなくしていた俺がこのユノウミ星で体験したことも調査内容としてまとめることになった。

調査内容としてはあまりいい印象のものにはならなかったが、これだけは伝えなければならなかった。


 ユノウミ星には俺の友達がいる、ということを

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