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癌の告知を受けたなら  作者: もちづき裕
現実をスワイプ編
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第四話  向き合いません パート2

お読みいただきありがとうございます。

 乳癌だと判明した時にはステージ4で、骨転移をしていたという方の記事をネット上で読むことになったんです。

 この方の旦那様、非常に献身的で、病気の説明を聞く時には会社を休んで同席をしてくれますし、治療の際にも熱心に看護してくれたようなのですが、そのうちに、

「離婚をしたい」

「ああ〜、離婚をしたい」

「本当に、離婚をしたい」

 と、言い出すようになったというんですね。


 乳癌のステージ4で骨転移までしているというのに、そんなことを言うのかと思うのですが、本人曰く、妻が癌になったということで精神的負担が大きくなったとか、金銭的負担が大きくなったとか。負担が大き過ぎて、ことあるごとに、

「離婚をしたい〜」

 と、言うようになり、最初は病気になった自分が悪いんだ、本当に申し訳ないと思っていたものの、我慢の限界を越えることになって言ったそうなのです。

「だったら離婚致しましょう」

「いや! そんなつもりじゃなかったんだ!」

 旦那様は深く後悔をしていたそうなのですが、とにもかくにも耐えられないということで離婚を決断。癌を罹患後、11年が経った今も自立して働いていますが、離婚を後悔はしていないという体験談だったんですね。


 家族が癌に罹患をすると、家族の精神的負担というものは物凄く大きなものになります。共働きだったら経済的負担もドーンと大きくなりますね。

 前述の方は今までの夫とは想像がつかないほどの変貌ぶりで、

「離婚がしたい!」

 と、言い出したそうなのですが、それでは私も実体験を語らせてください。


 私が癌の告知を受けて以降、現実逃避なのか何なのかは分かりませんが、私の夫は野球観戦に熱中するようになりました。野球観戦だけに留まらず、トークショーにも参加をしているくらいですから、かなりハマっている感じです。

 キャンプ地まで追っかけ旅行ツアーに参加しようかどうしようか、本気で考えているくらいですから、完全に染まっている感じです。


 一軍だけでなく二軍の試合も観にいきますし、野球の中継がある日はテレビに齧り付いて見ています。

 ユニホームも(私の分まで)買ってくるし、キャップも(私の分まで)買ってくるし。お前、どんだけ行くねんとツッコミを入れたくなるほど、熱心にチケット購入をしているような状態です。

 夢中になれる趣味があるなら良いんじゃないのかな。そう、私も思っていたのですが、異変はある日、突然、訪れることになったのです。


 その日は高校生の娘の運動会があるということで、娘の勇姿をカメラに残してやろうと考えた夫は朝早くから高校の校庭に向かいまして、その日は曇り空、風もビュービュー冷たい中で、保護者席に陣取っていたわけです。

 その日の18時から野球観戦。ドームではなく野外球場なので、冷たい風がビュービュー状態です。

 翌朝、9時から格闘技のクラス受講を1時間。その日の14時から二軍の試合観戦。18時頃に帰って来た夫は、

「なんか調子が悪いかも」

 と言って熱を測ったら38・6度。だろうね。


 ちなみに私は抗がん剤治療を終えて五ヶ月、娘は高校三年生。その月は模試三つ、推薦を取るなら頑張らなければならない中間テストもあり、

「部屋に閉じこもってください」

 そう言ってバタンと扉を閉めたなら、

「俺をバイキン扱いするな〜!!!」

 ガチギレし始めたんですよ。


 詳細は省かせて貰いますが、今までの夫とは想像がつかないほどの変貌ぶり。一晩寝たら冷静になってくれるかな?と、思ったんですけど、本当に、冷静にならないんですよねえ。


 家族が癌に罹患をすると、家族の精神的負担は想像以上のものになるのでフォローは必要だとは言われていますけど、

「ああー〜」

 向き合うことをやめました。


 一応、熱が出た次の日にはきちっと言いましたとも。

「成人男性が38・6度の熱が出たのだから、それだけ強力な菌かウィルスに晒されているのは間違いなく、検査をしていないから分からないけれど、もしかしたらコロナやインフルエンザの可能性だってあるわけです」


 夫が熱を出す3日前にNHKで放送していた癌の特集(タモリさんとIPS細胞を開発した山中教授が出ている知的探求フロンティアという番組)で、癌患者がコロナ感染した場合の死亡リスクが十八倍? というのを見ていたから分かるよね? 分かるよね? え? 分からない?


 ちなみに夫は全く理解出来ぬまま、

「あの時のパパは明らかにおかしかったけど、あの時のママの『あ〜、はい、はい』ぶりが凄かったよ〜」

 私の向き合わないぶりを娘は後日、こう評価してくれました。


 おばさんの夫はおじさんになるので、

「男の更年期という奴なのか?」

 とも思ったのですが、向き合ったところでしゃあないと思いましたとも。

 最悪、

「お前とは離婚だ〜!」

 と、言い出したら、受けて立ってやろうじゃあねえかと。それくらいのつもりでいたら気も楽になり、(結局、夫はそこまでは言いませんでしたが)そのうち普通に戻りました。


 普段だったらガチで喧嘩を前のめりで購入して、バチバチのバトルを繰り広げていたかもしれないのですが、

「いや、前述の通り、調子が悪いんです」

 関節痛がね、本当に酷いんです。そんなわけで向き合わないを発動し、互いに不満な部分は積み重なっていったんですけど、そのうち、お互いにどうでも良くなってくる時がやってくるんです。


 試合が雨で中止になって、その分が9月の試合となって改めてチケット発売するけれど?

「買うな、9月には娘の推薦受験があるんだぞ」

 これだけはきっちり言うようにしつつも、夫の野球狂いについては基本的に放置するようにして、

「向き合わない、私は絶対に向き合わない」

 今週は木曜日に一軍?金曜日に二軍の試合を観に行くって?また懲りずに連日観戦ってか?

 向き合わない、絶対に向き合わないでやっています。

 そうするとですね、意外にスムーズに行くんですよ。


癌の告知を受けた私の状況をコミカルに描いていきたいと思います。

癌を治療するにあたり、私としてはこうした方が良いのだなという部分をクローズアップして、

二人に一人が罹患すると言われている癌について、情報を共有しつつ、楽しんでいただけたら幸いです!

もし宜しければ

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