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最強スキル【一撃必死】を授かったけど、一日五発撃たないと俺が死にます ~爆死回避のため、今日も現代ダンジョンに潜ります~  作者: 難波一@『真祖竜転生』発売中!
第一章 伝説の始まり

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4/16

第4話 静かに帰りたいだけなんだけど

人々のざわめきが完全に聞こえなくなるまで走り続け、俺はようやく大きな岩陰へ身を隠した。



「はぁっ……はぁっ……」



息を整えながら周囲を見回す。

誰もいない。

どうやら追ってきた探索者はいないようだった。



「た、助かった……」



俺はその場へ座り込み、大きく息を吐く。

いや、全然助かってないけど。

まだ今日のノルマは終わっていない。



「とりあえず……」



右手を前へ出す。



「ステータスオープン」



青白いウィンドウが目の前へ浮かび上がった。



──────────────────

名前:門田露澪(かどたろみお)

性別:男

年齢:十七歳

LV:3

STR:13

AGI:14

INT:15

MAG:14


《固有スキル》

一撃必死(マストダイ)

残り使用回数:3/5

リセットまで

07:24:53

──────────────────



「……え?」



思わず二度見した。



「レベル3?」



確か、さっきまでレベル1だったはずだ。

つまり、一気に2レベル上がったことになる。



「……そういえば」



聞いたことがある。

自分より高レベルの魔物を倒すと、経験値に補正が掛かることがある、と。



「レベル一で三階のゴブリン三匹だったからか……?」



いや、それにしたって上がりすぎじゃない?

能力値も全部増えている。


それよりも──

俺はスキル欄を見た。

残り使用回数:3/5。



「あと三発か……」



ため息が漏れる。

それにしても、さっきの爆発……



「威力、おかしくない?」



ゴキブリの時も十分おかしかった。

だが今回は比較にならない。

通路に大穴が開いていた。

ゴブリン三匹が跡形もなく消えていた。

標的がデカいと、爆発もデカくなるって事なのか。



「これ、人がいる所じゃ絶対使えないだろ……」



住宅街で撃ったらニュースになる。

学校で撃ったら学校がなくなる。

というか、爆破テロ扱いされる。

そんな気さえした。



「人がいない所でさっさと終わらせて帰ろう……」



俺は立ち上がると、人の気配がしない通路の奥へ歩き始めた。



 ◇◆◇



三階層の奥は、さらに静かだった。

探索者の姿はほとんどない。

聞こえるのは、どこからか響く魔物の鳴き声だけ。

その時だった。



「……いた」



通路の先。

三匹のコボルトが歩いている。

犬の頭を持つ人型の魔物だ。

しかも、その後ろには猟犬のような灰色のウルフが二匹付き従っていた。



「五匹か……」



まだこちらには気付いていない。

だが。



「うん、無理無理」



レベルが少し上がった程度で、真正面から五匹に勝てる気はしない。



「普通の高校生だから、俺」



俺は物陰へ身を隠しながら、小石を拾った。



「……これしかないよな。やっぱり」



静かに後をつける。

距離を測る。

呼吸を整える。

そして──



(【一撃必死(マストダイ)】……ちゃんと発動してくれよ)



ひゅっ。


小石が飛ぶ。

右手が赤く輝き、小石にも紅い光が宿った。

コボルトの後頭部へ命中する。

次の瞬間。


──カッ!!


ボゴォォォォォンッ!!


轟音。爆炎。衝撃波。

コボルトが一瞬で吹き飛び、その爆発は他のコボルトやウルフ二匹まで飲み込んだ。

辺り一面へ土煙が舞い上がる。



「うわぁ……」



俺は思わず顔を引きつらせた。



「またやりすぎた……」


『レベルが上がりました』


『レベルが上がりました』


『レベルが上がりました』



頭の中へ機械的な声が流れる。



「また上がってる……レベルって、こんな簡単に上がるもんなの?」



その時だった。



「グルルル……!」


「ギャアアア!」



爆発音を聞きつけたらしい。

通路の向こうから、新たなコボルトの群れが姿を現した。



「え?」



一匹。二匹。三匹。

いや──



「多くない?」



十匹以上いる。

しかもまだ増えてくる。



「やばっ!」



俺は慌てて石を拾った。



(来るな来るな来るな!)



慌てて群れに向かって石を投げる。

強く念じると、また石が赤く光る。


──カッ!!


ドゴォォォォンッ!!


再び爆炎が巻き起こる。

群れの先頭がまとめて吹き飛んだ。

だが──



「ギャアアアア!」



さらに奥からコボルトたちが駆け寄ってくる。



「嘘だろ!?」



爆発が大きすぎる。

音を聞いた魔物が次々と集まってくる。

倒しても倒しても終わらない。



「まずいまずいまずい!」



俺は踵を返し、全力で走った。

頭の中では何度もレベルアップのアナウンスが流れている。

だが見る暇はない。

だけど──



「なんか身体軽っ!?」



足が勝手に前へ出る。

階段を駆け下りるような軽さで地面を蹴れる。

さっきまでとは別人みたいだった。

それでも後ろから聞こえる遠吠えは近付いてくる。



「もう嫌だぁぁぁ!」



必死で走る。

曲がる。また走る。

そして、目の前へ小さな部屋が現れた。



「しめたっ!ここに隠れよう!」



飛び込んだ瞬間。

足元へ、青白い魔法陣が浮かび上がった。



「……え?」



嫌な予感がした。

ダンジョンの係員が言っていた言葉が頭をよぎる。



『転移罠だけは気を付けてください』



「まさか……」



光が一気に強くなる。



「……嘘だろ」



身体が浮く。



「……いやいやいや!」



景色が白く染まる。



「そんなバカなぁぁぁあああ!!」



俺の情けない叫び声だけを残し。

身体は、深層へと吸い込まれていった。

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