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【25万PV感謝!】最強スキル【一撃必死】を授かったけど、一日五発撃たないと俺が死にます ~爆死回避のため、今日も現代ダンジョンに潜ります~  作者: 難波一@『真祖竜転生』発売中!
第三章 豊島区の配信者

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第34話 UM戦:巨大ウツボ

「今、助けます!!」



桜色に輝く双剣を手に、俺は巨大ウツボへ向かって駆け出した。

脛まで溜まった海水を蹴るたび、盛大な水飛沫が上がる。

その間にも、二本の刃から零れ落ちる桜色の光が、花びらのように宙を舞っていた。



「あなたは……さっきのイケメンくん!?」



短槍を構えた女子大生が、驚いた声を上げる。



「えっ!? どうしてここに!?」



魔法を使っていたもう一人も、巨大ウツボへの攻撃を止め、こちらを振り返った。

二人とも、俺が入口でコラボ配信へ誘われた時にいたお姉さんたちだ。


どうやら、やはり俺を追って地下へ降りてきたらしい。

そう考えると、少しだけ罪悪感が湧いてくる。

俺が四階で派手な爆発を起こさなければ、この人たちも地下五階まで降りてこなかったかもしれない。



「お……おおっとぉ……!」



巨大ウツボに締め上げられているナツミさんも、苦しそうに顔を歪めながら俺を見た。



「こ、ここで……先ほどの謎のイケメンくんが……ナツミンを助けに現れたぁ……!」


「実況してる場合ですか!?」


「これは……まさかの、運命の再会かぁ……! 助けてーーーっ!!」



ナツミさんが、残る力を振り絞って自撮り棒を動かす。

スマートフォンの角度を細かく調整し、自分と俺が同じ画面へ収まるようにしていた。


いや、本当にそんなことしてる場合!?

今にも巨大ウツボに食べられそうなんだけど。

普通なら、カメラなんか放り投げて両手で助けを求めるところだろう。


ここまでくると、もはや感心してしまう。

すごいな、このお姉さん。

あと、俺のことは撮らないでほしい。



「ナツミ! カメラはもういいから!」


「配信より自分の命を優先して!」


「だ、大丈夫……! イケメンくんと一緒なら……スポンサーさんも、きっと喜んでくれる……!」


「スポンサーさんは出演者がウツボに食べられる方を心配してると思うよ!!」



仲間から至極真っ当な指摘を受けても、ナツミさんは自撮り棒を離さない。

その時、巨大ウツボの濁った瞳が、こちらを捉えた。



「シャアアアアアアッ!!」



巨大ウツボが口を大きく開き、俺へ向かって牙を剥く。

どうやら、獲物を横取りしようとする俺を敵と認識したらしい。


次の瞬間──

巨大ウツボの体表にある小さな穴が、一斉に開いた。



「うわっ、気持ち悪っ!」



穴の中から、白い何かがニュルニュルと姿を現す。

そして──


バババババババッ!!


無数の白い物体が、弾丸のような速度で射出された。



「危ないっ!!」


「避けて!!」



女子大生二人が声を上げる。



『ロミオ!! 油断すんにゃ!!』



後方にいたフランも、鋭い声で警告してきた。

俺は足を止め、桜色の双剣を身体の前へ構える。

目の前へ迫る、無数の白い弾丸。

集中した瞬間、またしても周囲の景色が急激に遅くなった。



「また、この感覚……」



飛び散った水滴が、空中で止まったように見える。

女子大生たちの表情も、巨大ウツボの動きも、すべてがスローモーションになっていた。

一方で、俺だけは普段と変わらない速度で身体を動かせる。



「この白いの……弾じゃない?」



目の前まで迫った白い物体を観察する。

平たく節のある身体。

腹側から伸びる、何本もの脚。

頭部らしき場所には、獲物へ食いつくための小さな牙が並んでいる。


明らかに、生き物だ。


以前、海の生物を紹介する動画で見たことがある。

魚の体表や口の中へ取りつき、血液や体液を吸うウオジラミの仲間。

たしか、目が退化した種類をメナシウオジラミと呼ぶはずだ。


ただし、動画で見た個体は数センチ程度だった。

今、俺へ向かって飛んできている奴らは、どれも握り拳ほどある。



「寄生虫まで巨大化してるのかよ……!」



俺だけが避けるのは簡単だ。

しかし、俺の後ろには、フランと女子大生たちがいる。

この数を避ければ、何匹かは確実に後ろへ飛んでいくだろう。


かといって、中途半端に攻撃するのも危険だ。

こいつらも生き物である以上、傷を負わせた時点で【一撃必死(マストダイ)】が発動する可能性がある。

そうなれば、巨大な寄生虫が爆発する事になる。

しかも、爆発までのタイムラグで、ちょうどいいタイミングで後方のお姉さん達が巻き込まれるかもしれない。


ならば──



「一匹残らず、攻撃だけで即死させる!」



俺は両腕を交差させ、飛来するメナシウオジラミへ狙いを定めた。

この世界が遅く見えている状態なら、一匹ずつ斬るのは難しくない。



「まず、一匹目!」



桜色の刃を振るう。


ザンッ!


先頭のメナシウオジラミが、縦に真っ二つになった。

身体は光らない。

爆発もしない。



「よし、この切れ味ならいける!」



左右から迫る二匹へ、双剣を振るう。


ザザンッ!


さらに四匹。

続いて六匹。

俺は迫り来る寄生虫の軌道を見極め、刃を連続して走らせた。


カカカカカカカカッ!!


桜色の斬線が、薄暗い洞窟の中へ幾重にも刻まれていく。

刃が触れるたび、メナシウオジラミの身体が鮮やかに両断された。


軽い。

ほとんど手応えを感じない。

まるで水の塊を斬っているようだ。



「この剣、切れ味すごっ……!」



刃が鋭いというだけではない。

俺の魔導素(エーテル)を受け、桜色に輝いている部分が、金属の刀身よりも先に相手へ食い込んでいる。


光の刃が硬い甲殻を焼き切り、その直後に実体の刃が通過する。

だから、ほとんど抵抗なく両断できるのだ。



「最後!」



目の前へ迫った一匹を、二本の剣で挟むように斬り落とす。


ザシュンッ!


真っ二つになったメナシウオジラミが、俺の左右へ落下した。

同時に、世界の速度が元へ戻る。


バシャバシャバシャッ!


切断された無数の寄生虫が、次々と海水の中へ落ちた。

爆発は起きない。

【一撃必死(マストダイ)】も発動しなかった。



「よし、全部倒せた!」



俺は双剣を構えたまま、前方を確認する。

後ろから声が聞こえない。

振り返る余裕はないものの、少し気になった。



「皆さん、怪我はありませんか!?」


「…………」


「…………」


『…………』



返事がない。

もしかして、一匹くらい通してしまったのだろうか。



「大丈夫ですか!?」


「えっ!? あ、う、うん!」


「だ、大丈夫! 全部、斬った……よね?」


『お、おみゃー……今のはさすがに……』



どうやら無事らしい。

フランは何か言いたげだったが、今は聞いている余裕は無さそうだった。

巨大ウツボへ集中しよう。


俺からすれば、遅くなった寄生虫を順番に斬っただけだ。

相手の数は多かったが、特別難しいことはしていない。

むしろ、晴子さんからもらった武器の性能に助けられた。

やっぱり、後できちんと代金を払わないと。



「シャアアアアアアッ!!」



寄生虫をすべて斬り落とされた巨大ウツボが、怒りの咆哮を上げた。

ナツミさんを締めつけていた胴体が、わずかに緩む。

その代わり、巨大ウツボは水中からさらに長い身体を引きずり出し、俺の方へ頭を向けた。



「ぐはっ……ちょ、ちょっと楽になった……」


「ナツミ! 今のうちに抜け出して!」


「む、無理……足が挟まってる……!」



どうやら、完全には脱出できないらしい。

巨大ウツボの太い胴体が、まだナツミさんの足と腰へ巻きついている。

俺へ注意を向けている今が、仕留める好機だ。



「シャアアッ!!」



巨大ウツボが、身体をバネのように縮めた。

そして、巨大な口を開いたまま、一気にこちらへ飛びかかってくる。



「来た!」



俺は両脚へ力を込めた。



「よっ!」



軽く床を蹴る。

次の瞬間。



「えっ、高っ!?」



身体が、想像していたよりも遥かに高く舞い上がった。

巨大ウツボの頭部を飛び越え、洞窟の天井近くまで上昇する。


いや、俺、めっちゃジャンプできるじゃん……!

レベル五十六になったことで、脚力も大幅に強化されているらしい。

今まで本気で跳ぶ機会がなかったので、まったく気づかなかった。



「シャッ!?」



巨大ウツボが、空中の俺を見上げる。

だが、もう遅い。

俺は右手の剣を逆手へ持ち替え、落下する勢いを乗せて首元へ振り下ろした。



「はあっ!」



ズパァンッ!!


桜色の光が、巨大ウツボの太い首を一閃した。

ほとんど抵抗を感じないまま、刃が通り抜ける。

巨大な頭部が胴体から切り離され、勢いのまま水上へ飛んでいった。



「やった!」



首を落とした。

これなら、さすがに即死だろう。

そう思った直後──

切断された巨大ウツボの胴体が、ビクンッ! と大きく跳ねた。



「うわっ、まだ動くの!?」



そういえば、魚は生命力が強い。

以前、鯛の活け造りを紹介する動画で、身を切り分けられた後も口をパクパク動かしている映像を見たことがある。


あんなに美味しそうな状態にされても動けるのだ。


巨大なモンスターともなれば、首を落とした程度では、まだ完全には死んでいないかもしれない。

もし生きている状態で斬撃を受けたと判定されれば、【一撃必死(マストダイ)】が発動する危険がある。


ナツミさんは、まだ胴体に巻きつかれたままだ。

ここで爆発させるわけにはいかない。



「念のため、もう少し斬っておこう!」



俺は空中で腰を捻り、左手の剣を振るった。


ザンッ!


巨大ウツボの胴体へ、横向きの斬撃を入れる。

さらに身体を一回転させ、右、左と交互に双剣を叩き込んだ。


ザザザザザンッ!!


桜色の光が、巨大ウツボの身体を何度も横切る。

ナツミさんが巻きつかれている部分だけは避け、その前後を狙って細かく切断していく。


長大な胴体が、次々と輪切りになった。

切断面から暗赤色の血が噴き出し、海水へ広がっていく。



「これでどうだ!」



最後に、首を失った胴体へ縦の斬撃を叩き込む。


ズバンッ!


巨大ウツボの身体が完全に力を失った。

巻きついていた部分も緩み、ナツミさんの身体が空中へ放り出される。



「わあああっ!?」



自撮り棒を握ったまま、ナツミさんが真っ逆さまに落ちていく。



「危ない!」



俺は落下しながら身体の向きを変え、ナツミさんへ手を伸ばした。


右腕を背中へ。

左腕を膝の下へ回す。

そのまま、空中で彼女の身体を受け止めた。



「ひゃっ!?」



想像していたよりも軽い。

桜色の双剣は、受け止める直前に両手から離していた。

二本の剣は俺たちの脇を落下し、水中へ突き刺さる。

俺はナツミさんを抱えたまま、両脚で着地した。


ザバァンッ!


脛まである海水が、左右へ大きく弾ける。

少し膝を曲げ、着地の衝撃を逃がした。

腕の中のナツミさんに、痛がる様子はない。



「ふう……」



巨大ウツボを見る。

頭部と胴体は完全に切り離され、輪切りになった部分も動かない。


白く光る気配もない。

爆発もしない。

つまり、【一撃必死(マストダイ)】は発動していない。



「よし……救出成功」



何とか、普通の攻撃だけで倒せた。

これなら、ナツミさんを爆発に巻き込まずに済んだ。

俺は安堵しながら、腕の中の彼女を見下ろす。



「怪我はありませんか?」


「…………」



ナツミさんは、僅かに赤く染まった頬で、俺の顔を呆然と見つめていた。


──が、その手に握られた自撮り棒は、お姫様抱っこされた自分と、俺の顔をしっかり画角へ収めていた事を、この時の俺は見落としていたのだった。

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ダイナマイト豊島が爆誕するなこれ…
凄いけどうざい女
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