第56話「三体の行方」
中央制御室。
ミリアは端末に表示された情報を確認していた。
「やっぱり……三体だけ位置情報がない」
ジェイクが画面を覗き込む。
「停止したんじゃないのか?」
「中央システムから切り離されてる。停止命令も届いてない」
ルーカスが倒れた大型ロボットを見る。
「じゃあ、まだ動けるってことか」
「そういうこと」
ミリアが工場内の監視カメラを切り替える。
「待って……」
画面に工場の出入口が映った。
シャッターが半分開いている。
その前の床には、ロボットの足跡が残っていた。
ジェイクが顔をしかめる。
「外に出たのか?」
「足跡の大きさから考えると、ロボットのもの」
ミリアが別の映像を確認する。
「こっちも……」
別の通路。
そこにも足跡が続いている。
ルーカスが立ち上がった。
「三体とも同じ方向か?」
「分からない。でも、工場の東側へ向かってる形跡がある」
ジェイクが反応する。
「東……」
三人が顔を見合わせる。
そこは先ほど調べた中継施設がある方向だった。
ルーカスが拳を握る。
「第2施設につながってる可能性がある」
ミリアも頷く。
「そうかもしれない」
ジェイクが武器を肩に担ぐ。
「なら追うしかないな」
ミリアが端末を閉じる。
「ただ、問題がある」
「何だ?」
「三体のうち一体は大型機体。残り二体も戦闘用」
ジェイクが苦笑する。
「三体だけでも十分厄介だな」
ルーカスが出口へ向かう。
「外に出たなら、まだ遠くには行ってないはずだ」
三人は中央制御室を出た。
工場内には、先ほどまで響いていた機械音がなくなっている。
静かだった。
ジェイクが床を見る。
「これ、新しい足跡だ」
大きな跡が入口へ続いている。
その横には、二種類の小さな足跡。
ミリアがしゃがみ込む。
「三体とも外へ向かってる」
ルーカスがシャッターを見る。
「行こう」
外へ出る。
工場の周囲には、夜の冷たい空気が流れていた。
ミリアが端末を起動する。
「微弱だけど、反応がある」
「どっち?」
ミリアが東を指す。
「こっち」
ジェイクが武器を握る。
「追跡開始だな」
三人が東へ進む。
しばらく歩いたところで、ミリアが突然立ち止まった。
「待って」
「どうした?」
ミリアが地面を照らす。
そこには、ロボットの足跡とともに、黒く焦げた跡が残っていた。
ジェイクが周囲を見る。
「戦ったのか?」
ミリアが首を横に振る。
「違う」
端末を確認する。
「これは……ロボットが何かを攻撃した跡」
ルーカスが前方を見る。
暗闇の先に、何かが倒れている。
三人が慎重に近づく。
そこには壊れた監視装置が転がっていた。
ミリアが拾い上げる。
「この装置……」
「知ってるのか?」
「第1施設と中継施設で見たものと同じ」
ルーカスの表情が険しくなる。
「じゃあ、三体はただ逃げたんじゃない」
ミリアが頷く。
「何かを探してる」
その瞬間。
遠くから機械音が響いた。
ガシャ……。
三人が一斉に顔を上げる。
東の暗闇。
赤い光が一つ浮かび上がった。
そして、その後ろにもう二つ。
ジェイクが武器を構える。
「……見つけたぞ」
第56話 完




