第50話「再起動」
中継装置の前。
ミリアは端末を見つめていた。
「……認証コードが送られた」
ジェイクが顔を上げる。
「ってことは、工場のロボットがまた動くのか?」
「まだ分からない」
ミリアは通信状況を確認する。
「コードだけじゃ起動できない。実際に起動命令を送る必要がある」
ルーカスが聞く。
「なら、今のうちに工場を止めればいい」
「それができればね」
「できないのか?」
「工場との通信は切れた。でも……」
ミリアが画面を拡大する。
「さっき送られた認証コードが、別の通信経路に移動してる」
ジェイクが眉をひそめる。
「別の通信経路?」
「この中継装置を使わずに、別の場所から工場へ送ろうとしてる」
ルーカスが立ち上がる。
「じゃあ、まだ誰かが通信を続けてる」
「そう」
その時。
遠くから低い音が響いた。
ゴゴゴゴ……。
三人が顔を上げる。
地下施設全体が揺れ始めた。
ジェイクが壁に手をつく。
「なんだ?」
ミリアが端末を見る。
「この施設の電力が上がってる」
「どういうこと?」
「さっきまで停止していた設備が、勝手に再起動してる」
ガコン。
部屋の奥でシャッターが開いた。
その向こうから、機械音が聞こえる。
ウィーン……。
ジェイクが武器を構える。
「またロボットか?」
ルーカスが前に出る。
「気をつけろ」
シャッターの奥から、一体のロボットが現れた。
しかし、今までの機体とは違った。
四本の脚を持つ小型の機体。
頭部には複数のセンサー。
ミリアが端末を確認する。
「この機体……戦闘用じゃない」
「じゃあ何だ?」
「通信設備の保守用」
ロボットは三人を攻撃せず、壁際の装置へ向かっていく。
「……何してる?」
ミリアが確認する。
「中継装置を復旧させようとしてる」
ジェイクが驚く。
「自分で直してるのか?」
「そうみたい」
ルーカスがロボットへ近づく。
すると、ロボットのセンサーが赤く光った。
【復旧作業開始】
ミリアが画面を見る。
「止めないと、また通信が繋がる!」
ジェイクが走り出す。
「任せろ!」
武器を振り下ろす。
ガンッ!
ロボットが素早く横へ移動する。
「速い!」
ルーカスが追う。
ロボットが壁を走るように移動する。
「ルーカス、右!」
ルーカスが振り返る。
ロボットが飛び込んできた。
拳を振る。
ドンッ!
ロボットが吹き飛ぶ。
床へ落ちた瞬間、ジェイクが武器を叩き込む。
ガキン!
「これで!」
ロボットの脚が一本折れる。
しかし、残った三本の脚で装置へ向かおうとする。
「まだ動く!」
ミリアが電磁装置を取り出す。
「これなら!」
バチッ!
電磁波がロボットへ走る。
センサーが点滅する。
動きが止まった。
ミリアが急いで中継装置へ向かう。
「電源を完全に切る!」
ルーカスが聞く。
「できるのか?」
「今なら!」
ミリアが操作する。
【中継装置:停止】
部屋の機械音が消える。
「……止まった」
ジェイクが息を吐く。
「これで終わりか?」
ミリアは首を横に振る。
「違う」
「まだ何かある?」
ミリアが画面を見せる。
そこには、工場の位置情報が表示されていた。
【認証コード確認】
【起動準備】
ジェイクが絶句する。
「もう工場側で準備が始まってる……」
ルーカスが拳を握る。
「戻るぞ」
ミリアが驚く。
「工場へ?」
「ああ」
ジェイクも頷いた。
「このまま放っておいたら、またロボットが動く」
三人は地下施設を出るため、階段へ向かった。
その頃。
遠く離れた工場では――
一体の大型ロボットが、ゆっくりと顔を上げていた。
赤い目が点灯する。
第50話 完




