第49話「起動命令」
中継装置から、警告音が鳴り続けている。
ピィィィィン!
ミリアが端末を操作する。
「止まらない!」
画面には通信状況が表示されている。
【送信準備】
【対象:工場内ロボット】
【起動命令:待機中】
ジェイクが装置を見る。
「まだ送信されてないのか?」
「今なら止められる!」
ルーカスが装置の周囲を見る。
「どうすればいい?」
「中央の電源を落とせば通信は止まるはず」
ジェイクが中央装置へ向かう。
「これか?」
「触らないで!」
ジェイクの手が止まる。
「え?」
「そこは通信制御。間違えると逆に送信される!」
「じゃあどこだよ!」
ミリアが画面を確認する。
「右側……いや、違う。奥のパネル!」
ルーカスが走る。
「これか?」
「そう!」
ルーカスがパネルを開ける。
内部には複数のケーブルが並んでいる。
「どれを切る?」
「赤いケーブル!」
「これだな!」
ルーカスが手を伸ばす。
その瞬間。
ガシャン!
部屋の入口から機械音が響いた。
ジェイクが振り返る。
「ロボットだ!」
通路の奥から、二体のロボットが入ってくる。
「俺が止める!」
ジェイクが武器を構えて飛び出す。
一体目が腕を振る。
ジェイクが横へかわし、武器を関節へ叩き込む。
ガキン!
「こいつ!」
ロボットがバランスを崩す。
ジェイクが追撃する。
「倒れろ!」
ガンッ!
ロボットが床へ倒れる。
もう一体がジェイクへ迫る。
「ジェイク!」
ルーカスが駆け出す。
しかしジェイクが叫んだ。
「来るな! ミリアを守れ!」
ジェイクは一人でロボットの攻撃を受け流す。
武器を振る。
ガキン!
腕を弾く。
だが、ロボットの蹴りが腹へ入った。
「ぐっ!」
ジェイクが後ろへ吹き飛ぶ。
「ジェイク!」
ルーカスが走ろうとする。
「ルーカス! ケーブル!」
ミリアの声で足を止める。
ルーカスはパネルを見る。
通信装置のカウントが進んでいる。
【起動命令送信まで 00:10】
「……あと10秒」
ミリアが叫ぶ。
「急いで!」
ルーカスがケーブルを確認する。
「これだ!」
【00:08】
ルーカスがケーブルを掴む。
しかし、ロックが掛かっている。
「外れない!」
ミリアが端末を操作する。
「ロックを解除する!」
【00:05】
ジェイクがロボットの攻撃を受け止める。
「早くしろ!」
【00:04】
ミリアがキーを入力する。
「解除!」
カチッ!
【00:02】
ルーカスがケーブルを引き抜く。
バチィッ!
装置から火花が飛び散る。
【通信停止】
同時に、部屋の警告音が消えた。
シン……。
ジェイクがロボットを蹴り飛ばす。
「……止まった?」
ミリアが画面を確認する。
「止まった」
三人が息を吐く。
しかし、ミリアの表情は晴れない。
ルーカスが気づく。
「どうした?」
「送信自体は止められた」
「じゃあ問題ないだろ」
「……ううん」
ミリアが画面を見せる。
そこには別の表示が残っていた。
【送信済みデータ:一部あり】
ジェイクが顔をしかめる。
「一部……送られたのか?」
「ほんの少しだけ」
ルーカスが聞く。
「何が送られた?」
ミリアが通信内容を確認する。
「ロボットの起動命令そのものじゃない」
「じゃあ何?」
「工場のロボットを起動するための……認証コード」
ルーカスが黙る。
ジェイクが立ち上がる。
「それって……」
ミリアが頷く。
「向こうに届いていたら、もう止められないかもしれない」
その瞬間。
遠く離れた工場から――
無数の機械音が鳴り始めた。
第49話 完




