第51話「戻る道」
地下施設を出た三人は、工場へ向かって歩いていた。
ミリアが端末を確認する。
「工場との通信は、まだ不安定」
ジェイクが武器を握り直す。
「さっきの認証コードって、本当にそんなに危ないのか?」
「うん。起動命令と組み合わされたら、工場に残っている機体を一斉に動かせる可能性がある」
ルーカスが前を見る。
「だったら、急ごう」
三人は足を速めた。
しばらく進んだところで、ミリアが突然立ち止まる。
「待って」
「どうした?」
「何かいる」
道路の先。
放置された車の陰から、金属を擦る音が聞こえた。
ガシャ……。
ジェイクが武器を構える。
「またか」
ルーカスもブレイカーを握る。
車の陰から一体のロボットが現れた。
以前の機体とは違う。
両腕に細長い刃が取り付けられている。
ミリアが端末を見る。
「工場から出てきた機体じゃない」
「じゃあ、どこから?」
「通信反応がある」
ロボットが三人へ向かって走り出した。
ジェイクが前へ出る。
「俺がやる!」
ロボットの刃が振り下ろされる。
ジェイクは武器で受け止めた。
ガキン!
「重っ……!」
押し込まれる。
「ジェイク!」
ルーカスが動こうとする。
「大丈夫!」
ジェイクは足を踏ん張った。
刃を横へ受け流し、ロボットの脇へ回り込む。
「そこだ!」
武器を関節へ叩き込む。
ガンッ!
ロボットの腕が下がる。
ジェイクがさらに踏み込む。
「もう一発!」
ガキン!
ロボットの腕が完全に動かなくなった。
しかし、ロボットは反対の腕を振り上げる。
ミリアが電磁装置を構えた。
「ジェイク、離れて!」
「分かった!」
ジェイクが飛び退く。
バチッ!
電磁波がロボットを包む。
赤いセンサーが点滅する。
動きが鈍くなった。
ルーカスが一気に踏み込む。
「終わりだ!」
ドゴン!
ブレイカーが胸部へ叩き込まれる。
ロボットが地面へ倒れた。
ジェイクが息を吐く。
「……三人でやると、結構いけるな」
ミリアが頷く。
「さっきより連携できてた」
ルーカスも武器を下ろす。
「この調子で行こう」
三人は再び工場へ向かった。
しばらくすると、遠くに工場が見えてきた。
しかし――
様子がおかしい。
工場の周囲に、複数の赤い光が浮かんでいる。
ジェイクが目を細める。
「……あれ」
ミリアが端末を確認する。
「ロボット」
ルーカスが工場を見る。
「何体いる?」
ミリアの画面に次々と反応が表示される。
「分からない」
さらに一つ。
さらに一つ。
反応が増えていく。
ミリアが息を呑む。
「……増えてる」
工場の敷地内で、無数の赤い光が動き始めた。
ジェイクが武器を握り直す。
「どうする?」
ルーカスは工場を見据えた。
「中へ入る」
ミリアが頷く。
「認証コードを無効にするには、中央制御室へ行く必要がある」
三人は工場へ向かって走り出した。
51話完




