第43話「サーバー室」
扉の向こうから、低い機械音が響いている。
ウィィィィン……。
ジェイクが金属棒を構える。
「……何かいるぞ」
ルーカスも身構えた。
ミリアは端末を確認する。
「この扉の向こうが、メイン通信サーバーの管理区画」
「じゃあ、あの音はサーバーじゃないのか?」
「分からない」
ミリアが扉のロックを調べる。
「でも、この扉……さっきまで遠隔で閉じられていた」
「今は?」
「管理権限を取り戻したから、こっちから操作できる」
ミリアが端末を操作する。
ピッ。
ガチャッ。
重いロックが解除された。
ルーカスが扉に手をかける。
ゆっくりと開く。
ギギギ……。
その先には、広い部屋が広がっていた。
壁一面に大型の機械。
中央には、何本ものケーブルが接続された巨大なサーバー装置。
「これが……」
ミリアが息を呑む。
「メイン通信サーバー」
ジェイクが周囲を見る。
「じゃあ、さっきの音は?」
ウィィィン……。
音は部屋の奥から聞こえている。
ルーカスがライトを向ける。
暗闇の中に、何かが置かれていた。
人型のロボット。
だが、通常のロボットとは明らかに違う。
大型の装甲。
太い腕。
頭部には赤いセンサー。
そして、両腕は床に固定されている。
ジェイクが警戒する。
「……動かないな」
ミリアが端末を確認する。
「停止状態」
ルーカスが近づく。
「戦闘用か?」
「詳しいデータがない」
ミリアがロボットの前にある端末へ接続する。
画面が点灯する。
【機体状態:待機】
【通信接続:なし】
「通信には繋がってない」
ジェイクが少し安心する。
「じゃあ大丈夫か」
その瞬間。
ロボットの頭部が――
カチッ。
わずかに動いた。
「!」
ジェイクが構える。
「動いたぞ!」
ルーカスが前へ出る。
だが、ロボットは立ち上がらない。
代わりに、胸部の小さなランプが点灯した。
ミリアが画面を見る。
「待って……」
「何?」
「この機体、ロボットじゃない」
ジェイクが振り返る。
「じゃあ何なんだ?」
ミリアは画面に表示された情報を読む。
「通信サーバーを守るための防衛装置」
ルーカスがロボットを見る。
「防衛装置……」
「サーバーへの不正アクセスを検知した場合だけ起動するみたい」
ジェイクが苦笑する。
「じゃあ、俺たちが来たから起動するんじゃ……」
その瞬間。
赤いセンサーが二人を捉えた。
ピピッ。
【侵入者を確認】
ミリアの顔が強張る。
「……起動条件を満たした」
ガコン!
固定されていた両腕が動く。
ルーカスが拳を構える。
「来るぞ!」
防衛ロボットがゆっくりと立ち上がった。
ズシン。
床が揺れる。
ジェイクが金属棒を握り直す。
「こいつ、今までのやつとは違うぞ」
ルーカスはロボットを見据える。
「分かってる」
ミリアが叫ぶ。
「二人とも! サーバーを壊さないで!」
「分かった!」
防衛ロボットが腕を振り上げる。
次の瞬間――
巨大な拳が、ルーカスたちへ振り下ろされた。
第43話 完




