第40話「アクセス完了」
【アクセス完了】
ミリアの端末に、その文字が表示された。
「……入られた」
ジェイクが身構える。
「誰が?」
「分からない。でも、ここのシステムを操作できる状態になってる」
ルーカスが制御室を見る。
「じゃあ、さっきのロボットも……」
「動かせる可能性がある」
その瞬間。
照明が一斉に点灯した。
パッ。
制御室が明るくなる。
三人が周囲を見る。
先ほどまで停止していた端末が、次々と起動していく。
ピッ。
ピッ。
ピッ。
モニターには大量のデータが流れ始めた。
ミリアが中央の端末へ駆け寄る。
「待って……何これ」
ルーカスが隣に立つ。
「どうした?」
「この制御室だけじゃない」
ミリアが画面を切り替える。
工場全体のシステムが表示された。
「製造ライン、保管区画、搬送設備……全部にアクセスされてる」
ジェイクがモニターを見る。
「工場そのものを乗っ取ってるってことか?」
「まだ完全じゃない。でも、かなり深いところまで入られてる」
ルーカスが聞く。
「止められる?」
「やってみる」
ミリアがキーボードを操作する。
しかし、次々と画面に警告が表示される。
【アクセス拒否】
【権限不足】
【操作不能】
「駄目……」
「ミリア」
「今の私じゃ、このシステムを上書きできない」
ジェイクが焦る。
「じゃあ、どうするんだよ!」
ミリアが画面を見つめる。
「この制御室の管理権限を取り戻す必要がある」
ルーカスが聞く。
「どこにある?」
「中央制御端末」
部屋の奥に、大型の端末が設置されていた。
しかし、その画面には赤い文字が表示されている。
【管理権限移行中】
ミリアの顔が強張る。
「まずい」
「何が?」
「管理権限を完全に奪われたら、この工場にあるシステムを止められなくなる」
その時。
制御室の壁越しに、機械音が響いた。
ガシャ……。
ジェイクが振り返る。
「さっきのロボットか?」
ガンッ!
扉が揺れる。
「……まだ追ってきてる」
ルーカスが拳を構える。
「ミリア、急げ」
「分かってる!」
ガンッ!
二度目の衝撃。
扉が少しへこむ。
ミリアは中央端末へ走った。
「管理権限を取り戻すには、認証キーが必要」
ルーカスが聞く。
「どこにある?」
「この施設の中」
「探せるか?」
「データがロックされてる」
ルーカスが周囲を見る。
「なら、直接探す」
ジェイクが頷く。
「どこから?」
ミリアが画面を確認する。
「この制御室の奥に、管理者用の保管庫がある」
ルーカスが扉を見る。
「案内して」
三人は制御室の奥へ向かう。
そこには、小さな金属製の扉があった。
ミリアが端末をかざす。
ピッ。
しかし――
【認証失敗】
「開かない」
ジェイクが振り返る。
ガンッ!
扉がまた揺れる。
「こっちも時間がないぞ!」
ミリアが扉を調べる。
「物理ロックもある」
ルーカスが周囲を見る。
「鍵は?」
「分からない」
その時、中央端末から音声が流れた。
『管理権限の移行を開始します』
三人が振り返る。
画面に数字が表示される。
【残り時間:10:00】
ジェイクが目を見開く。
「十……分?」
ミリアが頷く。
「この時間内に認証キーを見つけないと、管理権限を完全に奪われる」
ルーカスは保管庫を見る。
「なら、探すぞ」
ジェイクが拳を握る。
「ああ」
その直後。
制御室の扉が――
大きくへこんだ。
第40話 完




