第38話「地下制御室」
階段を下りた先。
三人は、地下の長い通路に出た。
壁には古い配管が並び、天井の非常灯だけが赤く点滅している。
ジェイクが周囲を見る。
「さっき来た場所とは違うな」
ミリアが端末を確認する。
「ええ。地下には複数の区画があるみたい」
ルーカスが前を見る。
通路の奥に、厚い金属製の扉があった。
扉の横には小さな表示板がある。
【制御区画】
ジェイクが眉をひそめる。
「制御区画……」
ミリアが扉を調べる。
「ここ、重要な場所かもしれない」
「開けられる?」
「やってみる」
ミリアが端末を接続する。
ピッ。
ロックが解除された。
ギィィ……。
扉が開く。
中には、大量のモニターと操作端末が並んでいた。
部屋の中央には大きな制御装置が設置されている。
ジェイクが目を見開く。
「すげえ……」
ミリアはすぐに端末へ近づいた。
「ここなら工場全体のシステムを確認できるかも」
ルーカスが部屋を見回す。
「調べてくれ」
「分かった」
ミリアが操作を始める。
モニターが次々と点灯する。
工場内の映像。
製造ライン。
保管区域。
搬送設備。
そして――街中のロボットの位置情報。
ジェイクが画面を見る。
「こんなに監視してたのか」
ミリアが答える。
「工場だけじゃない。出荷後の機体まで追跡してる」
ルーカスが別の画面を見る。
そこには大量の機体番号が並んでいる。
「これ、全部ロボットか?」
「そう」
「多すぎるだろ……」
ミリアが画面を切り替える。
一つの項目が表示された。
【遠隔制御システム】
ジェイクが息を呑む。
「それだ!」
ミリアが開こうとする。
しかし――
【アクセス拒否】
「駄目」
「ロックされてる?」
「かなり強い」
ルーカスが聞く。
「解除できるか?」
「時間が必要」
「やってくれ」
ミリアが作業を続ける。
その間、ルーカスとジェイクは周囲を警戒する。
すると――
モニターの一つが突然切り替わった。
街の映像。
暴走ロボットが道路を進んでいる。
別の画面では、避難する人々。
さらに別の画面。
そこには、工場内部のロボット保管区画が映っていた。
ジェイクが指差す。
「見ろ!」
大量のロボットが並んでいる。
そのうち数体が、同時に動き始めた。
「また起動した!」
ミリアが振り返る。
「待って……」
彼女が制御画面を確認する。
「おかしい」
「何が?」
「ロボットの起動命令が、この制御室から出てない」
ルーカスが眉をひそめる。
「じゃあ、どこから?」
ミリアは通信ログを確認する。
一つの信号が表示された。
「外部からアクセスされてる」
ジェイクが驚く。
「外部?」
「この工場のシステムを経由して、別の場所から命令を送ってる」
ルーカスが画面を見る。
「発信元は?」
「……追跡中」
ミリアが操作する。
発信元の情報が少しずつ表示されていく。
【通信経路:複数】
【中継地点:複数】
【発信元:特定不能】
「隠されてる……」
その瞬間。
部屋中のモニターが一斉に暗くなった。
「!」
完全な暗闇。
ジェイクが構える。
「何が起きた?」
ミリアが端末を見る。
「電源が落ちたんじゃない」
「じゃあ?」
「誰かが、この部屋へのアクセスを遮断した」
暗闇の中。
カチッ。
どこかでスイッチが入る音がした。
そして――
部屋の奥で、赤い光が一つ点灯した。
第38話 完




