第37話「工場へ戻れ」
工場へ向かう道路。
ルーカスたちは走っていた。
遠くから、いくつもの機械音が響いている。
ドンッ!
ガシャァン!
街の各所で、ロボットが動き始めている。
ジェイクが走りながら振り返る。
「工場の方、かなりヤバくないか?」
ミリアが端末を確認する。
「外周にいた機体が、ほとんど起動してる」
「全部こっちに来てるのか?」
「まだ分からない」
ルーカスが前を見る。
「とにかく工場へ戻る」
三人が角を曲がった。
その瞬間――
道路の先に、一体のロボットが立っていた。
赤い目が三人を捉える。
ジェイクが足を止める。
「……いるぞ」
ロボットが腕を上げる。
「来る!」
ルーカスが前へ出る。
ロボットが突進してきた。
ガンッ!
ルーカスは拳で腕を受け止める。
「くっ……!」
衝撃で足が後ろへ滑る。
ジェイクが横から飛び込む。
「ルーカス!」
金属棒をロボットの関節へ叩き込む。
ガキン!
ロボットの動きが一瞬止まる。
ルーカスはその隙を逃さない。
「ここだ!」
拳を叩き込む。
ドンッ!
ロボットの胸部がへこみ、機体が後ろへ吹き飛んだ。
地面を転がり、動かなくなる。
ジェイクが息を吐く。
「……まだ来るぞ」
道路の向こう。
さらに二体のロボットが姿を現した。
ミリアが叫ぶ。
「工場まであと少し!」
ルーカスが二体を見る。
「戦ってる時間はない」
ジェイクが頷く。
「走るぞ!」
三人は脇道へ入った。
ロボットたちが追ってくる。
ドンッ!
建物の壁を破壊しながら迫ってくる。
ルーカスたちは振り返らず走った。
やがて工場の外周が見えてきた。
しかし――。
様子がおかしい。
工場の正面には、以前見た以上の数のロボットが集まっている。
ジェイクが驚く。
「なんだよ、あの数……」
ミリアが端末を見る。
「正面から入るのは無理」
ルーカスは周囲を見る。
「搬送ゲートは?」
「確認する」
ミリアが操作する。
「閉じてる」
「通用口は?」
「……開いてる」
ジェイクが振り返る。
「じゃあ、そこから入ろう」
三人は工場裏手へ回る。
通用口が見えてきた。
扉は、前に見た時と同じように少し開いている。
ルーカスが近づく。
「……やっぱり開いてる」
ミリアが端末を確認する。
「ロックは解除されたまま」
ジェイクが中を覗く。
暗い通路。
何も見えない。
「入るぞ」
三人が通用口をくぐる。
その瞬間。
ガチャン!
背後で扉が閉まった。
ジェイクが振り返る。
「またかよ!」
ミリアが端末を確認する。
「……閉じ込められた」
ルーカスが通路の奥を見る。
しかし、今度は何かが違う。
以前は暗闇だった通路に、非常灯が点いている。
赤い光が一定間隔で続いている。
ジェイクが呟く。
「これ……誘導されてないか?」
ミリアが頷く。
「たぶん」
ルーカスは拳を構える。
「それでも進むしかない」
三人は通路の奥へ進んでいく。
すると、壁のスピーカーから突然ノイズが流れた。
ザーッ。
三人が足を止める。
ノイズが消える。
そして――
機械的な音声が響いた。
『……認証……』
ミリアが顔を上げる。
『……対象を確認』
ジェイクが構える。
「誰だ?」
返事はない。
代わりに、通路の奥で――
ガチャ。
一つの扉が開いた。
その先には、地下へ続く階段があった。
ルーカスが目を細める。
「……また地下か」
ミリアが端末を見る。
「地下施設へのルートが開かれてる」
ジェイクが苦笑する。
「どう考えても怪しいな」
ルーカスは階段の先を見つめる。
「でも、工場のロボットがどうして一斉に動き出したのか調べるなら、ここしかない」
三人は階段へ向かった。
そして、地下へ降りていく。
第37話 完




