第35話「大型戦闘型」
巨大なロボットが道路を駆けてくる。
ドンッ!
地面が揺れる。
ジェイクが金属棒を握り直した。
「……デカすぎるだろ」
ミリアは端末を確認する。
「大型戦闘型。装甲もかなり厚い」
ルーカスは拳を構えた。
「ミリア、避難区域まであとどれくらい?」
「200メートルくらい」
「ジェイク」
「ああ」
「ミリアを連れて先に行って」
ジェイクがルーカスを見る。
「お前は?」
「こいつを止める」
「一人で?」
「時間がない」
巨大ロボットが腕を振り上げる。
「来る!」
ガンッ!
ルーカスが横へ飛ぶ。
大型ブレードが地面を叩き、アスファルトが砕け散った。
「ルーカス!」
「行け!」
ジェイクはミリアの腕を掴む。
「走るぞ!」
二人が避難区域へ向かって走り出す。
ルーカスは巨大ロボットと向き合った。
ロボットが再び腕を振る。
今度は横薙ぎ。
ルーカスは身を低くしてかわす。
ブレードが頭上を通過する。
「速い……!」
大型機とは思えない速度だった。
ルーカスが拳を握る。
一気に踏み込む。
「うおおっ!」
拳が装甲に叩き込まれる。
ドンッ!
しかし――
ロボットは微動だにしない。
「硬すぎる……!」
巨大ロボットの腕が動く。
ルーカスは咄嗟に後ろへ跳ぶ。
直後、地面が砕けた。
「まともに殴り合ったら負けるな」
ルーカスは周囲を見る。
大型ロボットの動き。
足。
腕。
装甲。
弱点を探す。
すると、胸部の装甲の隙間から小さな発光部が見えた。
「……あれか」
ルーカスが狙いを定める。
その瞬間、端末からミリアの声が聞こえた。
『ルーカス!』
「ミリア?」
『そのロボット、胸部に動力制御装置がある!』
ルーカスが巨大ロボットを見る。
「そこを壊せば?」
『停止させられる可能性がある!』
「分かった!」
ロボットが突進してくる。
ルーカスは逃げない。
ギリギリまで引きつける。
そして――
跳んだ。
巨大な腕が足元を通り過ぎる。
ルーカスはロボットの肩を踏み台にして、さらに高く跳び上がった。
「ここだ!」
拳を握る。
全身の力を右腕へ集中させる。
「食らえ!」
拳が胸部へ叩き込まれる。
ドゴォン!
装甲がへこむ。
しかし、まだ止まらない。
「くそっ……!」
ロボットが腕を振り上げる。
ルーカスは空中で体勢を崩した。
このままでは避けられない。
その瞬間――
「ルーカス!」
ジェイクが戻ってきた。
金属棒を投げる。
棒がロボットの腕に当たり、一瞬だけ動きが止まった。
ルーカスは地面へ着地する。
「ジェイク! 避難区域は?」
「ミリアに任せてきた!」
「なんで戻ってきた!」
「友達を置いて逃げられるかよ!」
ルーカスが一瞬だけ笑う。
「……助かった」
二人は巨大ロボットを見る。
ジェイクが構える。
「で、どうする?」
ルーカスは胸部のへこんだ装甲を見る。
「もう一度、同じ場所を狙う」
ジェイクが頷く。
「了解!」
巨大ロボットが再び動き出す。
二人は左右に分かれた。
ロボットの視線がジェイクへ向く。
「今だ!」
ルーカスが走る。
巨大ロボットがジェイクへ腕を振る。
ジェイクがギリギリでかわす。
その瞬間、ルーカスが懐へ飛び込んだ。
「終わりだ!」
拳が、先ほどへこんだ胸部へ叩き込まれる。
ドンッ!
装甲が大きく砕けた。
内部の発光部が露出する。
ロボットの動きが止まった。
赤い目が点滅する。
そして――
全身から力が抜けるように、その場へ倒れ込んだ。
ドォン……。
ルーカスは息を切らしながら立ち上がる。
ジェイクが倒れたロボットを見る。
「……止まったな」
「ああ」
ミリアが二人のもとへ走ってくる。
「二人とも!」
ルーカスが振り返る。
「避難区域は?」
「大丈夫。今のところ被害はない」
三人は倒れた大型ロボットを見る。
しかし、その直後。
ミリアの端末から警告音が鳴った。
ピッ、ピッ、ピッ。
ミリアの顔が強張る。
「……まだ終わってない」
ジェイクが聞く。
「何が?」
ミリアは画面を見せる。
そこには、街中の複数地点が赤く表示されていた。
「同じタイプの大型ロボットが……他にもいる」
第35話 完




