第34話「止まらない機械」
避難区域まで、残り500メートル。
モニターの中で、ロボットが停止している。
ミリアは画面を睨んでいた。
「通信は遮断できてる」
ジェイクが聞く。
「じゃあ、なんで動けるんだ?」
「この機体……自律制御に切り替わってる」
ルーカスがモニターを見る。
「誰かの命令がなくても動けるってことか」
「そう」
ロボットの赤い目が再び光る。
そして――
走り出した。
「くそっ!」
ジェイクが拳を握る。
「止められないのか?」
ミリアが端末を操作する。
「この地下設備から直接停止信号を送れるかもしれない」
「やってくれ」
「でも、対象の機体番号が必要」
「さっき表示されてたやつは?」
ミリアが確認する。
「通信を切ったから、今は識別できない」
ルーカスが画面を見る。
「じゃあ、どうする?」
ミリアはモニターに映るロボットを拡大した。
「映像から機体情報を探す」
「そんなことできるのか?」
「時間をかければ。でも――」
ミリアが画面を見る。
【残り400m】
「時間がない」
ルーカスは周囲を見る。
「直接行く」
ジェイクが振り返る。
「ここから?」
「ああ」
「避難区域まで距離があるぞ」
「それでも行く」
ミリアが顔を上げる。
「待って。地下から地上への出口がある」
「どこ?」
ミリアが地図を表示する。
「この先。工場の北側」
「そこから出られる?」
「たぶん」
ルーカスが頷く。
「案内して」
三人は地下通路を走り始めた。
薄暗い通路を抜ける。
その途中。
カン……。
後ろから金属音が響いた。
ジェイクが振り返る。
「……さっきのロボット?」
暗闇の中。
赤い光が一つ浮かんでいる。
ミリアが息を呑む。
「さっきの探索用ロボット……」
四本脚の小型ロボットが、こちらを見ていた。
しかし、襲ってくる様子はない。
ルーカスが言う。
「今は無視する」
三人は走り続ける。
やがて、階段が見えてきた。
地上へ続いている。
ルーカスが扉を押し開ける。
外へ出る。
工場の北側だった。
ミリアが端末を確認する。
「避難区域まで、あと300メートル」
ジェイクが周囲を見る。
「急ごう!」
三人が走り出す。
だが――。
道路の向こうから、大きな音が響いた。
ドンッ!
ルーカスが足を止める。
建物の陰から、巨大なロボットが姿を現した。
四本の脚。
分厚い装甲。
腕には大型のブレードが装備されている。
ジェイクが息を呑む。
「……なんだ、あれ」
ミリアが端末を確認する。
「大型戦闘型……」
ロボットの頭部が三人へ向く。
赤い目が点灯する。
ルーカスが拳を構える。
「こいつも……暴走してるのか」
巨大ロボットが低い機械音を響かせる。
そして――
こちらへ向かって走り出した。
第34話 完




