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メタル・アポカリプス  作者: 石蒜
第2章「第1施設編」
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33/74

第33話「追跡」

地下の保守管理区画。


モニターには、避難場所へ向かって走る一体のロボットが映っている。


ミリアは端末を操作し続けていた。


「この映像、工場の監視システムと繋がってる」


ジェイクがモニターを見る。


「じゃあ、あのロボットの位置も分かるのか?」


「追跡できる」


ミリアの指が止まる。


「でも……」


「何?」


「このロボット、工場から直接命令を受けてない」


ルーカスが眉をひそめる。


「じゃあ、どうやって動いてる?」


「別の通信源がある」


ジェイクが振り返る。


「別の場所から?」


「そう。工場から送られている信号とは違う」


ルーカスはモニターを見る。


「その通信源を探せる?」


「やってみる」


ミリアが信号を追跡する。


画面に街の地図が表示された。


通信源を示すマークが一つ点灯する。


「ここ」


ルーカスが地図を見る。


「工場じゃない」


「ええ」


ジェイクが身を乗り出す。


「どこだ?」


ミリアが拡大する。


「工場からかなり離れてる」


「それでも、そこからロボットを動かしてるのか?」


「可能性が高い」


ルーカスは拳を握る。


「だったら、そこを止めれば……」


「待って」


ミリアが画面を確認する。


「通信源が移動してる」


「移動?」


「車両かもしれない」


通信源を示すマークが、少しずつ道路上を移動していく。


ジェイクが呟く。


「誰かがロボットを操りながら移動してる?」


「そう考えるのが自然」


ルーカスは地図を見る。


通信源は、避難場所へ向かっているロボットとは別の方向へ進んでいる。


「じゃあ、ロボットはどうやって命令を受けてる?」


ミリアが答える。


「途中の中継装置を使ってる可能性がある」


「中継装置?」


「一定の範囲に信号を飛ばして、そこからロボットへ送る」


ジェイクが拳を握る。


「つまり、そいつを壊せばいい」


「そう簡単じゃない」


ミリアが画面を指差す。


「中継地点が複数ある」


地図上に次々とマークが現れる。


工場。


道路。


別の建物。


そして、街の中心部。


ジェイクが唖然とする。


「こんなに?」


「誰かが事前に設置していたみたい」


ルーカスは黙って地図を見つめる。


その時、モニターに警告が表示された。


【対象機体、避難区域まで残り500m】


ジェイクが叫ぶ。


「時間がない!」


ルーカスがミリアを見る。


「何か止める方法は?」


「直接止めるのは無理。でも、この地下設備にロボットの通信を妨害する機能がある」


「使える?」


「分からない」


「やってみよう」


ミリアは端末を操作する。


地下設備の一覧が表示される。


その中に、一つだけ見慣れない項目があった。


【広域通信妨害システム】


ミリアが目を見開く。


「これだ」


ジェイクが画面を見る。


「使えるのか?」


「まだ分からない。でも、これならロボットへの通信を一時的に遮断できるかもしれない」


ルーカスが即答する。


「やろう」


ミリアがシステムを起動する。


ウィーン……。


地下の機械が動き始める。


モニターの表示が変わる。


【妨害範囲設定】


ミリアが地図を確認する。


「範囲を広げると、工場のロボットも止まる可能性がある」


ジェイクがルーカスを見る。


「それでもやるか?」


ルーカスは迷わなかった。


「人がいる場所を優先する」


ミリアが操作する。


妨害範囲が広がっていく。


【実行しますか?】


「……いくよ」


ミリアが実行ボタンを押す。


その瞬間。


地下の機械が大きく唸った。


そしてモニターに映っていたロボットが――


突然、足を止めた。


ジェイクが息を吐く。


「止まった……」


しかし、ミリアの表情は険しい。


「違う」


「え?」


「通信を切っただけ」


ミリアが画面を見つめる。


「ロボットはまだ動ける」


その直後。


停止していたロボットの赤い目が、再び点灯した。


第33話 完

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